史上初!ノーシードの20歳が全仏女王に ラトビア出身のオスタペンコ

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ストーサー、ウォズニアッキらを撃破

8日に20歳になったばかりのオスタペンコ。全仏では史上初となるノーシード選手の優勝を成し遂げた 【写真:ロイター/アフロ】

 テニスの四大大会「全仏オープン」の女子シングルス決勝が10日、フランス・パリのローランギャロスで行われ、ノーシードで20歳のエレナ・オスタペンコ(ラトビア)が第3シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)をフルセットの末に破り初優勝を飾った。ノーシードの全仏オープン優勝はオープン化以降では初めて。またラトビア出身選手のグランドスラム優勝も、男女を通じて初めてという快挙となった。

 本命なきグランドスラムといわれたこの大会で、最後に笑ったのは20歳と2日、まだあどけなさの残るオスタペンコだった。対するハレプは3年前の準優勝者で4大大会はこれが28度目の出場になる実力者。しかし、戦前の評価は割れていた。オスタペンコの勢いが凄まじく、4回戦ではサマンサ・ストーサー(オーストラリア)、準々決勝ではキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)というベテランを逆転で破り、準決勝のティメア・バシンスキー(スイス)戦では50本のウィナーを放って激戦を制した。その豪快なプレーは、この日も変わらなかった。

破壊力あるリターンでブレーク

 オスタペンコのショットは威力だけではない。左からも右からもライン上にウィナーが決まり、サーブにそれほどの脅威はないが、リターンに破壊力がある。

 第1セットの第1ゲーム、いきなりハレプのサービスゲームをラブゲームでブレーク。しかし、初対戦とはいえ、ハレプにも十分に心の準備はあった。冷静に対応し相手のミスを誘い出す作戦。すぐにブレークバックし、第5ゲームも先にブレークされればブレークバックと、離されないように機会をうかがい、第10ゲームをブレークして先手を奪った。

 しかし、こうした出入りの激しい流れはオスタペンコのパターンだろう。リズムに乗ってくれば、ライン際に飛ぶショットがますます決まり出すから、第2セット、ハレプは油断なく、第2ゲームのチャンスをじっくり攻めて先にブレークした。だが、オスタペンコは少しも委縮しない。攻め続け、打ち続けて1−3のビハインドを一気に跳ね返し、第9ゲームのリターンゲームをラブゲームで奪って追いついた。

怒とうの5ゲーム連取で優勝

フルセットの戦いを終えて、20歳の新女王に声を掛けるハレプ(左) 【写真:ロイター/アフロ】

 1997年生まれと言えば、日本期待の大坂なおみ(日清食品)と同年で、昨年は1回戦でその大坂に4−6、5−7のストレートで敗れている。ミスを恐れない思い切りのいいショットはその時から変わらないが、ミスが減ったのは、プロ5年目で世界ランク50位内に入った経験により、余裕のある配球ができるようになったためだ。

 ハレプには、胃が痛くなるほど大きなプレッシャーがあったと言う。3年前の決勝ではマリア・シャラポワ(ロシア)の前にフルセットで力尽きた。もしここで勝てば、アンゲリク・ケルバー(ドイツ)を抜いて世界ランクのトップに躍り出る……。

 だが、そんなことはお構いなく、オスタペンコは攻め続けた。ファイナルセットではハレプに第4ゲームを先にブレークされて1−3と追い掛ける展開となったが、第5ゲームのデュースでリターンエースを2本続けてブレークバックした。第7ゲームのブレークポイントではコードボール(ラリーで、ボールがネット上部にかかり相手コート内に落ちる事)がインに転がって逆転し、その勢いのままに最後の第9ゲームも連続ブレーク。決勝でのウィナーは54本、最後は5ゲーム連取で有終の美を飾った。

 オスタペンコは2014年のウィンブルドン・ジュニアの優勝者で、得意なコートはクレーではなく、むしろ芝とハードコートだという。シャラポワもセリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)もいない大会は、若い新たなヒロインを世に送り出した。3週間後のウィンブルドンが楽しみだ。

(文:武田薫)
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