ソフトBは大成功、楽天は緊急補強失敗 途中加入した助っ人の貢献度を診断

ベースボール・タイムズ

苦しむ途中加入の助っ人投手陣

キューバ出身のモイネロ(左)はソフトバンク勝利の方程式の一角を担う 【写真は共同】

 続いて投手陣。同じく登録順に、コラレス(楽天:6月12日)、モイネロ(福岡ソフトバンク:6月16日※育成)ファイフ(埼玉西武:6月20日)、エスコバー(横浜DeNA:7月7日※トレード)、宋家豪(楽天:7月31日※育成)、そしてメンドーサ(阪神:8月31日※トレード)と並ぶ。だが現状、成功例は少ない。

 BCリーグ・富山から加入して秘密兵器として期待されたコラレスは、8月15日の西武戦で1軍初登板を果たしたが、3回5安打7四死球5失点の大乱調デビューで、以降はお呼びが掛からず。同じく宋家豪も、デビュー戦で1イニングを3安打2失点と結果を残せずに1試合のみの登板となっている。

 加入後に先発として5試合に登板しているファイフは、デビュー2戦目の7月12日のロッテ戦で5回2失点で来日初勝利を飾ったが、それ以降は内容的にもパッとせず。ここまで5試合で1勝1敗、計21イニングで17失点(自責16)での防御率6.86という成績に留まっている。

 そう考えると、エスコバーは奮闘している方だろう。日本ハムから横浜DeNAにトレード加入すると、ここまで15試合で1勝2敗、防御率4.64。移籍後初先発となった8月6日の広島戦(横浜)では5回9安打7失点(自責5)と期待に応えられなかったが、中継ぎとしては防御率3.31とまずまずの数字を残している。

独走の原動力となったキューバ出身サウスポー

 まずまず、ではなく、傑出した数字を残しているのが、ソフトバンクの中継ぎ左腕・モイネロだ。キューバ出身の21歳。今年5月23日に育成選手として入団会見を行った後、ファームで3試合に登板して5回2/3を3安打無失点8奪三振と“違い”を見せると、6月16日に支配下登録され、同27日に1軍デビュー。以降、150キロを超えるストレートを完璧にコントロールし、7月は20試合中11試合に投げ、8月も25試合中12試合、9月は3試合中3試合にリリーフ登板。ここまで27試合で4勝1敗11ホールド1セーブ、防御率2.05の好成績を残している。

 昨季は7月に11勝11敗の後、8月に11勝14敗と失速して日本ハムに逆転Vを許したソフトバンク。今季は7月15勝5敗、8月17勝8敗と夏場に快進撃を見せた。その原動力は、開幕からの登板過多で疲れの見え始めていたブルペンの救世主、キューバ出身のサウスポーであることは間違いない。一方で、コラレス、宋家豪に加えて、トレードで獲得したクルーズもここまで13試合で打率1割6分2厘と戦力になれなかった楽天は、8月中旬から急失速。戦力が足りずに息切れしたと言える。

 新戦力の明暗もあって、パ・リーグの優勝はほぼ決まったと言える。あとはセ・リーグ。ウェーバーによって日本ハムから阪神に電撃加入したメンドーサは、9月3日の中日戦で先発して7回7安打4失点で黒星デビュー。首位・広島とのゲーム差は6.5。「奇跡」は起こせるのか。メンドーサが救世主になれれば、あわよくば、となるのだが……。

(三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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