J・モレイラ騎手 特別インタビュー 香港国際競走で「日本国旗を掲げたい」
香港ヴァーズ連覇を狙うモレイラ
香港のリーディングジョッキーであるジョアン・モレイラが、香港国際競走に向けて意気込みを語ってくれた 【Getty Images】
毎年、この時期はとてもにぎやかで楽しみにしていますよ。レースもとても刺激的です。そして、去年は日本のサトノクラウンのおかげで、エキサイティングな思いができました。今年も僕は2頭乗せてもらいますが、たくさんの日本馬が来ますね。
――その2頭のうちの1頭、トーセンバジルに騎乗して香港ヴァーズ連覇を狙います。
この馬の過去のレースリプレイを何度か見ました。重賞は勝っていませんが、大変ポテンシャルを感じます。ひとつ前のレース、京都大賞典ではシュヴァルグランに先着していますよね。もちろん、向こうは休み明け、トーセンバジルは新潟記念を叩いて2戦目というのもありましたが、実力はそこまで差があるとは思いません。日本の馬は非常にタフですので、沙田(シャティン競馬場)の2400mに向くと思っています。この馬は長くいい脚を使えるので、それも向いてると思います。
――とはいえ、かなり相手も強いと思います。
もちろん、ハイランドリールとタリスマニックはかなり強いですね。こういったメンバーが来るということは、それだけこのレースが国際的な格を持っているということを証明しています。こういった馬たちと対戦するというのは俄然やる気が出ます。楽な相手ではないですが、1度できたことは2度3度とできるはず。特有の前半後半の流れの違いに対応できれば、十分に好勝負に持ち込めると考えています。
――香港では芝2400mのレースは年間に3つしかありません。乗り慣れないので難しい距離だと思いますが、それでも私はモレイラ騎手がこの条件を好きだと思っています。なぜなら、モレイラ騎手は昨シーズンそのうち2勝を挙げました。
その通りです。長い時間レースに乗っていられるから楽しいですよね。それに香港では、この距離のレースが少ないので、逆にそれが楽しみで待ち遠しく思ったりもします。
――この条件を勝つための秘訣があったりしますか?
とにかく馬をリラックスさせること。例えばスローで逃げても、リラックスできていなければラストスパートはできません。ですので、他の距離以上に、馬とのコミュニケーションは大切です。また、いい馬に乗ることも大事ですね。いい馬は時として騎手を助けてくれます。長い距離ではそれが顕著だと思います。
――昨年のサトノクラウンの勝利は、日本馬にとって15年ぶりの香港ヴァーズの勝利でした。
今年も日本の国旗を掲げたいですね。
香港スプリントでのライバルは!?
みんなこの馬のベストは1400mなんじゃないかって言うんですよ。この馬の4歳シーズンは、ほぼほぼ1400m以上の距離を使われ、実際に勝つこともできました。それは、ジョン・サイズ調教師がこの馬の距離適性を試す過程の中で“勝てた”というもので、僕はこの馬は1200mがベストの馬だと思います。
根拠としては、4歳のときに出走した1600mの香港クラシックマイルで、ゴール前でパッタリと伸びがなくなりました。1400mがベストの馬ならもうひと頑張りできたはずです。では、1200mで実績がないのはなぜか。香港で1200mのレースは概ね先行有利なんですが、この馬はちょっと出足の良くない面があって中段やや後ろから行くタイプなんです。でも、香港スプリントの過去の歴史を紐解くと、かなりハイペースになりやすく、実は差し脚質が結果を残しているんですよね。スタートをきちんと決めて、それなりのポジションを取れれば、相手は強いですが結構やれるはずです。
――どういった馬が強敵になりそうですか?
やはりミスタースタニングとラッキーバブルズですね。実力もありますし、位置取りも近くなります。一昨年の勝ち馬ペニアフォビアは厳しいかもしれません。今、香港スプリントは差し有利という話をしましたが、一昨年に僕がペニアフォビアで勝ったときは、大外枠から逃げ切りでした。あのレースは、スタート、道中のラップ、仕掛けどころと、全てがうまくいきました。個人的には僕のベストライドのうちのひとつです。
――ザウィザードオブオズを管理するサイズ調教師は、他にミスタースタニングなど計4頭出しですが、何かその点について話はされましたか?
特にそれについてはないけど、ザウィザードオブオズについては、「能力はある」と言ってくれていますし、今回を目標に逆算してきっちり仕上げられていると思います。サイズ調教師のすごさは、4年前に安田記念で大敗したグロリアスデイズをきっちり立て直して、ぶっつけ本番で香港マイルを勝たせた、という象徴的なものに集約されています。