W杯抽選会、変更点とポイントは? 日本は厳しい組に入る可能性が高まる

清水英斗

対戦順、場所も重要な要素

ハリルホジッチ監督のチームは、逆転のメンタリティーが似合うかもしれない 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 日本も今後は、もっとFIFAランキングを意識したほうが良いかもしれない。たとえば、消化試合となった9月の最終予選、サウジアラビア戦は0−1で敗れたが、最終予選という重要度の高さから、この試合のポイントは親善試合の2.5倍の係数が掛けられる、つまり、FIFAランキングの影響度が大きい試合だった。あのような対戦は、できる限り落とさないようにしたいところだ。

 対戦国のほかに、もう1つ重要な要素がある。それは対戦順だ。抽選会ではチームのくじを引いた後、そのチームがグループのどこに入るのか。たとえばAグループなら、A1、A2、A3、A4のいずれか。その場所を決めるくじが、続けて引かれる。ただし、ポット1はすべてグループ最上位のA1やB1に固定され、それ以外のポット2〜4の国を、A2〜A4といった各グループの場所に割り振る。

 できれば避けたいのは、“2”だ。ここに入ると、初戦でB1対B2など、ポット1の強豪と対戦することになる。短期決戦だけに、勝って勢いをつけることは大事だ。負けると、後々に尾を引く可能性がある。また、メンタル面だけでなく、ゲーム戦術においても勝ち点を先行すれば、最終戦は「引き分け以上で突破確定」「2点差以内の負けでも突破確定」といった逆算の駆け引きが可能になる。その意味でも、初戦で強豪のポット1と当たる“2”の場所は、できれば避けたい。

 ポット1で実力的に劣るロシアと同グループのA2だけは、やや事情が異なるが、それでもA2に入ると、開幕戦を戦うため、開催国からのプレッシャーは大きい。勝ち点先行で進めるためにも、プレッシャーを避けるためにも、“2”には入りたくないところ。

 もっとも、ハリルジャパンは最終予選でも、初戦黒星で予選突破したケースはゼロ、という定説をひっくり返している。ハリルホジッチが指揮したアルジェリアも、ブラジル大会の初戦でポット1のベルギーに敗れながら、逆転でグループ突破を決めた。このチーム、この監督は、そういう逆転のメンタリティーが似合うのかもしれない。そう考えれば、“2”も悪くないが。まあ、どこに入ろうと、有利不利は一概には言えない。ものは考えようだ。

 最後に抽選のポイントとして、試合が行われる場所にも注目したい。ロシア大会は11都市12会場で試合が行われる。距離があるため、ほとんどの移動は飛行機だ。気候は全体的に涼しく、サッカーに向いた環境でプレーできることが予想される。ただし、南部のボルゴグラード、ロストフ・ナ・ドヌ、ソチ、加えてサマーラの4都市は、日中気温が運動のパフォーマンスを低下させる25度を少し超え、夏日になる可能性が高い。ブラジル大会ほど深刻に考える必要はないかもしれないが、頭に入れておきたいポイントだ。

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著者プロフィール

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書は「欧州サッカー 名将の戦術事典」「サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術」「サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材では現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが楽しみとなっている。

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