【新日本プロレス】 オカダは唯一の全勝 内藤、棚橋は並走 G1クライマックス前半戦 振り返り

高木裕美

オカダが無傷の4連勝も待ち構える難敵

SANADA戦の勝利後には「強すぎてゴメン」と言い放ったオカダ。全勝優勝で“絶対王者”の強さを示すか 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 Bブロックでは、オカダ・カズチカが無傷の4連勝となる8点で独走し、ケニー・オメガとEVILが3勝1敗の6点、マイケル・エルガン、SANADA、タマ・トンガ、鈴木みのるの4選手が2勝2敗の4点で続く。

 3年ぶり3度目の優勝を狙うIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカは、出場全選手の中で唯一の無敗をキープ。初戦でCHAOSの同門・矢野通の策略を退けると、その後もエルガン、SANADAに快勝。新潟大会では、逆に全敗中の小島聡と対戦したが、セコンドの天山広吉をリングに上げ、1対2でやってやるとばかりに挑発。その後も小島を片足フォールで踏みつけたり、天山に向かって「シュー」を小馬鹿にしたりと、余裕の笑みを見せつけた上で、レインメーカーで粉砕。約1年間、シングル戦で無敗を誇るだけの、圧倒的な強さを印象付けた。

 このまま無敗での完走を目指すオカダだが、後半戦のヤマ場となるのが、8.8横浜でのみのる戦、そして最終戦8.12両国でのオメガ戦だ。両者とも、今年IWGP王座を賭けて戦い、退けている相手。それだけに、リベンジに躍起になっており、なりふり構わず、オカダから3カウントを狙いに行くことは確実だ。さらに、みのるにとって横浜は地元であり、オメガにとっても両国は昨年、運命を変えた思い出の地。それだけに「オカダ超え」の舞台としては最高の環境が整っている。逆に、オカダがこれだけの包囲網を打ち破り、全勝優勝を果たしたとするならば、もはや“レインメーカー”や“絶対王者”といった称号をも超越した、次のステージへと突入することになるだろう。

オメガ、1敗喫するもタフネスさ光る

宿敵エルガンに敗れたものの、そのタフネスさが光るオメガ。2連覇へ向け、まだ希望をつなぐ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 一方、新潟で宿敵エルガンに屈し、1敗目を喫したオメガも、G1連覇はまだまだ射程圏内。昨年のG1で初の外国人覇者となり、今年の1.4東京ドームでのオカダ戦で満天下にその実力を知らしめ、7月の米国興行ではIWGP USヘビー級王座を戴冠。

 その勢いに乗って迎えたG1だが、これまでの公式戦で光っているのは、その強さだけではなく、ファイトスタイルの幅の広さだ。初戦のみのる戦では、セコンドも加わったラフファイトに、同じスタイルで応戦。7.25福島の矢野戦では、両足をテープで縛られた状態でも試合を続行し、リングアウト勝ちする頭脳プレーを披露。新潟のエルガン戦では、結果としてはバーニングハンマーに敗れたものの、エルガンのエプロンへのパワーボムやターンバックルへのエルガンボムといった荒技をことごとくカウント2ではね返すタフネスぶりを発揮している。

 オメガのこの引き出しの多さは、カナダの路上王としてのバックボーン、そして、前所属団体であったDDTプロレスリングでの経験によるものだろう。昨年のG1優勝のスピーチでは、日本語解禁というサプライズを披露したオメガだが、今年はどんな驚きを与えてくれるのか。

永田、小島は未だ白星なし…… ベテランの奮起に期待

永田、小島は未だ勝ち星なし。会場人気は高いが、結果が伴わない。ベテランの奮起に期待 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 2位タイに浮上したEVILは、新潟大会でみのるに殊勲の勝利。4勝5敗と負け越しに終わった昨年の雪辱を晴らし、大躍進となるか期待される。

 EVILは初戦こそSANADAとの同門対決に敗れたものの、その後は順調に白星をGET。新潟ではみのるにイスで殴打され、顔面にペンを突き立てられながらも、セコンドの乱入をセコンドで制し、みのるのスリーパーからのゴッチ式パイルドライバーを切り返してEVILを炸裂。このひらめきに、場内からは驚きの声が上がった。今後も8.2福岡でオメガ、8.5大阪ではオカダとの一戦が控えており、さらなる大物食いもありそうだ。

 また、現在ともに4連敗中のAブロック・永田裕志、Bブロック・小島聡の“第三世代”の奮闘も期待される。49歳の永田は今年が「最後のG1」と明言しているが、現状の成績では、自分から卒業宣言せずとも、来年の出場権獲得はあり得ないところ。一方、昨年は盟友・天山に出場権を譲った小島にしても、会場人気は抜群だが、残念ながら結果が伴っていない。Bブロックに出場中である49歳の鈴木みのるが、鈴木軍の大将としてトップ戦線に噛み付き、NEVER無差別級王者となって下の世代をなぎ払い、G1でも気を吐いている以上、永田、小島も、単なる「白星配給係」で終わるわけにはいかない。失点1が命取りになるG1の過酷な戦いの中でこそ、ベテランが星取り争いをかき回して、劇的な ドラマを作り出す役割となることを期待したい。

【Bブロックここまでの成績】
オカダ・カズチカ(4勝0敗=8点)
ケニー・オメガ(3勝1敗=6点)
EVIL(3勝1敗=6点)
鈴木みのる(2勝2敗=4点)
SANADA(2勝2敗=4点)
マイケル・エルガン(2勝2敗=4点)
タマ・トンガ(2勝2敗=4点)
ジュース・ロビンソン(1勝3敗=2点)
矢野通(1勝3敗=2点)
小島聡(0勝4敗=0点)

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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