三冠王・王柏融ら若きスターずらり アジアの頂点を狙う台湾代表

駒田英

陽岱鋼をキャプテンに任命

今大会のために準備された新たなユニホーム。新たなチームロゴの台湾犬は、何をも恐れない、頑強不屈の精神、「台湾精神」を表しているという 【CPBL(中華職業棒球大連盟)】

「アジア プロ野球チャンピオンシップ」台湾代表25人のうち、CPBL(中華職業棒球大連盟)所属の選手は22人、NPBからは陽岱鋼(ヨウ・ダイガン/巨人)、陳冠宇(チェン・グァンユウ/千葉ロッテ)、呉念庭(ウー・ネンティン/埼玉西武)の3選手が代表入りした。このうち、27歳の陳冠宇、30歳の陽岱鋼はオーバーエイジ枠での招集であり、投打の柱としての活躍が期待される。

 代表を率いるのは、監督としてCPBL歴代最多勝利の記録を持つLamigoの洪一中(ホン・イージョーン)監督だ。国際大会経験も豊富で、短期決戦にも強い名将だが、現役監督であり、代表専任監督を起用した日韓のような東京オリンピックまでを見越した形ではない。なお、洪一中監督は8日から始まった代表合宿で、陽岱鋼をキャプテンに任命。自身の経験を若い選手に伝えていくことを希望した。

CPBLで実績ある野手陣そろう

 25人の代表メンバーで、目を引くのは、今シーズン、CPBLで活躍した若きスター選手が一同に介した野手陣だ。
 
 何といっても注目は、“大王”こと王柏融(ワン・ボーロン/Lamigo)だ。今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)直前、日本代表との強化試合で活躍し、話題となった。今シーズンも絶好調で、2年連続の4割台となる打率4割7厘、本塁打31本、101打点の好成績で、CPBL史上2人目(台湾人選手としては初)の三冠王に輝いた。さらに、外野手としてゴールデングラブ賞を獲得し、ベストナインにも選ばれ、2年連続となる年間MVPにも輝いた。

 代表メンバーのうち、王柏融とともに今年のベストナインに選ばれたのが、内野手の陳傑憲(チェン・ジェシェン/統一)だ。岡山県共生高校出身の陳傑憲は、俊足巧打の1番打者として、チームの年間安打記録を更新し、シーズン終盤まで王柏融と首位打者、最多安打を競ったほか、リーグ2位の17盗塁をマークした。また、2年目の蘇智傑(スー・ジージェ/統一)は、打率3割5分1厘、17本塁打、77打点の好成績を記録。若き4番としての任務を果たした。

 また、10月に台湾へ視察に訪れた日本の稲葉篤紀監督が、王柏融とともに印象に残った選手として名前を挙げた朱育賢(ジュウ・ユィシェン/Lamigo)は今季、いずれもリーグ2位となる本塁打27本、83打点を記録した。

 ちなみに、王柏融、陳傑憲、蘇智傑は、地元・台湾で開催した2014年U−21ワールドカップの優勝メンバーであり、朱育賢、王柏融、蘇智傑はいずれも、名門・文化大の出身で1学年違いだ。“大王”の大活躍により、しばしば比較される彼らは、いい刺激を受けているようだ。

先発不足も救援陣は豪華メンバー

NPB・ロッテでプレーする陳冠宇。今大会では先発の一角として韓国戦での登板が濃厚だ 【写真は共同】

 投手陣に関しては、目下CPBLでは、各球団ともにローテーションの柱は外国人投手頼みとなっており、規定投球回数に達した台湾人投手はこの2年で鄭凱文(中信兄弟/元阪神ほか)と王溢正(Lamigo/元横浜DeNA)という、2人のNPB出身者のみとなっている。若手投手は、ケガの影響や伸び悩みもあり、先発の機会を十分に与えられた選手自体が少なかった。

 こうした中、今シーズン中継ぎで結果を出した陳冠宇がオーバーエイジ枠で招集され、先発として起用されるほか、CPBLからは今季プロ初勝利を含む6勝を挙げた右腕・林樺慶(リン・ホヮチーン/Lamigo)と、15試合に先発して3勝、防御率3.79の左腕・林政賢(リン・ジュョン シェン/富邦)が先発候補として選出された。本大会では、NPB・ロッテとの練習試合の登板順に、まず韓国戦が陳冠宇、日本戦が林樺慶、そして決勝に林政賢が先発することが濃厚だ。日本戦先発予定の林樺慶は、140キロ前半のストレートに加え、カーブ、フォーク、シンカーなどの球種をもつ。

 中継ぎ、救援はCPBLを代表する面々がそろった。シーズン優勝のLamigoからは、稲葉監督も注目の選手の1人に挙げた右腕の朱俊祥(ジュウ・ジュンシァーン)、今年のホールド王、元カブス傘下で、2013年WBC代表経験もある王躍霖(ワン・ユェリン)、そして、オーバーエイジ枠で、今年リーグ新記録の37セーブを挙げたリーグを代表するクローザー陳禹勲(チェン・ユーシュン)が代表入り。

 また、リーグ3位の17ホールドをマークした邱浩鈞(チゥ・ハォジュン/統一)のほか、独立リーグ・石川でプレーした154キロ右腕、王鴻程(ワン・ホンチェン/中信兄弟)と、米マイナー経験者で、独立リーグ・高知でクローザーを務めた羅国華(ルォ・グォ ホヮ/富邦)がブルペンを支える。救援陣唯一の左腕、彭識穎(ポン・シーイン/中信兄弟)は、制球がいい。

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著者プロフィール

台湾野球好きが高じて2006年に来台。語学学校でまず中国語を学び、その後、大学院で翻訳を専攻。現在、政府系国際放送局で日本語放送のパーソナリティーを務め、スポーツ番組も担当。『台湾プロ野球<CPBL>観戦ガイド 』(ストライク・ゾーン)に執筆者の一人として参加した。

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