松岡修造も驚いた、国枝慎吾の金宣言 東京パラまで「まだまだ進化できる」

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東京大会が決まり興奮で寝られなくなった国枝

東京パラリンピックを「すごく楽しみにしている」と話すマールー(右) 【スポーツナビ】

松岡 国枝さんには申し訳ないけど、東京までやると思っていなかった。

国枝 東京への招致が決まる前までは2016年のリオ大会で終わろうと思っていたんですよ。でも、東京に決まった瞬間から、20年に向けて頑張ろうという気持ちが湧き上がってきた。ちょうど、東京が決まった日は、全米オープン決勝の前日でした。その夜、(興奮で)寝られなくなってしまって、翌日は寝不足で全然良い試合ができなかったですね(笑)。

松岡 寝られなかったの?

国枝 東京(が決まった)の興奮ですよね。東京にオリンピック・パラリンピックが来るというのは選手にとって、本当に興奮するし、こんなチャンスはないですから、絶対に出場したいと、その日から思っています。

松岡 僕だからこういう質問をしますよ。先に謝っておきますけど、国枝さんが世界ナンバーワンの状態で今の言葉を聞くと普通に感じるんですが、ケガもある、ランキングも落ちている、若手もどんどん強くなっている中で、今の発言はどういう思いなんでしょうか?

国枝 「まだ金メダルが取れるぞ」という思いです。

松岡 僕だったら厳しいな、と思ってしまう。世界はパワーテニスで、国枝さんがやっていたテニスを世界がまねして強くなっている。そこに勝つにはさらに国枝さんも進化しなくてはいけない。

国枝 僕も強くなります。いろいろな改造に着手していて、車いすやフォームを見直しています。松岡さんは先日の全米オープンを見たとき、国枝のプレーはやばいなと思ったと思いますけど(笑)。ただ、打ち方がようやく分かってきたところもありますから、まだまだ進化できると日々、実感しています。この調子で行けば2020年、金メダルは僕だろうなと思っています。

松岡 マールーさんは国枝さんの発言を聞いてどう感じていますか?

マールー もちろん自分がやれるという可能性を感じて、まだ伸びしろがあるのだと思うのだったら、やらない理由がないじゃない。だって、自分の国でしょ?

松岡 マールーさんは東京に向けて、どんな思いですか?

マールー すごく楽しみで、ロンドンパラリンピックで金・銀、リオで金2つということで、東京は2つのタイトルを守らないといけない。また、パラリンピックが東京で行われることがすごく大きな意味になると感じています。そういう部分で本当に楽しみ!

朝原 自国開催は楽しみですが、その分プレッシャーがかかるわけじゃないですか。なので、マールーさんみたいに「自分の国だから自分が主役になって活躍してやるんだ」と楽しめればいいですが、抱え込んでしまうと怖いなと感じます。

東京では「選手たちを応援しに行く」姿勢で

朝原氏は今夏の世界陸上を見て、ロンドンの人たちは選手を応援しに来ていたと話した 【スポーツナビ】

松岡 2012年のロンドン大会は、特にパラリンピックで「大成功」と言われています。お客さんの心が一つになっていた大会だったと感じるんですよ。東京は正直に言うと、まだ(パラリンピックに)慣れていないかもしれない。だからこそ、僕らは何をしていけばいいのかをいつも考えていますが、マールーさんはどう感じていますか?

マールー ロンドン大会から人々がパラリンピックを見るようになり、注目するようになりました。東京では、オリンピックとパラリンピックが別なものという考え方ではなく、同じように盛り上がっているように感じます。それがすごく大事なのではないでしょうか。パラリンピックもオリンピックも、互いが支えあう環境ができていることを東京オリンピック・パラリンピックに強く感じて、良いことだと思います。

松岡 朝原さん、僕らは開催国としてスポーツの祭典を見せるだけではなく、日本という国・文化・人柄を伝えなければいけないと思うんですよ。その辺りはどう思われますか?

朝原 今年、ロンドンで陸上の世界選手権がありましたが、ロンドンの人は“見に行く”のではなく、イギリス人だけではなく選手たちを、“応援しに行く”という意思を持ってスポーツを見ていると思います。東京ではぜひ「すごいものを見に行く」というより、「選手たちを応援しに行く」ようになるといいなと思います。

国枝 ロンドンでは、テニス選手として盛り上がるべきところでお客さんが盛り上がる。東京でも選手のプレーに熱中してほしいですね。熱中させるために選手もより頑張らないといけないと思っていますね。

弱さを受け止めて強さに変える

松岡 マールーさんが一番大事にしていることは何でしょうか?

マールー 将来アスリートとしてやっていきたいと考えている子どもたちにとっての架け橋の一つや、そのきっかけに自分がなれたらいいなと思っています。

松岡 国枝さんは自分のどんな思いを感じてほしいと思っていますか?

国枝 プレーを見てもらえれば、きっと僕の生き様が伝わるのではないかなと思っています。僕のファンになってほしいですし、車いすテニスのファンになってほしいです。さらにパラリンピックのファンにもなってほしいと思っているので、まずは会場に足を運んでいただいて、一度プレーを見てほしいですね。

松岡 近くにいて国枝さんからすごくパワーを感じます。「国枝さんのように強くなりたい」と、僕も錦織圭も思っている。強くなっていくために国枝さんが、大事なことだと思っていることは何ですか?

国枝 強さもあり、弱さもあるのが人間。弱さをしっかり受け止めて、その弱さを強さに変えていくためにはどうすればいいのかを考えることがすごく大事だなと思います。それは精神的にもそうですし、テニスもそうだと思うんですね。自分の弱いところを見つめて、そこを直していけば強くなれる。それは心もテニスも一緒だと思います。

マールー 私はオランダ人なので、とにかく真っ直ぐに、弱さは気にしない! 負けたら流して先に進む。そうやって私はどんどん強さを追い求めています。

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