五輪新種目“スケボー”で注目の高校生 世界を目指す平松凱、四十住さくら

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五輪で初採用されるスケートボード

2020年東京五輪で初めて採用される「スケートボード」。和歌山の高校1年生、平松凱(左)と四十住さくらは、五輪出場や世界での活躍を目指して技を磨いている 【スポーツナビ】

 跳んで、転んで、またトライして。ファッションもどこかユルく、カッコ良く。ストリートスポーツの代表と言えるスケートボードが、2020年東京五輪で正式種目として初めて採用される。会場は東京お台場の「青海アーバンスポーツ会場」が予定されており、3年後の大会へ向けて、日本代表強化選手の選考も進められている。

「スケートボード」自体を知らない人は少ないかもしれないが、競技としての実施方法が分かる人はそう多くはないだろう。
 基本的には、難易度、技のメーク率、スピードなどの項目を審判がジャッジし、その得点の優劣で順位を決める採点競技。東京五輪では、「ストリート」と「パーク」の種目が行われる。ストリートは街中にある階段の手すりや斜面、縁石をイメージした障害物(セクション)を設置したコースで、一方のパークはおわん型のボウルなどを中心にしたコンビプールと呼ばれる複雑なコースで実施する。

 4月には第1回日本選手権が行われ、東京五輪へ向けた強化指定候補選手が選ばれた。

高校1年生の注目選手2人

高校生ながら、プロとしても活動する平松 【スポーツナビ】

 このスケートボードでの五輪出場を目指す、2人の高校1年生が和歌山県にいる。16歳の平松凱と、15歳の四十住(よそずみ)さくらだ。平松は現在プロスケートボーダーとしても活動中、四十住は前述した五輪強化指定候補選手に選ばれた。地元テレビ局や新聞で取り上げられるなど、3年後の五輪に向けて注目されつつある選手たちだ。

 2人がスケートボードを始めたのは、平松は小学2年から、四十住は同6年から。平松は父親の友人の姿を見てスケートボードを始めたものの、最初はうまくできなくて「嫌やった」と振り返る。それでも「その時は周りの友だちでやっている人がおらん過ぎて、DVDとかを見て」と、自分なりに“研究”するほど夢中に。大人も出場する大会で結果を出し、小学5年でプロ資格も取得した(プロ登録ができるのは13歳から)。

東京五輪では「金メダルを目標に」と頑張る四十住 【スポーツナビ】

 四十住は13歳年上の兄の影響で始め、「お兄ちゃんに褒めてもらいたいから頑張りました(笑)」。中学時代は学校と塾での勉強を終えた後、母の運転する車で隣府県の大阪や三重の専用施設で練習。同じ塾に通う平松とともに技を磨き、競技を始めて4年目で強化指定候補選手となるほどメキメキと力をつけた。
 今春からは高校生活がスタートした。四十住の通学時間は電車で片道50分。自宅と高校、自宅と練習場……移動に費やす時間は合計3時間半前後。その分、中学時代より練習時間は減ったものの、短い時間で集中して取り組んでいる。

 2人は東京五輪を目指しつつ、平松は「まだプロ戦で賞金を取ったことがないので、上位に入って賞金を取って有名になる」、四十住は「東京五輪に出て、金メダルを取ることもそう(目標)だけど、海外などの大会に出て成績を残せたら」と、五輪に続く大きな目標を掲げる。

心に持つ、スケートボードの魅力

軽快な身のこなしで、ジャンプする四十住 【スポーツナビ】

 そしてスケートボードの魅力について平松は、「大会に勝つこともうれしいんですが、自分の決めた技が全部乗れた方がうれしい」と話し、四十住も「同じです」とうなずく。「一緒に滑っているみんなが、すごい技をしたときに『ヤバいやん』とか言って(驚いて)くれたら、『もっとすごいのをしよう』という気持ちになる」(平松)。

 五輪や大きな大会で結果を出すことは、もちろん目標でありモチベーションにもなる。しかし、できなかったことができたとき、仲間や周囲と盛り上がる瞬間のうれしさも2人にとって大切なものだ。

 平松、四十住はともに、東京五輪後のスケートボードの盛り上がりにも期待を寄せる。
 自らの五輪や世界での活躍、そして日本に“スケートボード仲間”が増えたら――。それぞれ19歳と18歳で迎える東京五輪、さらにその先に向けて、2人の夢は高く大きく広がっている。

取材協力:パナソニック

 今回の取材では、パナソニックビューティフルジャパンのコマーシャルとイメージ動画の撮影に同行した。平松と四十住は、人気女優の綾瀬はるかさんからインタビューを受けたり、スケートボードを教えたりして共演。「声がめっちゃかわいい」「きれい」と綾瀬さんの印象を話し、ヘルメットにしっかりサインをもらうなど撮影後も興奮冷めやらぬ様子だった。



(取材・文:小川麻由子/スポーツナビ)
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