粗削り初戦Vトゥザフロンティアに★7つ ロードカナロア×名牝トゥザヴィクトリー
競馬専門紙「優馬」の2歳馬チェック
父ロードカナロアで新境地開拓 トゥザフロンティア
幼さを見せながらもデビュー戦を制したトゥザフロンティア(桃帽)(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】
トゥザフロンティア 牡 馬体重:482kg
★★★★★★★ 7点〔GIIIクラス〕
騎手:ホワイト 厩舎:(栗) 池江寿
生産:ノーザンファーム
馬主:キャロットファーム
父:ロードカナロア
母:トゥザヴィクトリー(サンデーサイレンス)
名牝トゥザヴィクトリーの息子という話題性に加えて、追切りの動きも抜群とくれば単勝1.5倍の支持も当然と言えば当然。レースでは大外枠から好スタートを決めて好位〜中団の外へ進めたが、問題は直線で追い出してから。反応自体も鈍かったが、それ以上に内にもたれるのが目に付いた。それでも2着馬と馬体を併せると、素晴らしいキレ味を発揮。能力の片鱗を見せた勝ちっぷりだったが、まだまだ課題も多い、そんなデビュー戦だった。
馬体診断
パドックでは気性面の幼さを見せてフワフワしていたが、それがレースでも出てしまった様子。この辺りは実戦を経験したことでの変わり身に期待したい。馬体面はこの血統らしい見栄えの良さに加えて仕上がりも良く映った。特に前躯・胸前の造りなどは父ロードカナロアらしさが遺伝しているのだろう。まだ成長の余地を残すものの、距離の融通は利きそうなタイプでもある。
血統診断
母トゥザヴィクトリーはGI勝ちこそエリザベス女王杯のみだが、ドバイWC2着や有馬記念3着などの実績もある名牝。繁殖牝馬としても優秀で、重賞5勝のトゥザグローリー、皐月賞・有馬記念で2着に入ったトゥザワールド、今年の中山牝馬Sを制したトーセンビクトリーなどを産んでいる。本馬はキングカメハメハを父に持つ兄姉馬とは違い、父がキングカメハメハ産駒のロードカナロア。兄姉よりも完成する時期は遅い可能性もあるが、マイル前後に対応できる瞬発力が強調された格好。
馬券の狙い目→大舞台での活躍を期待するのは古馬になってからか。兄姉馬が活躍した中山コース、本馬ならマイル戦が狙い目のひとつ。
ゴール前で瞬間移動? ハナ差届いた ナスノシンフォニー
ナスノシンフォニー 牝 馬体重:456kg
★★★★★ 5点〔1600万クラス〕
騎手:木幡巧 厩舎:(美) 武井
生産:恵比寿興業株式会社那須野牧場
馬主:那須野牧場
父:ハーツクライ
母:ナスノシベリウス(Unbridled's Song)
モッサリしたスタートで前半は後方から進み、向正面でポジションを上げていく競馬。大外を回るロスも大きかったが、ラスト2Fが11秒3−11秒5という上がりの速い流れで、2着馬が完全に抜け出す「勝ちパターン」をゴール寸前で差し切ったのは大きい。自身のラスト1Fはおそらく10秒台だろう。とにかく最後の100mで繰り出した末脚が頭から離れない。
馬体診断
馬体重は平均的な数字だが、フックラと大きく見せていたのが印象的。逆に言えばまだ緩さもあるのだが、それだけ伸びしろがあるということでもある。気性面にはまだ幼い面を残しているが、スナップの利いた脚捌きは瞬発力の証。トモの肉感も十分にあり、スタートは経験を積めば出るようになるはず。走法からも広いコース向きのタイプ。
血統診断
母は芝1400m〜1800mで3勝。母父Unbridled's SongはBCクラシック〜ペガサスWC〜ドバイWCを連勝した現世界最強馬アロゲートの父としても知られおり、母系はバリバリのアメリカダート血統が重ねられてきた。とはいえ、一族には愛セントレジャー、アスコットゴールドCを制したステイヤー、オーダーオブセントジョージやフローラS1着のミッドサマーフェアの名前も。距離延長にも対応できる素地はある。
馬券の狙い目→オークス向きの素材で、レースぶりからも東京コースはドンピシャ。フローラS(東京芝2000m)など、長目の距離で狙っていきたい。
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