G1馬集結も本命に推せない危険な実績馬 データで読み解くチャンピオンズC

JRA-VANデータラボ

前走着順別成績

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は前走着順別成績。3着以内に入った延べ9頭のうち、8頭までは前走で4着以内に入っていた。例外は、前走14着から巻き返した16年3着のアスカノロマンのみ。さらにいえば、前走4着から好走したのも14年1着のホッコータルマエだけで、ご存知の通り、同馬は史上初めてG1を10勝した歴史的ダートホースだから、これも別枠で考えたほうがいいかもしれない。したがって、前走着順は3着以内を基準とすべきではないだろうか。

前走レース別成績

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は前走レース別成績。集計期間が3年ということもあって、好走例がある前走は5レースのみとなっている。注目したいのは、前走で中央戦を使っていた1着馬が見当たらないこと。過去3年は、地方交流G1のJBCクラシックかJBCレディスクラシックを走っていた馬が勝っている。

過去3年のチャンピオンズC1〜3着馬

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表8は、過去3年の1〜3着馬をまとめたもの。加えて、「中京ダート1800m実績」および「中京以外の中央ダート1800m実績」を付記している。これを見る限り、本番と同条件の中京ダート1800mにおける実績は重要になってきそうだ。初出走となった2頭を除き、好走した延べ7頭のうち5頭は中京ダート1800mで1着の実績を持つ。また、15年に12番人気1着のサンビスタは、当コース実績が【0.0.0.1】ではあるものの、その1走というのが前年のチャンピオンズC4着。16年に10番人気3着のアスカノロマンは【2.0.0.0】で、同年の東海S(G2)を制していた。

 中京ダート1800m初出走となる場合は、中京以外の中央ダート1800m実績がある程度の参考になりそうだ。16年2着のアウォーディーは、アンタレスS(G3)1着を含んで【2.0.0.0】。15年2着のノンコノユメも、500万下ながら1着になったことはあった。

 なお、過去の1〜3着馬は、ダート重賞(地方交流を含む)1着を含んだうえで、2着以内を2回以上記録したことがある馬ばかりで、これは最低条件といえるだろう。

結論

 まずは中京ダート1800m実績を見ていきたい。1着の実績を持つのは、サウンドトゥルー、コパノリッキー、アスカノロマン、グレンツェントの4頭。このなかでは、昨年の勝ち馬サウンドトゥルー、ダートG1を10勝しているコパノリッキーが格上の存在といえる。ただし、いずれも7歳馬。実績には敬意を払いつつも、昨年2着のアウォーディーを含めた7歳のG1馬3頭に関しては、思い切って狙いを下げる手もあるのではないか。

 加えて、サウンドトゥルーは前走のJBCクラシックを勝ったものの、その際の4角通過順が8番手だった点も不満が残る。同様のことは、アポロケンタッキーとゴールドドリームの両G1馬にもいえる。

 昨年3着のアスカノロマンは好走率の高い6歳馬。グレンツェントは好走例のない4歳馬ではあるが、同年の東海S1着馬とあれば無視はできない。その東海Sで2着だった5歳馬のモルトベーネにも注意は払うべきだろう。ただし、これらの3頭はいずれも前走着順が4着以下。同じことは、一昨年2着のノンコノユメや昨年4着のカフジテイクにもいえ、これらの5頭はコース適性でどこまで巻き返せるかというところか。

 こうして見ると、中京ダート1800m実績で上位の馬はいずれも一長一短といわざるをえない。そこで、前走着順が3着以内だった馬たちに目を移してみたい。

 まず目につくのは、みやこSを制したテイエムジンソク。これでダート1800mは6勝目となった。前走4角1番手という点は確かに気になるのだが、道中は3〜4番手を追走しており、決して逃げていたわけではない。また、テイエムジンソクに注目するのであれば、同馬をエルムSで下したロンドンタウンも軽視はできない。前走で韓国に遠征し、コリアカップ1着以来となるローテーションは未知数だが、左回りのダート1800mという条件は今回と同じだ。

 もちろん、JBCクラシック2着から臨む今年の帝王賞勝ち馬ケイティブレイブも忘れてはいけない。2000m以上の実績が目立つものの、中央のダート1800mでは【2.3.2.0】と4着以下に落ちたことがない。逆に、1400mをメインに走ってきたキングズガードも、前走のみやこS3着を含めてダート1800mでは【0.1.1.0】と2戦していずれも好走しており、意外な穴馬になるかもしれない。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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