キタサンブラックにデータの死角 宝塚記念逆転候補はシャケトラだ!

JRA-VANデータラボ

前走レース別成績(好走馬輩出レース)

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 前走レース別では、天皇賞(春)出走馬が最多の7連対だが、出走数も多く好走確率はさほど高くない上、好走馬が人気馬中心のため単複の回収率は低めだ。その他では、中3週で行われていた11年までの金鯱賞、12年以降中2週になった鳴尾記念組の好走が多い。ほかに、勝ち馬こそ不在ながら好走馬4頭を出すヴィクトリアM組にも注目。また、大阪杯からの直行馬は【0.0.0.5】だが、G1昇格で傾向が変わる可能性もある。

前走天皇賞(春)からの好走馬

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は前走天皇賞(春)組の好走馬9頭である。まず年齢はすべて4〜5歳。そして牝馬・デニムアンドルビーを除く8頭は3番人気以内。この4〜5歳かつ3番人気以内を満たした馬は【4.2.2.2】で全馬4着以内。このうち、4番枠以内は【0.1.2.2.】、9番から外は【4.1.0.0】と、ここでも枠順で差がついている。

 また、天皇賞(春)での人気や着順はさまざまだが、同レース連対馬は【0.2.2.9】と勝利なし。対して3着以下は【4.1.0.23】。3着以下の馬が馬券圏内にまで食い込めれば、1着まで持って行く可能性が高い。

前走天皇賞(春)以外のG1からの好走馬

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて表6は、前走が天皇賞以外のG1(海外含む)だった好走馬9頭である。こちらも天皇賞(春)同様、好走馬はすべて4〜5歳馬。また、9頭中7頭は3番人気以内で、残る2頭は牝馬という点も天皇賞(春)の傾向と似ている。大きく異なるのは前走着順で、9頭中8頭が前走でも3着以内に好走した馬だった。そして、この組で唯一優勝したアドマイヤムーンは前走3着。前走連対馬に勝利がないのは天皇賞(春)と同様だ。

前走G2以下からの好走馬

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に表7は、前走G2以下からの好走馬12頭で、ここでようやく6歳馬の好走がある。また、G1組とは違い、12頭中10頭が4番人気以下と、穴馬の好走も多く見られるのが特徴だ。前走は12頭中10頭が3着以内で、11頭が3番人気以内。基本的には上位人気で馬券に絡んできた馬が狙いだ。また、12頭中10頭は、過去1年に芝2000〜2200mのG2以上で優勝した実績を持っていた。残る2頭、08年のインティライミは前年の京都大賞典優勝、07年のポップロックは前走目黒記念を制しており、芝2000〜2500mとすれば、全馬1年以内にG2以上を制している

結論

 1番人気は安定しているが、勝率は20.0%にとどまる宝塚記念。人気薄でも8番人気まで優勝馬が出ているほか、頭数が少ない年でも穴馬の激走が見られる。近年は外枠の成績が良く、年齢は4〜5歳が中心。特に前走G1出走馬の好走は4〜5歳馬ばかりだ。また、前走G1連対馬は過去10年勝利なし。G2以下なら前走人気で好走し、なおかつ1年以内に芝2000〜2500mのG2以上での勝利が欲しい。

 冒頭にも触れたように、今年は春のG1を連勝したキタサンブラックが大きな注目を集めている。しかし、表5〜6触れたように、前走G1連対馬が勝てていないのが過去10年の宝塚記念で、計【0.6.5.18】。複勝率37.9%と2〜3着候補としては良いものの、1着候補としてはシュヴァルグラン(天皇賞2着)ともども不安が残る。

 そこで、天皇賞(春)3着以下からの逆転候補として挙げたいのが、同レースでは9着に敗退したシャケトラだ。前走G1組の好走条件となる、4〜5歳馬(本馬は4歳)で今回も上位人気の一角が予想される上、天皇賞組なら上位人気(本馬は3番人気)で3着以下に敗れた馬が逆転候補という傾向。走り慣れた距離に戻って一変もあり得る。

 一方、天皇賞(春)1、2着のキタサンブラックシュヴァルグランは5歳で、2〜3着候補としては特にこれといったマイナス材料はない。ともに今回も上位人気が予想されるが、表5本文で触れたように、天皇賞組の4〜5歳馬かつ今回3番人気以内なら【4.2.2.2】と安定している。また、表3や表5本文で触れたように外枠の優勝馬が多いため、枠順抽選の結果次第ではシャケトラも含め3頭が互角になる可能性もある。

 前走天皇賞(春)以外の登録馬は前走3着以内が目安だが、今年は全馬4着以下で上記3頭との比較では苦しい。そんな中では、近年の傾向から牝馬のミッキークイーン。15年にはヴィクトリアM8着のショウナンパンドラが11番人気で3着に好走しており、同レース7着でも穴馬としては注目できる。その他では、前走レース別から鳴尾記念組のスピリッツミノル。そしてG1昇格で傾向が変わる可能性のある大阪杯組・サトノクラウン、ミッキーロケットあたりは、資金やオッズとの相談で余裕があれば押さえておきたい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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