ソフトBは大成功、楽天は緊急補強失敗 途中加入した助っ人の貢献度を診断

ベースボール・タイムズ

6月9日のデビュー戦ではホームベースを踏み損ねて“幻のアーチ”となったマレーロだが、その後も長打力を発揮し13本塁打を放っている 【写真は共同】

 緊急補強という形でシーズン途中からチームに加入する助っ人外国人たちがいる。「起爆剤」、「救世主」として大きな期待と注目を集める彼らは、短い準備期間でチームの勝利に貢献することを期待されている。今季、シーズン開幕後に新たに出場選手登録された外国人は計15人。その内訳は、再来日を含めて途中から日本にやって来た選手が7人。独立リーグから加入した選手が1人。育成から支配下登録された選手が4人。そして国内球団間でのトレードが3人。残り1カ月余りとなったペナントレースで、途中加入の助っ人たちの働きを査定したい。(今季の成績は9月3日終了時点のもの)

マレーロ◎、ペーニャ◎、サントス△

 まずは野手陣。支配下登録順(カッコ内の日付は登録日)に、サントス(千葉ロッテ:5月26日)、マレーロ(オリックス:6月1日)、バティスタ(広島:6月3日※育成)、ペーニャ(ロッテ:6月16日※再来日)、ドレイク(北海道日本ハム:6月30日)、リベロ(東京ヤクルト:7月6日)、ロジャース(阪神:7月7日)、メヒア(広島:7月21日※育成)、クルーズ(東北楽天:7月26日※トレード)と名前が並ぶ。

 その中で最も欠かせない存在となっているのは、オリックスのマレーロだろう。ロメロの離脱によって緊急補強されると、6月9日のデビュー戦で京セラドーム大阪の左中間スタンドにボールを放り込みながら、ホームベースを踏み損ねての“幻のアーチ”でつかみはOK。翌日に正真正銘の来日初本塁打を放つと、その後もパワーと確実性を兼ね備えた打撃で、ここまで59試合に出場して、打率3割0分5厘、13本塁打、35打点の好成績。日本での生活にもすっかり順応し、来季以降のさらなる活躍も期待されている。

 2012年から4年間、3球団で計71本塁打を放ったペーニャも、新たに加入したロッテでさび付かない長打力を披露。6月16日に登録されると、徐々に調子を上げながら8月は「4番・DH」として月間7本塁打とアーチを量産。ここまで51試合に出場して打率2割7分6厘、9本塁打、26打点。彼が開幕時からチームにいれば、現在の順位も変わっていただろう。

 同じくロッテには5月末にサントスが加入した。キューバ代表としてWBCでも披露した“走り打ち”にダイナミックな外野守備でファンの心をつかんだが、成績的には8月以降に下降線をたどり、63試合で打率2割5分、3本塁打、8打点、5盗塁をマークしているが、盗塁死も4回とスピードを生かしきれていないのが現状だ。

鮮烈デビュー弾のバティスタの評価は?

 印象度では、広島のバティスタが強烈だ。カープアカデミーから15年の秋に練習生として来日し、昨年3月に育成選手として入団。2年目の今季はウエスタン・リーグで好成績を残して6月2日に支配下契約を結ぶと、翌3日に1軍登録され、代打で登場した初打席で初本塁打をマーク。さらに翌4日も2打席連続となる代打本塁打を放って度肝を抜いた。さらにスタメン2試合目には3号2ラン&4号ソロ。その後、外国人枠の影響で出番が少なく、ここまで79打数17安打での打率2割1分5厘とヒットの確率も低いが、本塁打は計9本。現在25歳で、球団とは6年の長期契約を結んでおり、今後の成長も大いに期待。首脳陣としてもバティスタが控えているのは非常に心強い。

 その広島を追いかける阪神に加入したロジャースも、デビュー3試合目となった7月21日のヤクルト戦で2ラン2発の3安打5打点の大爆発。同23日からは4番として存在感を見せてきた。だが、徐々に快音から遠ざかり、ここまで34試合で打率2割4分5厘、4本塁打、21打点。奇跡の逆転優勝、その後のCS突破へ向けた戦いの中で、自身の評価も固まってくる。

 ヤクルトのリベロも、存在感を見せている一人。こちらもデビュー3試合目の7月25日の中日戦で来日初アーチを含む3安打2打点と活躍。8月6日から3試合連続本塁打をマークするなど、ここまで36試合で打率2割5分4厘、6本塁打、20打点とまずまずの成績。「開幕前から在籍していれば、あるいは……」と思わせるスイングを見せている。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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