少年チームの監督をいったんお休みします スペイン暮らし、日本人指導者の独り言(20)
2チーム制は監督だけが泣く
30人近くの子供が7人制サッカーのハーフコート(11人制サッカーの4分の1)に顔を輝かせてやって来る。少ないスペースで大人数を効率的に練習させるために、ペップ・グアルディオラ式のサーキットトレーニングを採り入れたことは書いた(※関連リンク参照)。が、問題は厳密に言えばスペースではなく、指導者の数である。
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さらに、たとえきちんと練習させられたとしても、ミスの修正は誰がやればいいのか? 今季はシーズンを通して計7人のコーチに来てもらった。そのうち3人には継続的にほぼ毎日手伝ってもらってやっと「回った」。「回った」というのは少年サッカーのグラウンドではなく、ビジネスの現場、オフィスにふさわしい言葉だが、それが30人、4分の1コート、子供たちほぼ皆勤という現場での実感だった。
人心の掌握は、今季私が特に至らなかった反省点
監督として今季私が特に至らなかったのは人心の掌握である。子供たちのいさかい、小グループの誕生を阻止できなかった。2チームに分かれていても一緒に練習する仲間なんだ、という意識を植え付けることができなかった。試合出場をアメに、招集外をムチに規律を徹底させるという、いつもの手が使えなかったことで、モラルが下がって利己的なプレーや行為を防ぐことができなかった。
親たちとはこれまで対立してきたが、うまく巻き込んで規律面の家庭内コーチ役にするべきだったかもしれないし、親との個別面談もやるべきだったかもしれないが、そこまで手が回らなかった。グアルディオラもバルセロナ監督時代は選手との距離を取っていたが、バイエルン監督時代はこれを意図的に縮めて結束力を強めたという。親と子への対処法には新しい枠組みが必要だと思う。
が、とりあえず今は休みたい。「これはアディオス(さよなら)ではなく、アスタ・ルエゴ(また後で)だ」というスペインサッカー界の決まり文句で締めくくりたい。みなさん、約1年半にわたってご愛読ありがとうございました。