J・モレイラ騎手 特別インタビュー 香港国際競走で「日本国旗を掲げたい」
4つのレースで一番自信がある
香港マイルは「一番自信があるレース」と、シーズンズブルームとの相性の良さを語る 【Photo by Miyuki Ito】
まさしく、今一番成長している時期だと思います。昨シーズン、香港4歳三冠シリーズでは、この馬は僕の騎乗していたラッパードラゴン(昨シーズンの香港4歳三冠馬。5月のチャンピオンズマイルのレース中に故障し安楽死)のいいライバルでした。1冠目のクラシックマイルが2着、次のクラシックカップ(芝1800m)が3着、最後の香港ダービー(芝2000m)が4着でした。その成績が示すように、適性はマイルまでだと思いますが、それでも終いの伸びはどのレースでも目を見張るものがありました。こうしてライバルだった馬に乗って大舞台に挑むというのは、面白い巡り合わせだと思いますし、オーナーや調教師にとても感謝しています。
――モレイラ騎手が騎乗するようになって、4戦3勝2着1回と、非常に相性がいいように思えます。
今言ったように、成長中のとてもいいタイミングで乗せてもらえたことが大きいです。そんな中、前走のジョッキークラブマイル(香港マイルのプレップレース)は、ペースも遅くなるので、あえて道中はいつもより前半から出し気味に行って、外めを回るという競馬で、この馬がどこまでできるのか試すような乗り方をしました。あれだけ終始外を回っていながら、終いもきっちりと伸びてのあの勝ち方です。かなり期待しています。去年の手ごわい上位4頭がそのまま出てきますけど、かなり自信はあります。正直に言って、4つのレースのうち、一番自信があるレースです。2番目がカップのネオリアリズムですね。
決して乗りやすい馬ではないネオリアリズム
彼は決して乗りやすい馬ではなく、非常に頑固で、しかも前に馬がいると抜きたがる性格の馬なんですよ。簡単にコントロールできるような馬ではありません。ですが、その前向きな気性をうまくコントロールできれば、とても強い馬だということは過去のレースでも証明されています。昨年の札幌記念を覚えていますか? 僕はモーリスに騎乗してあのレースに出ましたが、ネオリアリズムに逃げ切られてしまいました。僕はあのときのネオリアリズムについて、「かなり強い」という印象を持ちました。単なる逃げ切りに見えますが、あのレースは見た目以上にハードなレースだったはずですよ。
――沙田の2000mは、スタートしてすぐ1コーナーなので、より枠順の影響を受けやすいというイメージがあります。
その通り。内枠と外枠では、1コーナーに向かう見た目の距離からして大きく差がありますよ。
――内枠の馬でも、外から被されて行き場を失いやすいですし、そうならないように押していくと折り合いを欠くリスクもありそうです。
逃げ馬なら思い切って行かせてしまえば、大きなアドバンテージになりますけど、そうでないとそのリスクはありますね。QE2Cのネオリアリズムがまさにそうで ゲートの出が悪く、しかもスローペースになってしまって、馬が行きたがって仕方なかったです。できれば序盤からいいポジションで競馬をしたかったのですが、位置を取りに行くとこの馬の積極性が逆にマイナスになると思い、前半はとにかくなだめることに注力しました。そして、3コーナーの手前で一番ペースが緩んだところで、ゴーサインを出したことで、最後まで集中力を切らさずに走り切ってくれました。同じことが何度もうまくいくとは限りませんので、今回はいいスタートを決めたいですね。
――前哨戦のジョッキークラブカップでも騎乗したタイムワープに騎乗するのではないか、という声もありましたが。
タイムワープもこれからどんどん強くなり、いずれ大きいレースも勝てるような馬になると思います。しかし、ネオリアリズムとは実際に半年前に結果を出しており、悩みましたが、今回の可能性でいえばこちら(ネオリアリズムに騎乗)だと考えました。
――気難しいと判っていても、あえてということですね。
そういう馬に乗ることはむしろ大好きです。僕は決して力で無理くりにコントロールしているわけではありません。常に紳士的に接するよう心がけています。馬の気持ちはゴムボールのようなものです。力で抑えすぎてしまえば、破裂してしまって何もなくなってしまいます。ですから、そうならないようにコントロールしなければなりません。納得させてエネルギーをキープできれば、それが最後の頑張りにつなげられるのです。これは馬それぞれの個性もありますから、とにかく馬としっかりコミュニケーションすることが必要ですね。これはどんなレースにも当てはまることです。
モレイラの将来的なプランとは!?
世界中どこでもレースに参加してみたいですが、移籍とかそういったことは特に考えていません。それよりも最近はチャリティーに大変興味があります。Facebookで僕のファンページを作りましたので、どんどんフォローして、シェアして欲しいです。先日は中学校で講演もしました。その様子も載せています。フォロワーが増えれば、スポーツウェアなどのスポンサーも集まり、チャリティー活動の輪もどんどん広がります。みなさんも是非参加してください。
――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
いつも応援ありがとうございます。日本も、日本の競馬ファンも、日本の競走馬も大好きです。ガンバリマス!
制作:株式会社レイヤード
取材:土屋真光