山崎晃大朗が悟ったプロで生きる道 〜燕軍戦記2017〜
腹をくくった2軍再降格
松元2軍コーチから「生き残る術」を伝授された山崎 【写真は共同】
「自分自身へのあきらめじゃないですけど、やっと『自分が長打を打っても……』ってなったんで。この先(プロとして)生きていくためには、どこかで折れないと」
そんな山崎の変化に、自身も2015年の現役引退まで背番号31を着けていた松元コーチも目を細めた。
「1軍から落ちてきた時はまだ強い打球を打ちたいっていう気持ちがあったけど、それで結果が出なかったのが良かったと思います。やっと自分の生きる道を理解して、それで結果も出てるし、アイツの場合は足を生かさなかったら意味がないじゃないですか。ホームランはほかのバッターに任せておけばいいですから」
ファームでも一時、2割3分台まで落ち込んだ打率は、7月に入って2割8分台まで上昇。この月は14試合の出場で長打は二塁打1本ながら、17本の単打で打率3割3分3厘と打ちまくり、7月25日に待望の1軍再昇格を告げられた。その日の中日戦に「2番・センター」でスタメン出場するといきなり2安打を放ち、翌日も内野安打を含む2本のヒット。ファームで徹底して取り組んだ逆方向への安打だけでなく、インコースに甘いボールが来れば痛烈に引っ張り、8月2日の巨人戦では三塁打を含む初の猛打賞を記録した。
心強い“師匠”の存在
「自分から松元コーチに連絡したんですけど、『また、ちょっと大きく振り始めてるぞ』って言われました。ファームの頃から悪い時も全部知ってくれているので、自分がどうなったら悪くなるとかもわかってくれてますから」
“師匠”からアドバイスを受けた翌日のゲームは雨天中止となったが、冒頭のとおりその次の日の巨人戦では、カウント0−2と追い込まれながらもそこから粘り、しぶとくショートの横をゴロで抜くタイムリーヒット。その後の打席でも2つの犠打を決めるなど、しっかりと役割を果たした。
山崎は今シーズン、イースタンではリーグトップの打率2割9分0厘をマークしており、規定打席をクリアすれば首位打者になる可能性がある。24盗塁もリーグ1位で、2年連続の盗塁王もかかっているが、「それは気にしてないです」と意に介さない。
今、その頭にあるのは「最後まで上(1軍)で試合に出続けて、結果を残すこと」だけ。チームは5位の中日にも大差をつけられて最下位に沈み、ここへ来て真中監督の去就に関する報道も出始めているが、「生き残り」をかけた山崎の戦いはまだまだ終わらない。