ロッテの若きエース候補・二木康太 不屈さとクレバーさで井口新監督に勝利を
鹿児島屈指の右腕へ成長
高校時代は日々の走り込みで鹿児島屈指の右腕に成長した 【写真提供:高校野球ドットコム】
5回まで127球を投げて11安打10失点。フォームがバラバラで、持ち味とするコントロールが定まらず、自分のピッチングができなかった。
強豪相手に浴びた洗礼。それでも二木は前向きだった。
「低めに丁寧に投げていれば、横浜の打者でも打ち取れる。どんなに調子が悪くても低めに投げられるような力をつけたい」
これが以後、二木を支える指針となる。
2年夏は4回戦敗退に終わるも、最上級生となった2年秋にはついに鹿児島県大会優勝。自身初、チームとしても13年ぶりの九州大会への出場を自らの右腕で決めた。九州大会では、2回戦で創成館高に敗れセンバツを逃すが、二木は鹿児島県屈指の右腕として認知される。
そして3年春の鹿児島県大会、二木はさらに安定したピッチングを展開する。九州大会出場をかけた準決勝の鹿屋工高戦で4安打完封勝利を挙げ、2季連続九州大会出場。九州大会では鵬翔高戦で完封勝利。2回戦ではセンバツ出場の沖縄尚学高相手に敗れたものの2失点完投。この頃になると二木の登板試合にはプロのスカウトの姿が数多く見られるようになっていた。
迎えた最後の夏。「最も調子が良かった」と言う二木は準々決勝で因縁の神村学園高と対決すると、初回に3点を失うも逆転勝利し、チーム初の夏の鹿児島大会4強入り。準決勝の樟南高に敗れ、悲願の甲子園出場こそならなかったが、「監督さん(図師賢剛監督)に育ててもらったからこそ、こんな投手になれたと思っています」という感謝の意を結果で示した。
迎えた13年10月24日。ロッテが、ドラフト本指名最後となる6位で指名したのは「ふたきこうた、投手、鹿児島情報高校」。急成長に急成長を続けた右腕は、ついに夢の世界へと足を踏み入れることになった。
苦労の1年目、鍛錬の2年目、そして…
このままでは……。そんな危機感を最も感じていたのは二木本人。球団も「二木プロジェクト」で彼をサポートした。食事トレーニング、ウエイトトレーニングなど、身体づくりのアプローチは多岐にわたり、体重だけでも現在は85キロ。別人の体つきとなった。
身体の成長に比例して、成績も上がっていく。2年目はファームで、26試合に登板し、3勝3敗、94回、防御率3.45と1年間通して、2軍の先発ローテーションを堅持。シーズン終盤10月5日の北海道日本ハム戦でプロ初登板。3回からリリーフとしてマウンドに上がると、140キロ前半のストレートと落差が鋭い130キロ台のフォークを中心に5回1失点の好投。来シーズンへ期待を持たせる好投を見せた。
入団3年目の16年。期待は飛躍に変わる。4月12日の東北楽天戦で、1失点完投勝利。これが二木にとって念願のプロ初勝利となった。このシーズン、22試合に登板し7勝9敗、防御率5.34とほぼ一年間通して1軍ローテーション入り。高校時代は雲の上の存在だった楽天の松井裕樹ら同年代に迫る活躍を見せた。
入団4年目の今年、さらにピッチングの精度を高めた二木は23試合に登板し昨年と同じ7勝9敗。半面、防御率は3.39と大きく改善し、完投数も2016年の「1」から「5」へ増加。自身初となるオールスターゲーム出場と規定投球回を達成し、最下位に苦しんだチームにとって希望の光となった。
かくして、球速も120キロほどの15歳からわずか7年間でロッテの若手ナンバーワン成長株にまでのし上がった二木康太。18年は16年の「ホップ」、17年の「ステップ」を経て真に「ジャンプ」の年を狙う。井口資仁新監督の下で、巻き返しと13年ぶりのパ・リーグ優勝を目指すマリーンズのエースを担うための戦いは、もう始まっている。
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