【UFC】レジェンドファイター、GSPの復活 豪華3大タイトルマッチで燃え上がる!

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ニューヨークMSGで開催される「UFC 217」。メインでは4年ぶりのオクタゴン復帰を果たすGSP(右)がタイトルマッチに挑む 【Getty Images】

 コナー・マクレガー(アイルランド)のライト級タイトル奪取に沸いた昨年11月開催の「UFC 205」。伝統のマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で行われたUFC初イベントは観客動員数2万人、ゲート収入はMSG新記録の1770万ドル(約20億円)を記録するなど、大成功のうちに終了した。そして今年もUFCはタイトルマッチ3試合を擁する年間最大のイベント、「UFC 217」(日本時間11月5日開催)で“ビッグアップル”に乗り込む。

ウェルター級王座9連続防衛、GSPが4年ぶり復帰

ウェルター級で黄金期を過ごしてきたGSP。1449日ぶりのオクタゴンで、昔のような輝きを放てるか 【Zuffa LLC】

 メインイベントはUFCミドル級タイトルマッチ、王者マイケル・ビスピン(イギリス)に、4年ぶりのオクタゴン復帰を果たすMMA史上最強王者の1人、GSPことジョルジュ・サン・ピエール(カナダ)が挑戦する。

 極真空手をバックグラウンドに持ち、日の丸に“必勝”と書かれたハチマキ姿で入場することでおなじみのGSP。オールラウンダーのカーロス・コンディット(米国)、喧嘩(けんか)屋ニック・ディアス(米国)、天才B.J.ペン(米国)、寝業師ジェイク・シールズ(米国)など、とんでもない難敵を次々に撃破し、7年間に渡ってウェルター級王座を9回連続防衛していたGSPは、2013年のジョニー・ヘンドリックス(米国)戦後の勝利者インタビューで、「いろいろ考えたんだけど、しばらくグローブを外すことにする」と唐突に宣言。32歳の全盛期にして、長い沈黙期に入ってしまった。

 キャリアを中断した理由の1つとしてGSPは、「MMAにドーピングが横行している。常時抜き打ちで行う薬物検査を導入すべき」と主張していた。その言い分は、当時の状況ではあまりにも理想郷的に映り、GSPは潔癖過ぎるのではないかと指摘する向きもあったほどだった。しかし、ご存じの通り、今のUFCにはGSPが主張した通りの薬物検査プログラムが導入されている。

 さらに最近になって、GSPは長い休暇をとった別の理由を次のように赤裸々に語っている。

「当時のウェルター級は、選手層がすごく厚くて、次から次へと殺し屋が送り込まれてきて、息もできなかった。ほかのスポーツとは違い、これは本物の生存競争だ。だって、本当に死ぬかもしれないんだ」

「試合前になると僕は車に乗って出かけていき、普通の人々の普通の生活を眺めるのが好きだった。スーパーから紙袋を抱えて出てくるおばあさんは、僕が土曜日の夜に戦うことなんか知らない。彼女にとって、僕なんか、どうでもいい存在だ。僕のことを気に掛けている人は、世界のほんの一握りの人だけであって、僕の試合なんて些細(ささい)なこと……。そう思うとプレッシャーが和らいで、気分が良くなった。長期間チャンピオンを続けることはきつい。世界がずっと自分中心に回っているように感じられるからだ。僕にはエネルギーを補給する時間が、本当に必要だった」

 GSPは今回、ウェルター級ではなくミドル級で復帰を果たす。勝てば史上4人目の2階級制覇だ。「ビスピンは僕には勝てない。保証する。水は濡(ぬ)れる。火は燃える。そして僕はビスピンに勝つ。こんなにはっきりしていることはない」と自信を見せるGSP。1449日ぶりのオクタゴンで、かつての強い姿を見せてくれるのか、それともやはり時の流れは無情なのか。謎と不安と期待の答えはまもなく、いやがおうにもさらけ出される。

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