史上初!ノーシードの20歳が全仏女王に ラトビア出身のオスタペンコ
ストーサー、ウォズニアッキらを撃破
本命なきグランドスラムといわれたこの大会で、最後に笑ったのは20歳と2日、まだあどけなさの残るオスタペンコだった。対するハレプは3年前の準優勝者で4大大会はこれが28度目の出場になる実力者。しかし、戦前の評価は割れていた。オスタペンコの勢いが凄まじく、4回戦ではサマンサ・ストーサー(オーストラリア)、準々決勝ではキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)というベテランを逆転で破り、準決勝のティメア・バシンスキー(スイス)戦では50本のウィナーを放って激戦を制した。その豪快なプレーは、この日も変わらなかった。
破壊力あるリターンでブレーク
第1セットの第1ゲーム、いきなりハレプのサービスゲームをラブゲームでブレーク。しかし、初対戦とはいえ、ハレプにも十分に心の準備はあった。冷静に対応し相手のミスを誘い出す作戦。すぐにブレークバックし、第5ゲームも先にブレークされればブレークバックと、離されないように機会をうかがい、第10ゲームをブレークして先手を奪った。
しかし、こうした出入りの激しい流れはオスタペンコのパターンだろう。リズムに乗ってくれば、ライン際に飛ぶショットがますます決まり出すから、第2セット、ハレプは油断なく、第2ゲームのチャンスをじっくり攻めて先にブレークした。だが、オスタペンコは少しも委縮しない。攻め続け、打ち続けて1−3のビハインドを一気に跳ね返し、第9ゲームのリターンゲームをラブゲームで奪って追いついた。
怒とうの5ゲーム連取で優勝
ハレプには、胃が痛くなるほど大きなプレッシャーがあったと言う。3年前の決勝ではマリア・シャラポワ(ロシア)の前にフルセットで力尽きた。もしここで勝てば、アンゲリク・ケルバー(ドイツ)を抜いて世界ランクのトップに躍り出る……。
だが、そんなことはお構いなく、オスタペンコは攻め続けた。ファイナルセットではハレプに第4ゲームを先にブレークされて1−3と追い掛ける展開となったが、第5ゲームのデュースでリターンエースを2本続けてブレークバックした。第7ゲームのブレークポイントではコードボール(ラリーで、ボールがネット上部にかかり相手コート内に落ちる事)がインに転がって逆転し、その勢いのままに最後の第9ゲームも連続ブレーク。決勝でのウィナーは54本、最後は5ゲーム連取で有終の美を飾った。
オスタペンコは2014年のウィンブルドン・ジュニアの優勝者で、得意なコートはクレーではなく、むしろ芝とハードコートだという。シャラポワもセリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)もいない大会は、若い新たなヒロインを世に送り出した。3週間後のウィンブルドンが楽しみだ。
(文:武田薫)
全仏オープンテニス
15日間にわたって繰り広げられる赤土の熱戦「全仏オープンテニス」を連日生中継!
2017年5月28日(日)〜6月11日(日)
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