前進か、後退か―― 緒方広島の敗因と3連覇への課題
1位で地元の星・中村の指名成功も…
ドラフトでは中村奨成の交渉権を引き当てた。打てる捕手として期待がかかる 【写真は共同】
ただ、このドラフトでは不満も残った。現状のチームで最大の補強ポイントだった左投手を1人も指名しなかったことだ。育成を含めて計9人の指名選手中7人が投手だったが、すべて右投手で、即戦力どころか、将来性を見込んだ高校生の指名もなかった。実力重視の指名であったのだろうが、この偏った指名には首をかしげる部分もあった。おそらく球団の方針では、今季1軍でも先発した高橋樹也や、1年目はファームで力を蓄えた高橋昂也など、現有戦力の成長を期待していると見られるが、先発、リリーフでの慢性的な左腕不足は、来季もチームの弱点となっている。
不安材料を跳ねのけて3連覇なるか
来季に向けて、現時点では不安材料も多い。悲願の日本シリーズ制覇へ、来季を「三度目の正直」とすることができるのか。FAが解禁となり、首脳陣でも石井、河田の両コーチの東京ヤクルト移籍が有力になるなど、各チームとも、オフの補強を着々と進めている。それでも主力選手の多くが最盛期を迎えつつあり、シーズンの戦いで選手層の厚さも見せつけた広島が、来季も優勝候補の一角であることは間違いない。リーグ3連覇となれば、セ・リーグでは巨人を除けば初の快挙となる。3連覇への挑戦権は、連覇を果たしたチームのみに与えられる特権だ。こんな千載一遇とも言えるチャンスを逃すわけにはいかない。
(大久保泰伸/ベースボール・タイムズ)