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求道者・末續慎吾が見る日本の短距離界
“9秒台突入”に欠ける要素とは?

リレーは“お家芸”であるからこそ強い

日本のリレーについは、お家芸だからこそ強いと語る
日本のリレーについは、お家芸だからこそ強いと語る【写真提供:ALE14/阿久津知宏】

――末續選手が現在日本のトップにいる選手たちを見ていて、今後の活躍を期待しているのは誰ですか?


 パフォーマンスだけを見るなら、みんな世界基準だと思います。僕はまだ現役なので、彼らのことを解説する側ではありません。ただ、今の現状で言うなら当然、サニブラウン選手が抜けているなと。日本選手権で100メートルと200メートルの二冠を取ることは難しい作業ですから。ただ、まだ18歳なので、世界選手権で彼がそこをどう克服するかですね。

 また一緒に走った選手たちも、各々が触発される相手がいると思います。それぞれライバルが多いですから、全体で世界に挑戦している感じはします。


――個人戦の一方で、リレーではメダルも期待されています。“お家芸”という単語を使われることもありますが、日本のリレーの強さはどんな部分でしょうか?


 やはり“お家芸”であるという認識があるからでしょうね。僕は全然なかったですけど(笑)。

 お家芸であるということで、コンプレックスがない、世界と戦えないという常識がない、固定概念がないからです。それはその概念を前々から壊してきているからであって、精神的な“足かせ”がない状態なんです。

 これは勝負事の鉄則ですが、得意なことに自信を持つことが重要なんだと思います。海外の選手を見て、強いとか大きいとか、自分に何が欠けているかに目を向けて臨むから、スタートの前から引き気味になってしまいます。ですから、最初から走ることに対する条件をつけない。走るのはみんな一緒で、得意なことを出し合うのもみんな一緒なんです。リレーは得意だと思い込み、得意なことをやればいいんです。自分たちはバトン技術の精度が高いという自信があることが重要なのです。

五輪での消耗は当然 負担に感じず楽しめる余裕を

「世界と戦い続けるには、その中でも楽しんで走るという余裕があっても良かった」と話す末續
「世界と戦い続けるには、その中でも楽しんで走るという余裕があっても良かった」と話す末續【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――今回の世界選手権はリオ五輪の翌年、東京五輪を3年後に控えての大会となります。五輪の前年と翌年では違いがありますか?


 リオ五輪に出場した選手は、一度、五輪で高めているので、やはり消耗していることは確かです。そこは山縣亮太選手や桐生祥秀選手にも言えますが、うまくいかなかったこともあったのではと思います。そういう部分で、彼らより若い世代であるサニブラウン選手や多田修平選手がポンと出てきて、勢いがありました。彼らがそれをどう刺激として受け止めるかですね。その中で、彼らの勢いに引っ張られるか、融合できるか、そのあたりは正直、レースを見ないと分からないです。だからある意味、今回はサニブラウン選手や多田選手より、リオ五輪メンバー全員の動向や言動に注目しています。それはなぜかと言うと、メダリストはメダルを取った後に本物のメダリストになっていくものだからです。


――末續選手が実際に出場したときは、気持ちの違いはありましたか?


 それは当然ありました。どこに気持ちを置いてやるかが違います。五輪に出場して完全にやりきったあとに、再び世界と争うのでは気持ちの置き場が違います。

 プロ選手としては、常に高いレベルを求めていく部分は必要ですが、一人の人間としては、肉体的にも消耗していて、100%の体でないから、精神もついてこない場合があります。そういったところで、「この年はこういう自分でいたい」という気持ちの置き所が、競技に出ると思います。

 僕はどちらかというと、五輪の翌年も世界選手権の決勝進出とか、メダル獲得を求められていました。そして、それにまともに応えようとしていた自分もいました。それはそれで競技者としては必要な部分ですが、世界と戦い続けるには、その中でも楽しんで走るという余裕があっても良かったかなと思います。ただ、今の世代は世界と戦える選手がたくさんいるので、そこまで負担に感じる必要はないですね。


――無理に期待を背負い込まず、純粋に世界の舞台で“かけっこ”をやってほしいということですね。


 そういうことです。かけっこをしてみるといいと思います。その時に世界選手権でどんな走りができるのか、どんな走りをしたいのか、それを知る必要があると思います。負けて悔しいと思うか、経験だと思うか。そういう意味で、レース後の選手たちの声を聞いてみたいと思っています。

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ALE14(エイル・フォーティーン)は、スポーツを伝える「言葉」を探求するプレゼンショーです。スポーツの見方が劇的に変わるプレゼンを、ライブイベントでお楽しみください!


<これまでの主なプレゼンテーマ>

「"精神的に弱い"は、いったい何が弱いのか?」/伊藤 華英

「短いパットは、何故外れるのか?」/安藤 秀

「0.1秒短縮できたら1億円」/古田 敦也

「決まる確率が高いのは、どんなシュートか?」/中西 哲生 etc.


<今後の開催予定>

#08 8月23日(水) @恵比寿アクトスクエア 19:00スタート予定

プレゼンター:武尊(現K-1 WORLD GPフェザー級王者)

※詳細は、下記関連リンクのALE14公式HPよりご確認ください。


お問い合わせ先

ALE14運営事務局

Email:ale14@tiesbrick.co.jp

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