リーダー花月の野望はスターダム侵略「大江戸隊を有名なブランドに!」

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ベルトを奪えず休養 見つめ直した世代交代の意味

17年最初にビッグマッチが2試合つづんだがともに敗戦。すぐに次と言えないほど落ち込み、休養宣言もした 【スポーツナビ】

――「すごく悩んだ」というお話もありましたが、今年は一時休養宣言ということもありましたよね?

 フリーのとき、結果が残せなかったし、いろいろな団体でやっていてベルト挑戦まではいくのですが、どうしてもシングルのベルトが取れなかったんです。そういう歯がゆさがあった中で、今年3月の名古屋大会でイオが持つ赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)への挑戦が決まり、他団体でも浩代さんが持つシングルのベルトに挑戦することも決まり、これがビッグチャンスだと。今の勢いなら取れるという自信もあったし、2団体の最高峰のベルトを取ってしまえば何かが変えられると思いました。それで今まで以上に追い込んで意気込んで試合に臨んだのですが、結局両方とも取れず……。正直、立ち直れなかったんです。それで翌日に独断で会見を開いて「休業します」と。「負けても次に頑張れば」という気持ちになれなかったんです。

 それから1回、プロレスから離れて自分を見つめ直して、そのときにすごく考えたのが、今まで世代闘争とか世代交代とか、大口をたたいていて、上ばっかり見ていたなと。いくら一人で頑張っても世代交代はできないし、下の人間が一気に底上げしないと世代交代の意味にはならないと考えたんです。

 だからこそ、スターダムで復帰したということもあります。

――スターダムを選んだ理由というのは、そこにあると?

 スターダムにレギュラー参戦してから、基本、大江戸隊でみんなと完全に敵じゃないですか? 所属の選手と話す機会もないし、仲良くしゃべることもない。ただ試合をして、いじめてということだけだったんです。
 ただ試合で肌を合わせたときに、まだまだできないことも多いし、ヘタクソだけど、すごい一生懸命なのを感じました。もちろん、一生懸命なのは当たり前なんですけど、その中で伝わるものがあって、目指しているものが一緒なんじゃないかなと。最初は一時的なものかもしれない、よその環境は良く見えたりするからだと思っていたのですが、でもやっぱり、大江戸隊が確立され、それにジェラシーを燃やす選手もいると分かったら、やっぱり目指すものが一緒なんだなと感じました。

夏の大江戸隊加入でゴタゴタも でも絆が大事

勢力拡大を続ける大江戸隊。しかし夏すみれの登場でゴタゴタも…… 【写真:前島康人】

――非常にプロレスに対する真摯な気持ちが伝わりました。ではここからは「大江戸隊」のお話を伺います。今一緒にタッグ王座を保持している木村花選手についてですが、どんな存在ですか?

 花は絶対的パートナーですね。響子さんがいたころ、自分と響子さんがタッグ王座を持っていたのですが、それを16年末の後楽園で宝城と美闘(陽子)に奪われてしまい、すごく悔しくて悲しくなりました。そのときリング上で響子さんが、「次は花と取ってこい」と耳元で伝えてくれて。それから組んで、すぐに花と奪い返せたので(17年6月の後楽園大会で松本浩代&ジャングル叫女組から奪取)、その思いを大事にしたいです。大事にしていただいた方の娘というより、仲間なので、大切にしていきたいです。

――そんな花選手は、夏すみれ選手の大江戸隊加入で、ちょっとしたイザコザもありましたね。

 あれは自分がスターダム所属になったから、何かサプライズをと思ってやったんです。一切スターダムに携わったことがない、ありえない選手を連れてこようと思って、本当にメンバーにも内緒にしたら、結構、反応が悪くて……。なんとなくゴタゴタしちゃいましたね。

 夏には自主興行のときに「X」として出てもらって、そこで花と対戦させたのですが、そこで何か伝わるかなとニヤニヤ思っていたのですが、どうもそこからバトっていたらしく、合わなかったらしいです。そこは誤算でした。

 これからどうなるか分からないですけど、大江戸隊は絆が深い、家族みたいなファミリーでやってきましたので、花もそうだし、中野たむもそうだし、メンバーが自分の意見や意思を示すことは大事だし、表に出してもらっていいです。

 ただ、自分もこういう性格なので、気を使うんですよね……。キャラが崩壊しそうで(苦笑)。最近、マイクもたどたどしくなってて、しゃべれないんですよ。本当に。いい人は所属になって捨てたんだけどな……。まあでも大江戸隊のモットーは「テキトー」だと。テキトーがモットーなので、気にせず、メンバーはメンバーで野放しにして、自分たちで何とかしてもらおうと思います。これが試合に影響、結果に影響してきたら、リーダーである自分がなんとかしようかと。今はちょっとした成長過程です。

――それでは今後の大江戸隊の野望については?

 花やメンバーと話しているのは「スターダムを侵略」しようと。最終目標はスターダムを上回る大江戸隊で、スターダムの大江戸隊ではなくて、大江戸隊のスターダムにしてやろうというところです。ベルトはやっぱり大江戸隊が全部持って、大江戸隊が中心に。まあ今も大江戸隊が中心で、大江戸隊ありきなんですけどね。
 アーティストのベルトも今は、QQなのか、きゅうりのキューちゃんってところが持ってますけど、ユニットとしては大江戸隊がピカ一。対抗戦にも勝っているしね。あとジャングルのところもメンバーがそろったりそろわなかったり、本隊も岩谷がけがしているし、美闘もよく分かんないし。まあここはちょっと大江戸隊を“ブランド”、例えばシャネルやルイヴィトンといったブランド、新日本プロレスの“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”のようなものにしたいです。

リーダーとして、狙いは赤いベルト!

――花月選手個人としての目標は?

 やっぱり大江戸隊リーダーとしては赤が欲しいですね。団体最高峰のベルトは赤だと思っているので。今はトニー(・ストーム)が持っていて海外に流出し、美闘とイオが白のベルト(ワンダー・オブ・スターダム)を団体最高峰とか言ってますけど、私は確実に赤です。
 それで花が白に興味があると言っていたし、クリスがハイスピードに返り咲きしてもらえばいいかなと思います。タッグは持っているし、アーティストもこの3人なら奪い返せますしね。

――そうなると敵なしですね。

 まあベルトが大江戸隊に巻いてくれと言っていますよ。本当に海外へ流出させちゃうなんてありえないじゃないですか! QQもバイパーが持って帰って、ありえない! メンバーとしてありえない!

――赤いベルトを狙うタイミングについてはどうですか? トニー選手が巻いている間に狙うのか、それとも誰か別に移ってからか。

 そこはどうでもいいです。誰でもいいですよ。そこはテキトーで。ただ、トニーとは対戦したことがないんですよね。タッグでも当たったことがなくて。一度も対戦したことがないので、興味はあるっちゃあります。だからといってトニーが誰かに取られたから狙わないというわけでなく、赤に狙いを定めることに変わりはないです。

 それで赤いベルトを取ったあかつきにはやりたいことがあるんですよ。まあ、それは秘密ですけどね(笑)。

ケリー&ビーとのリマッチは大歓迎

後楽園ではタッグリーグ戦を制したケリー&ビーと対戦。ベルトの海外流出だけは阻止したい 【写真:SHUHEI YOKOTA】

――最後に19日の後楽園大会について伺います。今回はタッグリーグ戦覇者のケリー・クレイン&ビー・プレストリィー組とのゴッデス王座戦となります。

 タッグリーグで唯一自分たちが負けた相手で、彼女たちが優勝しようがしまいが、借りを返さないとと思っていました。自分がピンフォールを取られているので、リマッチしたかったし、ちょうどいいタイミングでした。早い段階で決まって良かったです。王者はこっちですけど、実質的にはリマッチですね。

――2人の印象は?

 今までの外国人選手と違って、意欲や知識があるというか、ふさわしい対戦相手で、面白くなると思います。ただ、会見の時には上から目線でこられて試合を見ていると。だったら、大江戸隊の扱いは分かるよね、と。
 これは2人に限らず大江戸隊を嫌いな人は、せこいとか何とか言ってくるんですけど、お前ら大江戸隊の試合を何回見ているんだと。同じセリフばっかりじゃねえかよ。それを踏まえたうえでの戦い方を考え、うちらが何かを企んでいることも入れて、頭を使えよと。

――それでは最後に、スターダムファンにスターダムの花月として、どんな姿を見せていきたいかお伝えください。

 大江戸隊はシャネルみたいなブランドになって、スターダムを侵略します!

 あとはまあ、とりあえず所属にはなりましたけど、仲良しこよしでやっていく必要はさらさらないし。ないけど団体として、責任を持たなければいけない立場になったので、そのあたりを視野に入れて、下の子の育成とかは、直接はしないですけど、何かをはさんでやっていきたいなと思います。もちろん、今まで通り、ブーイングは大歓迎です(笑)。
■スターダム「STARDOM BEST OF GODDESSES 2017」
11月19日(日)東京・後楽園ホール 開場11:00 開始12:00

<ワンダー・オブ・スターダム選手権試合>
[王者]美闘陽子
[挑戦者]紫雷イオ
※美闘は3度目の防衛戦

<ゴッデス・オブ・スターダム選手権試合>
[王者組]花月、木村花
[挑戦者組]ケリー・クレイン、ビー・プレストリィー
※花月&木村花は3度目の防衛戦

<スターダムvs.大江戸隊 シングル初対決>
美邑弘海
夏すみれ

<クイーンズ・クエストvs.大江戸隊ザ・リベンジ>
渡辺桃
クリス・ウルフ

<タッグマッチ>
HZK、AZM
シャーダネー、スカーレット

<6人タッグマッチ>
米山香織、ジャングル叫女、刀羅ナツコ
小波、スターライト・キッド、渋沢四季

<シングルマッチ>
ルアカ
羽南

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