【ノア】拳王がグローバル・リーグ初制覇 原田はRATEL'S対決制し防衛も不満

高木裕美

丸藤&谷口が王者組を破り年内王座戦へ

丸藤&谷口がヨネ&ストームを破り、年内の王座戦へ 【写真:前島康人】

 GHCタッグ王者のモハメド ヨネ&クワイエット・ストーム組が、ノンタイトル戦ながら丸藤正道&マイバッハ谷口組に完敗。試合後、丸藤が年内のタッグマッチを要求したことから、次期シリーズで両者のリマッチが組まれることが決定的となった。

「マケタラオワリ」こと丸藤&谷口組は、「マイバッハ再生」を掲げた丸藤がタッグ結成を呼びかけ、4.14後楽園でGHCタッグ王座を戴冠。さらに5月のグローバル・タッグリーグ戦でも優勝を果たしたが、8.26後楽園で潮崎豪&小峠篤司組に敗れ王座転落。その新王者組から10.1横浜で王座を奪取したのが、ヨネ&ストームの50ファンキーパワーズだった。

 50ファンキーパワーズは昨年12月に当時の王者組であった潮崎&谷口組への王座挑戦権を獲得しながらも、ストームが上腕二頭筋腱断裂の重傷を負ったため、タイトルマッチは消滅。だが、ストームが今年6月に復帰を果たし、再び王座挑戦権を取り戻すと、そのワンチャンスを生かし、王座戴冠を果たした。

 50ファンキーパワーズは、ノンタイトル戦でも全力投球。序盤から丸藤に2人がかりで猛攻を仕掛けると、10分過ぎには谷口に必殺のファンキーバスターを狙うが、これは丸藤が阻止。丸藤はヨネにジャンピング式の虎王をブチ込んで流れを変えると、谷口もストームに強烈なヘッドバット。さらに丸藤の虎王から谷口のマイバッハボム・ツヴァイへとつなぎ、ストームから完璧な3カウントをもぎ取った。

 試合後、丸藤は2本のタッグベルトを手に取ると、ベルトを盗まれると思ったヨネは「おいっ!」と動揺するが、丸藤はこれをリング上に座り込んだままの王者組に1本ずつかけてニヤリ。「おい、オレとコイツ(谷口)、リーグ戦はさんざんな結果だったけど、年内にタッグのベルト、やらせてもらう。おまえたちはスキだらけだ」と、王座奪取へのゆるぎない自信をアピール。この訴えにヨネも「負けたのは事実。やるしかないでしょう。この悔しさは年内に晴らす」と、年内のタイトル戦を快諾した。

 今年の「グローバル・リーグ戦」で決勝進出を逃したウサ晴らしに、タッグ王座挑戦へ乗り出した丸藤だが、その一因となったのが、誰であろう、谷口の暴走だ。谷口はリーグ戦で、共に得点ゼロとなる両者リングアウトを連発。10.1横浜でGHC王座を奪われたエドワーズへのリベンジを狙っていた丸藤も、味方の“自爆テロ”に足元をすくわれ、貴重な勝ち星を失ったことで、1位の潮崎とはわずか1点差で予選敗退の憂き目にあっている。いわば自業自得だが、ヨネとも公式戦で引き分けて、勝ち点1となってしまったことから、怒りの矛先がパートナーではなくヨネに向いてしまったのだろう。

 今年はDDTプロレスリングのHARASHIMAとKO−Dタッグ王座も獲得するなど、タッグ運が向いてきている丸藤が、再びタッグ2冠王へと返り咲くのか。それとも、ヨネ&ストームの剛腕が火を噴き、ベルトを死守するか。

マサ北宮が4WAY戦勝利でGHC戴冠へ意欲見せる

マサ北宮が4WAY戦を制し、GHC戦線へ名乗り 【写真:前島康人】

 杉浦貴、中嶋勝彦、マサ北宮、田中将斗によるスペシャル4WAYマッチでは、一番キャリアの浅い北宮が杉浦から勝利をもぎ取り、リング上で雄たけびを上げた。

 杉浦は6月に不整脈を患い、心房細動治療のため長期欠場していたが、10.28後楽園で復帰。杉浦と田中はかつて、弾丸ヤンキースとしてタッグを結成しており、ノアのグローバル・タッグリーグ戦を2014年&15年と連覇。14年はZERO1の風林火山タッグリーグでも優勝し、さらにノアのGHCタッグ、ZERO1のNWAインターコンチネンタルタッグ王座も獲得。同年のプロレス大賞・最優秀タッグ賞にも輝いたが、タイトル転落後は発展的解消となっていた。

 4WAY戦では、田中と北宮、中嶋と杉浦がそれぞれ場外でやり合うなど、序盤からヒートアップ。5分過ぎ、田中がDDT、ボディースラムからスーパーフライを放つも、ヒザ剣山でブロックされると、すかさず杉浦が北宮を雪崩式フランケンシュタイナーでマットにたたきつけ、田中がスーパーフライを炸裂。さらに、田中のスライディングDがかわされたと見るや、杉浦がヒットさせるなど、弾丸ヤンキースとしての絆を見せ付ける。10分過ぎには弾丸ヤンキース対決も実現し、両者が激しいエルボー合戦を展開。杉浦は北宮のスピアーをリープフロッグでかわし、中嶋に誤爆させると、ラリアットを打ち込むが、これで闘志に火がついた北宮が逆にブレーンバスター、スピアー、サイトースープレックスとたたみかけて3カウントを奪取。その瞬間、客席からはどよめきと祝福の声が上がった。

 北宮は16年9月に杉浦の持つGHCヘビー級王座に挑戦するも敗北。だが、同年の「グローバル・リーグ戦」では、見事ブロック1位で勝ち上がり、優勝決定戦では鈴木みのるに敗れはしたものの、トップ戦線の一角に食い込んでみせた。シングル王座にはいまだ届いていないが、GHCタッグ王座は拳王とのタッグで戴冠。今年のグローバル・リーグ戦では、直接対決で潮崎に敗れていたため、惜しくも決勝進出は逃したものの、丸藤、ヨネから勝利を奪い、1位タイとなる10点を獲得した。

 この日の4WAY戦で気を吐いた北宮は、「はいずり回ってでも食らいつく。次のステップだ」と、悲願のGHC王座戴冠へ意欲。エドワーズ戴冠で新風が吹いたタイトル戦線に、さらなる刺激を与えていくつもりだ。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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