【UFC】レジェンドファイター、GSPの復活 豪華3大タイトルマッチで燃え上がる!
ニューヨークMSGで開催される「UFC 217」。メインでは4年ぶりのオクタゴン復帰を果たすGSP(右)がタイトルマッチに挑む 【Getty Images】
ウェルター級王座9連続防衛、GSPが4年ぶり復帰
ウェルター級で黄金期を過ごしてきたGSP。1449日ぶりのオクタゴンで、昔のような輝きを放てるか 【Zuffa LLC】
極真空手をバックグラウンドに持ち、日の丸に“必勝”と書かれたハチマキ姿で入場することでおなじみのGSP。オールラウンダーのカーロス・コンディット(米国)、喧嘩(けんか)屋ニック・ディアス(米国)、天才B.J.ペン(米国)、寝業師ジェイク・シールズ(米国)など、とんでもない難敵を次々に撃破し、7年間に渡ってウェルター級王座を9回連続防衛していたGSPは、2013年のジョニー・ヘンドリックス(米国)戦後の勝利者インタビューで、「いろいろ考えたんだけど、しばらくグローブを外すことにする」と唐突に宣言。32歳の全盛期にして、長い沈黙期に入ってしまった。
キャリアを中断した理由の1つとしてGSPは、「MMAにドーピングが横行している。常時抜き打ちで行う薬物検査を導入すべき」と主張していた。その言い分は、当時の状況ではあまりにも理想郷的に映り、GSPは潔癖過ぎるのではないかと指摘する向きもあったほどだった。しかし、ご存じの通り、今のUFCにはGSPが主張した通りの薬物検査プログラムが導入されている。
さらに最近になって、GSPは長い休暇をとった別の理由を次のように赤裸々に語っている。
「当時のウェルター級は、選手層がすごく厚くて、次から次へと殺し屋が送り込まれてきて、息もできなかった。ほかのスポーツとは違い、これは本物の生存競争だ。だって、本当に死ぬかもしれないんだ」
「試合前になると僕は車に乗って出かけていき、普通の人々の普通の生活を眺めるのが好きだった。スーパーから紙袋を抱えて出てくるおばあさんは、僕が土曜日の夜に戦うことなんか知らない。彼女にとって、僕なんか、どうでもいい存在だ。僕のことを気に掛けている人は、世界のほんの一握りの人だけであって、僕の試合なんて些細(ささい)なこと……。そう思うとプレッシャーが和らいで、気分が良くなった。長期間チャンピオンを続けることはきつい。世界がずっと自分中心に回っているように感じられるからだ。僕にはエネルギーを補給する時間が、本当に必要だった」
GSPは今回、ウェルター級ではなくミドル級で復帰を果たす。勝てば史上4人目の2階級制覇だ。「ビスピンは僕には勝てない。保証する。水は濡(ぬ)れる。火は燃える。そして僕はビスピンに勝つ。こんなにはっきりしていることはない」と自信を見せるGSP。1449日ぶりのオクタゴンで、かつての強い姿を見せてくれるのか、それともやはり時の流れは無情なのか。謎と不安と期待の答えはまもなく、いやがおうにもさらけ出される。