サブちゃん悲願の春秋連覇へ武豊キタサン 宝塚の敗因は?仕上りは?天皇賞秋座談会

競馬専門紙「優馬」

競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会

 今週は中距離における最高峰の座を賭けた戦い、天皇賞・秋。年内での引退を表明したキタサンブラックが春秋連覇を果たすのか。それとも、毎日王冠組をはじめとする精鋭たちが壁となって立ちはだかるのか。数々の名勝負を刻んできた東京2000mに、今年はどんなドラマが待ち受けているのか。優馬TM(トラックマン)陣が激論を戦わせる。

残り3戦キタサンブラック 前走の敗因と仕上りは如何に

史上5頭目の同一年天皇賞春秋連覇を狙うキタサンブラック(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「今年の最大のテーマは、ここから始動してジャパンC、有馬記念で引退するキタサンブラックの扱いだよな。前走の宝塚記念の敗因をどう見るか、仕上りも気になるところだが……」

武井キタサンブラックがあれほど大きく負けたのはダービー以来となりますが、そのダービーは年明けのデビューから5戦連続での関東遠征で、疲労困憊とも言える状態だったと思います。同様に、宝塚記念はディープインパクトの記録をコンマ9秒も更新する驚異的なレコード走だった春天の反動と見ていいのではないでしょうか。ちなみに、ダービー後は休養を挟んで秋のセントライト記念と菊花賞を連勝したように、厳しい競馬のあとのリフレッシュで体調を戻すことのできる馬ですからね。ここは本来の強い姿が蘇るはずですよ」

佐藤直「その状態面に問題があったダービーを除いて、キタサンブラックが敗れた6戦は全て阪神と中山の内回りコースなんだから、東京でのこの馬には信頼が置けるよな。宝塚は途中でレースをやめているからダメージも最小限に抑えられたはずだし、いつもの始動よりも2週速く帰厩して、調整の中身も今までで一番と言えるほど内容は濃いぞ。オーナーは天皇賞と有馬記念にかなりの思い入れがあるようで、春秋連覇は最大のミッション。いきなり動ける造りだと思うよ」

田崎「宝塚記念については、僕はそこまで悪い状態には見えなかったので、敗因は判然としませんが、要は“キタサンブラックも馬だった”ということでしょう。ラスト3戦は全て勝ちに行く仕上げになると思いますし、実際に抜かりはないですね」

デスク「とはいえ、全部勝つのは春の3戦も示すとおり至難の業だろうし、有馬で有終の美を飾りたいのなら、ここは始動戦らしいソフトな仕上げで臨んでくる気もするんだが」

「田崎君も言っているように、前走については陣営もコレといった敗因を掴んでいるわけではなく、強いて言えば“目に見せない疲れがあったのか”といったところなんです。今までの休み明けもそうでしたが、レース間隔があいてもキッチリと結果を出せる馬ですし、いつも通りのメニューをこなして、とても“叩き台”という仕上げではありません。これだけの馬ですから、当然でしょうけど」

守屋「昨年のジャパンCでは、前半1000メートル61秒7のスローで行ったとはいえ、ラスト3ハロンを11秒4−11秒2で突き放し、最後に12秒1でまとめています。東京でこの上がりのまとめ方をされたら後続は追いつけるはずがなく、北島三郎オーナーの話題先行、人気先行の馬ではできない“名馬”の域に達したと思いましたね。雨に関しては、昨年の宝塚記念が稍重発表とはいえかなり悪い馬場状態で、それを自ら1000メートル59秒1と速めのペースで行ってタイム差なしの3着にまで粘り込んだのですから、道悪も大丈夫でしょう。まともに走れば現役最強はもちろんのこと、殿堂入りした過去の名馬たちと比べても遜色がない馬ですよ」

小桧山「ただ、キタサンはけっして道悪がプラスになるわけではないよな。それ以上にディープインパクト産駒はキレ味が削がれる馬場になるはずだし、パワー型が有利じゃないかと思うんだ。ならば、同じ春の中距離GIでも重視すべきは大阪杯ではなく、今回の馬場に近い宝塚記念の方で、サトノクラウンの出番だろう。このコースでは絶好と言える枠も引けたし、キタサン以外には胸を張れるGI2勝の実績、そして鞍上と、非の打ち所がないよ」

デスク「ただ、サトノクラウンは、このレースでの過去2回はともに二桁着順に惨敗してるよな」

小野智「そこが不思議なところですが、東京2000nがダメな理由を見つけられないことは確かです。“たまたま”か、“本格化以前”ということにして、私は目をつぶりたいですね。何より雨が降ってのスタミナ勝負なら、飛んで来るのはこの馬を置いて他にないはずですよ」

那谷「またミルコかよ、って言われそうだけど、俺もサトノクラウン推しだよ。一応は良馬場発表だった香港ヴァーズも、時計のかかる馬場で強豪ハイランドリールを退けたものだし、道悪適性なら間違いなくメンバー1だろう。“雨は降れば降るだけ歓迎。重馬場になればかなりチャンスがあると思う”というミルコの言葉も、稍重以上の馬場での重賞4勝のうち3勝で手綱を取っているだけに、信頼できるよな。そして、堀厩舎のもう一頭、ネオリアリズムも重馬場は合うタイプだから、親子丼の可能性だって十分あると思うぞ」

デスク「これは是非とも“コジジャッジ”が聞きたいな」

小島サトノクラウンの2走前、大阪杯の敗因は勝負をかけて目一杯に仕上げたのが馬体減という裏目に出たのが敗因で、けっして距離ではないんですが、やはり陣営はベストの距離を2200〜2400mと見ているようで、デムーロ騎手も“2000mは少し忙しい”と言っているそうです。仕上り自体は何ら問題はなく、馬場悪化もプラスなので、その距離不足を相殺できるかとは思うんですが……」

デスク「で、自身の印も微妙に▲にとどめたわけだな。一方で、ネオリアリズムの方はどうなんだ?」

小島「鮮やかだった前走については“さすがはモレイラ騎手”とのこと。あれだけ折り合いが難しい馬を完璧に導いてましたからね。前走後は予定していた札幌記念を軽いツメの不安で回避しましたが、やはりその影響は少なからずあると思います。それに厩舎サイドは“コーナー4つの方が息が入りやすく、折り合いも付きやすい”と言っていますし、東京で3勝しているとはいえ全て条件戦でのものですからね。そういう意味で、ここは暮れの香港へ向けての一叩きと見ることもできそうですよ」

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著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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