【全日本プロレス】宮原が石川を下し三冠王者に返り咲き 来年の横浜文体、さいたまSA大会も発表

高木裕美

関本&岡林の大日本コンビが世界タッグ再戴冠 秋山&大森が挑戦へ

大日本の関本&岡林組に、全日本の社長&副社長タッグが挑戦表明 【写真:前島康人】

 空位となっていた世界タッグ王座決定戦では、大日本プロレスの関本大介&岡林裕二組が、野村直矢&KAI組を破り、約9カ月ぶりに王座返り咲き。試合後、秋山準&大森隆男の社長&取締役コンビがリング上で次期挑戦を直訴し、2人のデビュー25周年記念大会となる10.21横浜文化体育館大会でのタイトルマッチが決定的となった。

 同王座は野村&ジェイク・リー組が7.17後楽園で初戴冠を果たすも、直後にジェイクの負傷欠場により王座返上。新たにKAIがパートナーに名乗りを上げた。プロレス界を代表するタッグチームである関本&岡林組は、関本がKAIを、岡林が野村をアルゼンチンバックブリーカーで同時に捕獲するなど絶好調。野村もKAIのスプラッシュプランチャからのフロッグスプラッシュで岡林を追い込むも、カバーに入った直後、関本に背後からジャーマンスープレックスで投げられ、万事休す。KAIが眉山で戦闘不能に陥る間に、岡林が野村をパワーボム、レフトハンドラリアットからのゴーレムスプラッシュで圧殺した。

 試合後、さっそく秋山と大森がリングに上がり、大森が「オレたち、そのベルトにすごい興味ある。挑戦させてくれないかな」と挑戦を訴えると、秋山も放送席に座る小橋建太さんにいきなりマイクを託すムチャぶりでタイトル戦を既成事実に。旗揚げ45周年及び秋山&大森のデビュー25周年記念大会となる横浜で「負けることは考えていない。いい形で記念すべき年を終えたい」(秋山)と、メモリアルイヤーを最高の形で締めくくるプランを明かした。とはいえ、王者組の関本&岡林にとっても、横浜は大日本のお膝元。大日本としても、12月に横浜大会が控えていることから、全力でぶっ潰しに来ることは確実だ。

ウルティモが新調された世界ジュニアベルトを奪取

海外で活躍してきた2人によるいぶし銀対決は、ウルティモが勝利。新しい世界ジュニアのベルトを巻いた 【写真:前島康人】

 世界ジュニアヘビー級選手権試合では、ウルティモ・ドラゴンとTAJIRIという世界的スター同士による“日本初”対決が実現。接戦の末、勝利を飾ったウルティモは、86年に初代王者となったヒロ斉藤、全日本ジュニアの重鎮である渕正信の2人の祝福を受けると、今大会より新調されたベルトを高々と掲げ、口づけした。

 かつて米国WWEでスーパースターとして活躍したキャリア23年、46歳のTAJIRIと、メキシコを拠点に世界的に活動し、今年デビュー30周年を迎えた50歳のウルティモ。TAJIRIはじっくりとしたグラウンドに持ち込み、首4の字固め、クロスフェースで首に集中攻撃を浴びせるが、ウルティモはしなやかな身のこなしで耐え抜くと、ラ・マヒストラルからのアサイDDTで3カウントを奪取した。

 敗れたものの、「あの人に憧れてレスラーになった。あの人との関係はここから。まだ始まったばかり」とウルティモに敬意を表したTAJIRIは、「ヨソの団体だったらベテランのじいさん対決だけど、全日本ではそういう見方をされなかった。歴史とか伝統とかを重んじるリングだから、オレもドラゴンも生かしてもらうことができた」と、全日本にも深く感謝。「ドラゴン以外の初対決も、どんどん掘り起こしていきたい」と、まだまだ貪欲にこの全日本マットを楽しみたいと語った。

TAKA&タイガーVIIがアジア奪取で小橋&菊地組を指名!?

TAKA&タイガーVIIがアジアタッグ奪取。次期挑戦者に小橋&菊地組を要求!? 【写真:前島康人】

「日本最古のベルト」であるアジアタッグ選手権試合では、TAKAみちのく&ブラック・タイガーVIIの外敵コンビが、青木篤志&佐藤光留組を破り第102代王者に君臨。なんと、次期防衛戦の相手に、92年に第59代王者組となった小橋健太(当時)&菊地毅組を指名した。

 試合前には全日本に対し怪文書を送りつけるなど、不穏な動きを見せていたブラックVIIは、リング上でもシャイニングウィザード&LOVEポーズの武藤ムーブで王者組を挑発。王者組も佐藤がブラックVIIに腕ひしぎ逆十字固め、青木がTAKAにアンクルロックを同時に決める見せ場は作ったものの、百戦錬磨のブラックVIIがラ・マヒストラルで佐藤を丸め込み、3カウントを奪ってしまった。

 試合後、放送席に座る小橋建太さんに向かって挑発してみせたブラックVIIは、ベルトを手に「小橋&菊地組で挑戦して来い」とニヤリ。TAKAも「渕でもいいぞ。歴史と伝統があるんだろ」と無責任に逆指名した。

平均66歳のタッグマッチ、75歳・小鹿らも元気な姿見せる

ドリー・ファンクJr.(左)も元気な姿を見せた 【写真:前島康人】

 第3試合では、ドリー・ファンク・Jr.(76歳)&ヒロ斉藤(56歳)組vs.渕正信(63歳)&ザ・グレート・カブキ(68歳)組という、平均年齢66歳の4人によるタッグマッチが実現。かつて弟テリーとの「ザ・ファンクス」として日本中を熱狂させたドリー、86年に初代世界ジュニア王者となったヒロ、43年間、全日本一筋で奮闘してきた渕、“東洋の神秘”として日本中に衝撃を与えたカブキという、全日本の歴史を彩ってきた4選手が対峙した。

 ヒロが渕にセントーンを放てば、渕もデッドリードライブで応戦。カブキがドリーに毒霧を浴びせれば、ドリーも渕をスピニング・トーホールドでとらえてギブアップ勝ちを収めた。

 また、第4試合では、西村修の保持する「!BANG!TV 世界ヘビー級王座」をめぐり、全16選手がバトルロイヤルで激突。75歳のグレート小鹿が、瀧澤晃頼をコブラクローで退場させるなど奮闘すると、最後に残った西村にも噛み付き攻撃。だが、西村の師匠・ドリーに場外からエルボーを見舞われ、すかさず西村に丸め込まれて3カウントを献上。残念ながら王座奪取とはならなかった。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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