レイデオロは“ダービー2着馬”レベル? ラップで検証する実力と神戸新聞杯の勝算

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上がりの差で浮き彫りになった今年のダービーのレースレベル

逃げたマイスタイルを巡って、手に汗握る攻防となった今年の日本ダービーの直線。(C)下野雄規 【netkeiba.com】

 今年は、ダービー馬の始動レースとなる神戸新聞杯。阪神芝2400mで行われる神戸新聞杯は、東京芝2400mとほぼ同一と考えても良いコース。右回りと左回りの違いはあれど、それを気にする必要はほとんどない。

 確かに、明らかに右回りが得意な馬や左回りが得意な馬がいくらか存在することも否定はしない。しかしそれでも、重賞クラスで勝ち負けするクラスの馬がそうであることは本当に稀。思考に対する費用対効果が高いとは言えず、それを気にするぐらいなら他のファクターにもっと気を配るべきだろう。

 例えば、今年の日本ダービー。この1レースのラップタイムや走破タイム、上がり3ハロンタイムを眺めているだけでも、いろいろと見えてくるものがある。今回は少しだけ、いくつかの数字を使ってそのあたりの話をしてみたい。

 じつは今年の日本ダービーは、例年と比較してもかなり特殊な日本ダービーだった。1000m通過タイムの63秒2は、1986年以降(過去32年)で最遅のペース。7年前、“超スローペース”と話題になった2010年ダービーの1000m通過タイム(61秒6)より1.6秒遅く、極悪馬場で勝ち時計が2分33秒7となった(通常のダービー勝ち時計は2分25秒前後)、ロジユニヴァースの2009年ダービー(59秒9)より3.3秒も遅い。にわかには信じがたいほどのスローペースだったのだ。

 1.6秒とか3.3秒と言われてもピンと来ないかもしれないが、1.6秒=約10馬身、3.3秒=約21馬身程度と言い換えればわかりやすいだろうか。“過去に遅いと言われた”2010年、2009年よりも、先頭の馬が1000m通過の地点で10馬身、20馬身も後ろを走っていた計算になる。

 そういった過去に例がないほどの超スローペースを見越して、真っ先に動いたのがレイデオロの鞍上・ルメール騎手だったのだが、あまりにも後方からの、あまりにも急な進出。それが2番人気の馬だっただけに、スタンドが大きくどよめいたものだった。

 その思い切った騎乗が功を奏して今年の日本ダービーはレイデオロが戴冠することになったのだが、ここでエイシンフラッシュが勝った“超スローペース”2010年とタイムを比較してみるとどうだろう。先に述べたように、1000m通過タイムは2010年が61秒6で、2017年はそれよりさらに1.6秒も遅い63秒2となっている。

【2010年日本ダービーと2017年日本ダービーの比較】
2010年ダービー 前半61秒6 上がり33秒4 上がり最速エイシンフラッシュ32秒7
2017年ダービー 前半63秒2 上がり33秒8 上がり最速アドミラブル33秒3

史上初めて32秒台の末脚で2010年ダービーを制したエイシンフラッシュ。(C)下野雄規 【netkeiba.com】

 2010年はエイシンフラッシュが“上がり3ハロン”32秒7の末脚で制したものの、ダービー史上初の“上がり3ハロン32秒台”も「超スローペースだったから」と冷ややかな意見が多く聞かれた。しかしそれよりさらにスロー、今年の上がり3ハロン最速はアドミラブルの33秒3。この差をどう解釈すべきか。
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