エネイブル級?◎集中ソウルスターリング 3歳女王登場の毎日王冠を競馬記者が激論

競馬専門紙「優馬」

競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会

 今週は東西で秋のGIを占う重要なステップレースが組まれた。8日(日)に東京競馬場で行われるのは毎日王冠。数多くの名レースが過去に繰り広げられた伝統の重賞だが、今年は3歳女王のソウルスターリングが古馬強豪に初めて挑戦する舞台となった。

3歳女王ソウルスターリングが牡馬&古馬の壁に挑む

マイナス材料が見当たらない3歳女王のソウルスターリング(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「秋天に向けての重要な前哨戦となる一戦だが、今回最も注目されるのはオークス馬ソウルスターリングの参戦だろう。先日の神戸新聞杯を勝ったダービー馬レイデオロは次走がジャパンカップとのことで、オークス馬も秋華賞には見向きもしないというのは、いかにも藤沢和雄厩舎らしいよな」

馬場「ともに、3歳の秋を迎えて世代の戦いにとどまるレベルの馬ではないということですね。ソウルスターリングは、山元トレセンでこの夏を過ごしましたが、帰ってきてからも順調そのものですし、陣営の思惑通りに仕上っています。開幕週の絶好の馬場なら、古馬の牡馬相手でも、この馬のスピードが通用するはずですよ」

佐藤直ソウルスターリングは、総合力で古馬や牡馬を圧倒するだけの素質を春の時点で示したと言えるし、一夏越して、馬体も精神面でも成長したのなら、もっと強くなっているはずだよ」

小桧山「凱旋門賞のエネイブル級とまでは言わないけど、稍重の桜花賞以外はパーフェクトな競馬だからな。斤量のアドバンテージやコース実績、そして鞍上と、魅力はてんこ盛りだよ。このレースにおいては先行できる自在性も頼もしいだろ」

久光「逃げ馬が不在ということもありますが、近年の傾向通り、今年もスローから上がりの競馬となる公算が高そうですよね。となると、重要なのは道中の位置取り、更には斤量面も微妙に影響するはずです。好位から安定した取り口で53キロのソウルスターリングには、マイナス材料が皆無ですし、逆らう必要はありません」

山崎「ジェンティルドンナに次ぐ歴代2位の時計で駆けたオークス馬が、古馬の牡馬相手に通用しないはずはありませんよね」

デスク「本紙武井もそんなところか?」

武井ソウルスターリングの阪神ジュべナイルFは朝日杯FSより1.4秒、チューリップ賞はアーリントンCより0.9秒も速い時計でしたから、ペースが大きく異なったダービーとの比較はともかくとしても、能力は牡牝を問わず3歳の頂点レベルと見ていいはずです。この毎日王冠においては、けっして世代のトップホースではない3歳馬が活躍できることも、過去の歴史が示す通りですし、ましてトップホースなら不動の◎ですね」

小野智「私もソウルスターリングの強さは認めますが、一線級の古馬を相手に今までと同じ競馬ができるかどうかの不安も否めないと思うんですよね。だったらグレーターロンドンを。5戦4勝の東京は申し分のない舞台ですし、これまで唯一馬券対象から外れて4着だった前走の安田記念も、勝ち馬とは僅かコンマ1秒差でした。その勝ち馬とは今回2キロの斤量差があるので、逆転も十分可能だと思います」

坂倉グレーターロンドンの安田記念は、けっして万全の状態ではなく出走すら微妙な雲行きでのものでしたからね。直線で少しゴチャついたところもあり、初のGIで堂々たる内容だったと言えます。復帰後は一貫してマイル戦を使われてきましたが、テンにいけないタイプなので距離延長もむしろ歓迎でしょう。今週の一追いで態勢も整っていますし、ここでキッチリ賞金加算ができると見ました」

守屋「その前走は、坂倉さんも言うように、レースの3週間ほど前に脚元に熱をもち出走を回避するプランもあったんですよ。今回も中間に左前脚の球節にクリーニング手術をしたそうですが、これは脚元に内視鏡を入れ、球節内部のはがれかかっている軟骨などを除去するというものなんです」

デスク「野球選手とかの“ネズミ”みたいなもんか?」

守屋「そうなんですが、その“ネズミ”ができる前の段階らしく、手術自体は簡単なもので、ほとんど馬に負担はかからないとのことでした。ただ、それもあってか、この中間は放牧ではなく厩舎に置いて、ジックリ馬の状態を見ながらの調整となったわけです。短期放牧→トレセン入厩後すぐ競馬、という流れになって久しいですが、昔ながらのこの調整にはむしろ好感が持てますよね。実は一週前まで、大竹師は“休み明けの分か、まだボケッとしている感じ。一度使ってからになるかな”なんて話していたんですが、今週になって“水曜にジョッキーに跨ってもらって追い切ったら、一気にピリッとした。木曜日に馬を見てもそのときの感じだし、これなら久々でも大丈夫そう”と一気にトーンアップ。普段、控え目な師だけに、この感触ならと僕も思いますよ」

西田「ただ、ほとんどの有力馬が休み明け、という点で、久々を一度叩かれたアストラエンブレムの順調度は魅力ですよね。重賞での実績では見劣りますが、相手なりに走るのはメンバーが揃ったここでは強みになりますし、東京では常に圏内に来る馬ですよ」

小島「確かに、正直このメンバーに入ると格下感が否めない重賞未勝利馬ではありますが、本番前に一叩きの馬に対して常に全力投球のこの馬は、このレースに関しては互角と見ていいはずです。今回は後ろからジックリ運ぶ、とのことですが、これも吉と出る気がしますよ」

デスク「最近のアストラエンブレムは正攻法の競馬が続いていたけど、今回は控えるのか」

山崎「ここ数戦は常に人気になっていたこともあって、デムーロ騎手がそういう選択をしていたようですが、前を抜こうとしないところもあって、陣営も“やはり下げて脚を溜める競馬が合っている”と判断したようですね」

小野智「今回が初騎乗となる戸崎圭騎手ですが、先週の調教で跨いでの感想は“馬自体は凄くいい馬なんですが、耳を絞ったりして気難しい面がありますね。ここ数戦の2着続きもその辺かな、って思いました”とのこと。フルに能力を発揮できれば足りていいとは思いますが……」

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著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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