いよいよ目前に迫った“ミッドサマー・クラシック”と称されるＭＬＢオールスターゲーム。今年はマイアミのマーリンズ・パークで開催されるが、同じ舞台で前日の７月１０日（現地時間）に行われるのが、こちらも毎年恒例のホームランダービーである。

　日本ではオールスターの試合前に余興として行われるホームランダービーだが、メジャーリーグでは１９８５年から球宴前日の公式イベントとして開催されるようになり、今年で３３回目を迎える。過去には、史上最多となる３度優勝のケン・グリフィー・ジュニア（９４、９８、９９年優勝、いずれも当時マリナーズ）のほか、ＭＬＢ史上最多の通算７６２本塁打を誇るバリー・ボンズ（９６年優勝、当時ジャイアンツ）、通算６０９本塁打のサミー・ソーサ（２０００年優勝、当時カブス）、通算５８３本塁打のマーク・マグワイア（１９９２年優勝、当時アスレチックス）、通算５４１本塁打のデービッド・オルティス（２０１０年優勝、当時レッドソックス）ら、名だたるスラッガーが王者として名を連ねてきた。

　今年も新たにその歴史に名を刻むべく、両リーグから各４名、総勢８名の精鋭が出場する。中でも注目の的になっているのが、ヤンキースのアーロン・ジャッジだ。１３年のドラフトでヤンキースから１巡目指名を受け、昨年８月にメジャーデビューを果たしたばかりの２５歳。今シーズンも新人王の資格を有するルーキーながら３０本塁打は両リーグ最多で、１９３６年にかのジョー・ディマジオが打ち立てた球団の年間新人記録を更新した。

　それどころか、ここまでのペースを考えれば前出のマグワイアが８７年に樹立した、ＭＬＢの新人年間記録（４９本）も十分に射程圏内。打率３割３分（ア・リーグ２位）、打点６６（同２位）と本塁打以外の部門でも好位置につけており、過去に例のないルーキー三冠王への期待も膨らむ。オールスターのファン投票でも全ポジションを通じてリーグ最多の４４８万８７０２票を獲得するなど、人気もうなぎ上りだ。

　ア・リーグの本塁打王争いでトップを行くのが２年目ルーキーのジャッジなら、２５本塁打（ナ・リーグ２位）をマークしているドジャースのコディ・ベリンジャーは、今年初めてメジャーの舞台に上がったばかりの２１歳。デビューは開幕から３週間が過ぎた４月２５日で、同２９日の初本塁打を含む２ホーマーを皮切りにアーチを量産。６月１９日には通算５１試合目で２１本塁打に到達し、デビューからの最速記録を塗り替えた。オールスターにも選手間投票で出場が決まったのもうなずける。

　前半戦のメジャーリーグを席巻するこの２人のルーキーに「待った」をかけたいのが、昨年のダービー王者で、地元マーリンズのジャンカルロ・スタントンだ。２０１４年には３７本塁打でナ・リーグ本塁打王に輝くなど、通算２３１本塁打は今回のダービー出場選手中Ｎｏ.１。昨年のダービーでは１回戦から決勝までの３ラウンドで計６１ホーマーをたたき込み、平均飛距離約１３５．９メートルと圧倒的なパワーを見せつけた。そう簡単には王座を譲りそうにない。