ハリル「中村と伊東は評価したい」 E-1選手権 北朝鮮戦後の会見

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次は選手を入れ替えて臨む

「サイドで違いを見せるプレーを評価したい」とハリルホジッチ監督が口にした伊藤 【Getty Images】

──ワールドカップ(W杯)に向けて国内組がアピールする大会だが、中村や伊東以外にも評価できる選手はいたか?

 先ほど中村の名前を挙げたが、今日は評価すべきプレー内容だった。これが彼にとってのデビュー戦だった。伊東も今回が初招集だったが、彼の仕掛ける能力や抜き去る能力など、サイドで違いを見せるプレーを評価したい。初めてプレーする室屋(成)や阿部(浩之)、そして高萩(洋次郎)や谷口(彰悟)など、もともとチェックしていた選手たちが、こういった試合でもっと(実力を)出せると思う。井手口も最後に貴重なゴールを挙げてくれたが、試合中に見せていたプレーはわれわれが知っている姿よりも疲労があるように感じられた。今野はしっかりしたプレーを見せてくれたが、クラブではセンターバックとしてプレーしている。

 初めて集まって一緒にプレーするチームなので、あまり厳しい目で見るべきではない。代表が初めての選手もいる。たとえば室屋は5〜6回、不要なファウルをしてしまった。アピールをしたい部分もあったのだろうが、未熟さも見せてしまった。どの選手も、2試合目はよりよいプレーを見せてくれるだろう。不運なけがで離脱した選手もいたが、彼らが残っていればより質の高いサッカーが見せられたと思う。ただし、今日の試合よりも良いゲームを見せられたかどうかは確約できない。

 私にとって、この大会はW杯に向けてのテストの場でもあるので、できるだけ多くの選手を見てみたい。小林(悠)はクラブでたくさんのゴールを決めた。川崎(フロンターレ)では他の選手たちと連動できたが、ここに来れば別のチームメートとプレーすることになるので「自動化」が求められる。相手チームが、このような戦術を採って守備をすることは予想できていた。選手にはダイレクトプレーをするように、ダイアゴナル(斜め)のパスを出すように求めた。しかし不運なことに、JリーグのFWは背後でもらうことに慣れていない。必要なことだが、1回練習したからといって、簡単に変えることはできない。

 内容には満足していないが、初戦で勝利を収めることができたことは素直に喜びたいと思う。日本代表として考えたとき、全プレーヤーの中のベストプレーヤーだったとは言えないし、日本に何百人もトップレベルの選手がいるわけでもない。このチームの選手たちはベストを尽くしてくれたと思うし、ライオンのように戦ってくれたと思うので、彼らを非難することはできない。次の試合では、選手を入れ替えて臨みたい。機能性の部分を高めるのは難しいが、この大会で3勝することができればと思う。ただし、今後の試合はさらに難しい。今日の相手より、さらに攻撃的にくることも予想されるからだ。

北朝鮮代表、ヨルン・アンデルセン監督

 今日は運が悪かった。良い試合だったし、対日本戦の戦略を作り、良い準備もできていた。そしてよく守った。日本に対しては2回、もしかしたら1回しか決定的なチャンスを与えなかった。われわれは見ても分かるように5〜6回、日本より多くのビッグチャンスを作った。ただし最後に1点取られてしまった。こうした試合で敗れるのは辛い。6年前も試合をしたが、日本を相手に最後の最後で点を取るのは難しい。今日の選手たちを誇りに思う。戦術もうまくいったし、俊敏に切り替えることもできたし、運動量もあってパスも正確だった。ただ足りなかったのがフィニッシュだった。

──対日本戦の戦術とは具体的にはどのようなものか?(大住良之/フリーランス)

 日本のことをよく研究した。日本に良い選手が何人もいることも知っている。海外でプレーする選手は不在で、Jリーグの選手だけであることも知っていたが、それでもいい選手はいた。今回はとにかく日本にスペースを与えず、プレスをきつくして攻撃的にボールを奪っていくという戦術だった。そしてマイボールにしたら、素早く前線にいくということ。このやり方で、かなり長い時間をコントロールすることができた。ただし残念ながら先制することができず、逆に日本に1点目を決められてしまった。そこから追いつくことは、時間的にも非常に厳しかった。

──北朝鮮は4チームの中で最も完成度が高いと感じられたが、国内でどれくらいトレーニングをしたのか?(宇都宮徹壱/フリーランス)

 ほめてくれてありがとう。われわれは非常に厳しいトレーニングを積んでいる。代表選手に対しては、1日2回トレーニングできるという契約を結んでいる。平日は、フィジカルも走り込みも、そして戦術も徹底的にトレーニングしている。そして週末は、自分たちのクラブに戻ってプレーをする。かなりのトレーニングを選手たちは積んでいる。

──第1試合の中国と韓国の試合をどう見たか?(韓国人記者)

 この試合が終わったばかりなので、まずは選手たちとじっくり話す。というのも、今日の負け方は精神的に厳しかったからだ。明日はじっくり時間をとって、選手たちをリラックスさせてから次の試合のことを考える。おそらく月曜日から韓国戦の準備を始めると思う。今日の韓国についての情報はすでに入ってきている。とにかく今日は運が悪かったので、気持ちを整理して、それから次の試合を考えたい。韓国戦はゴールを決めることが大事になるが、面白い試合になると思う。

──運が悪かったということだが、日本にはどういう問題があると考えてこの試合に臨んだのか?

 今は明かせないが、選手には日本の課題と弱点はしっかり話して戦術を立てて、日本に勝つために準備をした。本当に(勝敗を分けたのは)小さなことだ。その小さなことが生かせれば得点を決められたと思う。

──激しく守って素早くカウンターというのは、日本が目指すスタイルでもある。日本のやりたいサッカーで圧倒したことは、チームにとって自信になったのでは?(田村修一/フリーランス)

 負けは負けなので、選手たちはロッカールームで沈んでいた。それでも(今日の戦いを)誇りに思うし、われわれは今大会に参加しているどのチームにも勝てると思うが、負けることもある。それでもわれわれの戦術には誇りを持っている。現実問題として、こういう強い相手と戦うチャンスがわれわれにはあまりない。いつもはマレーシアやフィリピンのような相手と戦っているので、そうなるとわれわれは攻撃力に重点を置いた試合になる。そういう中で、今日は強い相手に対して激しく守って、切り替えも早くして戦えた。前半は2〜3回、後半は5〜6回のチャンスを作った。自分たちはこういう速いサッカーをすることを好む。そしてこういう強い相手に対して良い試合をしたと思う。

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