異文化が共存する寛容の街 コンフェデ杯都市探訪<カザン篇>
来年の本大会で最も心配なのはロシア代表?
必勝を期してロシアのサポーターは、歴代レジェンドを描いたビッグフラッグを掲出 【宇都宮徹壱】
試合は、序盤からロシアがペースを握る。前半25分、左サイドからのアレクサンドル・ゴロビンのクロスにアレクサンドル・エロヒンが反応。いったんは空振りするも、すぐに右サイドにパスを送り、これをアレクサンドル・サメドフがゴールに流し込む。3人のアレクサンドルの連係で先制したロシア。だが、その歓喜は5分しか続かなかった。
メキシコは前半30分にネストル・アラウホ、後半7分にイルビング・ロサノがゴールを決めて逆転に成功。いずれも後方からエクトル・エレーラがロングボールを蹴り込み、ロシアGKイゴール・アキンフェエフが目測を誤ったところにヘディングで決められるというパターン。「ロシア! ロシア!」という地元の大声援も虚しく、そのまま1−2のスコアでタイムアップとなり、メキシコの2位通過とロシアのグループリーグ敗退が決まった。
ロシアにとっては、いささかアンラッキーな試合だった。前半に2回、ペナルティーボックス内で選手が倒されたシーンはいずれもPKとはならず、後半23分にはユーリ・ジルコフが2枚目のカードで退場となっていたからだ。とはいえ、コンフェデ杯で開催国がグループリーグを突破できなかった事実は重い(01年大会の韓国以来16年ぶり)。
ロシア代表のスタニスラフ・チェルチェソフ監督は、試合後の会見で「われわれは正しくステップアップしている」と語っていたが、今大会の戦いを見る限り、説得力を欠いていると言わざるを得ない。ロシアに来て間もなく1週間。施設の建設が遅れていたブラジルや、治安に不安があった南アフリカと比べると、今のところストレスを感じることなく試合を楽しめている。それだけに、結果を出せないロシア代表が大いに気になるところ。いずれにせよ開催国不在の状態で、大会がクライマックスを迎えることになるのは非常に残念でならない。