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ハリル「ポゼッションがすべてではない」
親善試合 NZ戦、ハイチ戦メンバー発表

心配なのはけが人が多いこと

西野技術委員長は2試合に向け「選手を試せる強化試合ではありますが、結果にこだわるゲームにしていきたい」と語った
西野技術委員長は2試合に向け「選手を試せる強化試合ではありますが、結果にこだわるゲームにしていきたい」と語った【スポーツナビ】

西野 あらためまして皆さん、こんにちは。非常に苦しい戦いでしたけれど、W杯出場を決めて1カ月になります。代表の強化試合を来月6日に豊田でニュージーランドと、10日に日産スタジアムでハイチと、それぞれ強化ゲーム、キリンチャレンジカップを行えるのをうれしく思っています。日本サッカーの発展にとって大事な時期ですが、強化するには難しい時期です。国内のスケジュールは佳境に入っていますし、海外ではシーズンの序盤ということで、選手たちは国内組は疲弊しているし、海外組はチームの中でいかにポジションを取っていくか。そんな中での大事な強化試合です。ここで成果を挙げて、すべて来年のロシアでのW杯を想定して、厳しいながらも大会を基準に1試合、1試合を作っていかなければいけないと思っています。各クラブに協力してもらって、選手の編成にも苦労するところもありますけれど、編成できました。


 すべて9カ月後のW杯に向けて、いかに強化していけるか。監督も予選後に話をされているように、間違いなくレベルアップしていかない限り、本戦で厳しいゲームになってくると思います。選手を試せる強化試合ではありますが、結果にこだわるゲームにしていきたいと思っています。協会としてもバックアップして、成果のある大会にしたいと思っています。


ハリルホジッチ 西野技術委員長が言ったとおり、W杯までは9カ月の準備期間がある。これからは全くの別世界に足を踏み込むことになる。W杯出場を決めたことで皆が喜んでいる。しかし、もっとも厳しいところがこれから始まる。


 私は日本のチームには大きな意欲をもって挑んでもらいたいと思う。ロシアの美しい街並みを見るだけでなく、勝利、あるいは引き分けでしっかりと結果を残さなければいけない。成功を収めるためには、われわれは現時点からレベルを上げることを目指していかなければならない。次の合宿のテーマの1つが「チームを成長させること」だ。そしてこの道のりで選手たちにとって最も重要な要素になる。選手たちのためのW杯でもあるが、3週間前に準備を始めるのでは遅すぎる。この合宿から準備が始まる。もちろんそれぞれのクラブで、それぞれのやり方でプラスアルファの努力をしてもらいたい。


 心配なところはけが人が多いことだ。そして今回の合宿のために追跡した選手の中にも3人けが人がいる。柴崎岳(ヘタフェ)、大島(僚太/川崎)、そして最近好調だった横浜F・マリノスの齋藤(学)も候補の1人だった。彼らより前にけがをした選手たちもいる。けが人は大きな問題になることもある。


 そして海外でプレーしている選手たちについて。不運なことにポジション争いで苦しんでいる選手が多いと思う。まずは各クラブでポジションを勝ち取る努力をしてほしい。何人かの選手とは話をした。それぞれのクラブで試合に出なければ、W杯のメンバーは確約できない。ロシアで結果を残すために、選手1人1人がそれを念頭に努力しなければならない。以前にも話したが、われわれは第3段階に入っている。(第3段階とは)W杯のことで、最も厳しく難しい。しかし最もエキサイティングでもある。世界最高のチームと対戦するチャンスだからだ。そのようなチームと対戦すれば、自分たちの弱点も見えてくる。より弱いチームと対戦したときには見えないことが見えてくる。そのためには、個人としても組織としても、フィジカル的、メンタル的、戦術的に準備をしなければいけない。どのチームもリスペクトしながら、自分たちの力を信じて結果を求めていかないといけない。


 たとえば(最終予選の)サウジアラビア戦やオーストラリア戦、試合終了間際に(山口)ホタルが点を取った試合(イラク戦)やアウェーでのUAE戦。そのような難しい試合でこのチームはしっかりと技術を見せることができたと思う。同時に最終予選初戦の敗戦(ホームのUAE戦、1−2)も忘れることはできない。すべては私の責任だ。フロントの方々、スタッフ、選手たち、皆さんの表情を見ると、非常に温かく接していただいていると感じる。特に街中を歩くときだ。皆さんにとってはそこまで重要な点ではないかもしれないが、出掛けた時に道端でサポーターの方から信頼されていると感じることができる。

2試合とも違ったメンバーで戦うことになると思う

24名のメンバーに対し、ハリルホジッチ監督は「2試合とも違ったメンバーで戦うことになると思う」と発言
24名のメンバーに対し、ハリルホジッチ監督は「2試合とも違ったメンバーで戦うことになると思う」と発言【スポーツナビ】

 これからリストの発表に移る。いくつか新しい選手もいるので、それを説明したい。


<メンバー24名>


GK:

川島永嗣(メス/フランス)

東口順昭(ガンバ大阪)

中村航輔(柏レイソル)


DF:

長友佑都(インテル/イタリア)

槙野智章(浦和レッズ)

吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)

酒井宏樹(マルセイユ/フランス)

酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)

車屋紳太郎(川崎フロンターレ)

昌子源(鹿島アントラーズ)

植田直通(鹿島アントラーズ)


MF:

倉田秋(ガンバ大阪)

香川真司(ドルトムント/ドイツ)

山口蛍(セレッソ大阪)

小林祐希(ヘーレンフェーン/オランダ)

遠藤航(浦和レッズ)

井手口陽介(ガンバ大阪)


FW:

乾貴士(エイバル/スペイン)

大迫勇也(ケルン/ドイツ)

原口元気(ヘルタ/ドイツ)

武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)

杉本健勇(セレッソ大阪)

久保裕也(ヘント/ベルギー)

浅野拓磨(シュツットガルト/ドイツ)


 GK3人。エイジ(川島)、ヒガ(東口)、中村。西川(周作)も最近、調子を上げてきていると思う。昨夜のACL(AFCチャンピオンズリーグ)の試合でも浦和は良かった。決勝に進んでもらいたい。エイジは内転筋に少し問題があったが、合宿には来る。来たところで、またチェックしたい。


 サイドバック(SB)は4人。ヒロキ(酒井宏)、ゴウトク(酒井高)、ユウト(長友)、車屋紳太郎。右のSBとしてヒロキとゴウトク。左のSBとしてユウトと車屋。車屋はここ最近調子がよく、機会を与えるのに値する内容を見せている。左利きの少ないこの代表において、彼にもチャンスをつかんでもらいたいと思っている。私は毎回このように、合宿で新しい選手を見たいと思っている。ただもちろん、代表に値するレベルでなければリストに載ることはない。ゴウトクにもクラブでポジションを勝ち取ってもらいたいのだが、どのような現状なのか直接話してみたい。


 センターバック。マヤ(吉田)、昌子、マキ(槙野)。槙野は(ACLで)ブラジル人に対していいゲームができたと思う。植田の場合は、先週末のG大阪戦でいいプレーを見せていた。


 守備的MF。ホタル(山口)、井手口、遠藤。昨日の遠藤は右サイド(SB)だったが、良かったと思う。今回、長谷部は入っていない。けがの問題もあったので、そのあたりを考慮した。試合後にいつも少し心配を抱えていたので、しっかり治してもらうために今回はリストに入っていない。守備的MFのところで、フィジカル的にもパワーをさらにつけてもらいたいと思っているため、今回は遠藤を入れた。そして成長し続けている井手口の姿もうれしい。非常に将来性のある選手だと思う。


 攻撃的MF3人。シンジ(香川)はゲームには出ているものの、完全にポジションを勝ち取ったわけではない。彼とも話をしたい。ユウキ(小林)はゲームに出続けている選手で、最近点も取った。倉田はここ最近の2試合でまたコンディションが上がっているので、今回リストに入った。彼のプレースピードをアップさせる能力や仕掛ける能力はわれわれにとって面白いと思う。


 右と左のFW。ゲンキ(原口)はあまり試合には出ていないが、代表ではいつもいいプレーを見せている。彼を励ます話をしたいということもあり呼んだ。彼は契約延長の問題で、クラブで今あまり試合に出ていない。久保、浅野、乾の方が試合に出て、点も取ったりしている。しっかり彼らにも、ストライカーとして点をとってほしい。今回はケイスケ(本田圭佑)は入っていない。彼もけがをしていた。しっかりコンディションを取り戻して、クラブで試合に出てほしい。より長い時間出てほしい。コンディションを取り戻したら、またメンバーに入ってくるかどうかは考えたいと思う。


 センターFW。大迫、杉本、武藤。杉本にも彼を表現する場を与えたいと思っている。武藤も、より試合に出るようになってきた。杉本、大迫とはまた特徴が違う選手だ。今回は岡崎(慎司)はリストに入っておらず、杉本と武藤にチャンスを与えたいと思った。


 2試合とも違ったメンバーで戦うことになると思う。それぞれの選手にチャンスをつかんでほしい。W杯に向けての準備が始まる。不運なことに、それぞれの選手に10回ずつチャンスを与えることはできない。選手同士の競争をより激しいものにしてほしいと思うし、ロシアへのチケットを確約できる選手は現時点では誰1人としていない。それぞれが勝ち取らなければならない。

車屋は左利きで攻撃も守備もできる選手

初選手の車屋に関しては「左利きで攻撃も守備もできる選手」と期待を寄せた
初選手の車屋に関しては「左利きで攻撃も守備もできる選手」と期待を寄せた【スポーツナビ】

――第3段階と監督はよく使われるが、具体的には何を指しているのか。今回の2試合で何を試したいか? また、本田は完全に落選と捉えた方がいいのか?


 1つ目の質問だが、まずこの合宿ではあまり出ていなかった選手に機会を与えたい。たとえば、東口をゴールマウスに立たせることもあるかもしれない。何か起きた時に東口が今後プレーすることがあれば、それにも経験が必要だと思うため、そういった機会にしたい。新しい選手をピッチに立たせることで、プレッシャー下でどのようにプレーできるか、メンタル的な状況もよりよく分かる。


 車屋がリストに入ったが、私は左利きの左SBを探していた。SBは攻撃でも守備でも大きな役割を担うポジションだ。車屋の場合は攻撃も守備もできる選手だと見ているが、どこまでのレベルでできるかを見たい。W杯での要求は今までより非常に高いものになる。選手たちのメンタル的な部分で、自分のクラブでいいパフォーマンスを見せなければW杯に行けないということを選手たちには理解してほしい。


 ロシアに確実に行ける選手は1人もいない。45〜50人の代表候補選手たちの競争を促したい。今までより、さらに要求が高くなるW杯に向けていかなければならない。今回、キリンチャレンジカップがあり、今後も親善試合などでプレーしていくが、より強いチームと当たったときに自分たちの立ち位置が分かると思う。フィジカル的、戦術的、メンタル的、あらゆる面でこのチームの成長を私は要求する。そして選手たちは9カ月間、その努力をし続けなければならない。


 本田についてだが、彼は移籍し、けがをしていた。現時点でのコンディションでは、代表ではプレーできないと思う。彼にはしっかりトレーニングをしてもらいたい。彼だけではないが、しっかりトレーニングをして、クラブでポジションを勝ち取ってもらわなければならない。


 また、クラブでのポジション、代表でのポジションで要求される役割が違ったりすることもある。そういったところも、しっかり見極めていく。全員が高いパフォーマンスを見せるということが、ロシアにいく条件になる。これと違った考え方で準備をしている選手がいるとすれば、それは間違いだったということに後で気が付くだろう。W杯に向けて最終的に23人のリストを作ることになるが、選手を選ぶ時にあらゆる基準を使っていく。まだまだ先のことなので、そうした話はできないが、今はこの2試合に勝つために準備をしていく。非常に魅力的なチームで、まずニュージーランドはプレーオフに残っているチームだ。ラグビーのチームのような戦うスピリットを持っている。オーストラリアと比べてもニュージーランドの方がアグレッシブかもしれない。W杯に向けての準備が始まっているということを、激しいニュージーランドに対して選手たちには見せてもらいたい。


――これから9カ月、W杯に向けてチームを強化・成熟させていくにあたり、現時点でのそれぞれの強化試合のテーマは?


 チームの強化では、まずいい選手がいるということが重要だ。それが国内でプレーしているのか、海外でプレーしているのか。今のところ50人前後、コーチングスタッフ全員で常に追跡している。主役である選手たち、彼らの存在がまず重要。私が来てからずっと行なっていることだが、コンディションがよければ使うということだ。20歳前後の井手口もそうであれば、34歳の今野が出た試合も同じ基準だ。私は話もするが、話だけでなく、それを実行している。まずは選手だ。


 選手1人1人がしっかりパフォーマンスを上げて、自分を見せなければならない。12月になればE−1(EAFF E−1サッカー選手権)があり、国内の選手たちにとって自分たちを見せるいい機会だと思う。つまり、選手たちそれぞれが努力してそれを見せることによって代表強化につながる。戦う姿勢と意欲は常に持っていてほしい。親善試合というのを軽い気持ちで受け取ってはならない。気を抜いてはいけない。W杯に向けての気持ち、意欲を作り上げていくのに使わなければならない。


 私が日本で初めて始動した合宿をよく覚えている。その時の選手たちのメンタルの状況をよく覚えている。代表の引退を考えていた選手もいたくらいで、メンタル的な状態がよくなかった。W杯はしっかり準備して挑まなければならない。選手たちは選手たちの部分、スタッフはスタッフの部分をそれぞれがしっかり準備しなければ。ロシアでの大会が始まるまで待って、飛行機に乗っていくだけではいけない。私は大きな意欲をもって行きたいと思う。W杯ブラジル大会で成し遂げたこと(アルジェリア代表を史上初のベスト16に導いた)を再現したい。それに対しては、全員が同じ気持ちだと思う。言葉で言うのは簡単だが、それを実行しないといけない。


――来月の試合に関しては、日本がバイエルンの立場になって、ポゼッションしながらゲームをコントロールする立場になると思う。再来月の試合は違うと思うが。(田村修一/フリーランス)


 このような親善試合のゲームに挑む時、まずはゲームプランを組み立てるが、ゲームの途中でそれが変化していく。今回はもしかしたら日本の方がポゼッション率が高く、ボールを持つ可能性が高いかもしれない。われわれが、とある試合でハイプレッシャーをかけていくというゲームプランを組み立てて挑んでも、それが効果的でない場合はいったん引いてブロックを作って、そこから作り直すかもしれない。だからといって守備的になるわけではない。速攻なのか、ビルドアップなのか、そういったところすべてがゲームマネジメントだと思う。それはピッチで選手たちが感じながら実行しなければならないところだ。


 90分の中では前線からのハイプレッシャーもあれば低い位置でのブロックもあり、高さが中くらいのブロックもあったりするが、経験のあるチームというのはゲームの状況を見ながらコントロールしていくものだ。強くなるためには、そうしたところを発展させる必要がある。そのためにはコミュニケーションが必要だ。ゲーム中に声を聞いたことがない選手もいる。朝「おはようございます」と言った後、それっきり声の聞こえない選手もいる。そういう選手たちは少なくとも試合中には声を出してほしい。今となっては選手たちのことをよく把握できるようになっているが、それぞれの選手に向上させてほしいところがある。それはフィジカル的なところ、戦術のところ、技術のところ、いろいろな面があるが、それぞれに成長してもらい、チームという組織のために生かしてほしい。そうした修正点がまだまだたくさんあるので成長する余地はある。


 もちろんポゼッションが高い方のチームが勝つというのは、正常であると私も思うが、ポゼッションが高いから勝つわけではない。モダンサッカーではそれとは違った側面もある。そして、ポゼッションが高ければ勝てるというわなに日本サッカーが陥ってほしくない。A代表のコーチングスタッフ、U−20、U−17、アンダーカテゴリーのコーチングスタッフ、監督などにも、しっかりとこのメッセージを伝えたい。多くの指導者の中にポゼッションに対して強迫観念に近い気持ちを持っている人たちがいる。しかし、ポゼッションがすべてではない、それだけが真実ではないということを理解してもらいたいと、私の意見をお伝えしている。


※質問者に関しては、掲載許諾の確認が取れた方のみ明記しています。記名のない方は確認が取れていない方ですので、拒否されている訳ではありません。

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