世界卓球で化けた張本、驚きの成長速度 敗れた水谷も脱帽「本当に強かった」

月刊『卓球王国』

この勝利は成功へのプロローグか

水谷戦はサクセスストーリーのプロローグに過ぎないのか。張本は驚くべき成長速度を見せている 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 勝利した張本は「今まで卓球をやってきて一番うれしい」と大金星を振り返る。

「試合前は勝つ可能性は5パーセントだと思っていたけど、勝つ気持ちだけは100パーセントだった。勝った瞬間は、本当に勝ったのかとビックリした。5ゲーム目に9-5から9-8まで追い上げられて、水谷さんを怖いと思ったし、ここで負けたら一生後悔すると思った。憧れの水谷さんに褒めてもらえたことはとてもうれしい。初心に戻って、次の試合も、その次の試合もひとつでも多く勝ちたい」

 張本の3回戦の相手はチャイニーズタイペイの廖振テイ。世界ランキングは100位だが、昨年のワールドツアー・グランドファイナルU-21を制したタイペイの新鋭で、パワーと安定感を兼備したドライブマン。張本とは過去に2度対戦しており、廖振テイの2勝だが、昨年6月の韓国オープンではフルゲームの接戦を展開している。同じブロックの鄭栄植(韓国)、シュテガー(ドイツ)と上位ランカーが敗退したこともあり、廖振テイ戦を乗り切ればベスト8進出も見えてくる。

 大会前のアジア選手権、韓国オープンでは振るわなかったが、世界選手権の大舞台で張本は化けた。「男子三日会わざれば刮目して見よ」という慣用句があるが、たびたびティーンエイジャーの成長速度には驚かされる。経験則や前例を超越するパワーや可能性を彼らは秘めており、それは誰にも計れないし、計ろうとすること自体が間違いなのだろう。

 張本にとって水谷戦が今回の世界選手権でのベストゲームとなるのか、それとも、まだまだサクセスストーリーのプロローグにすぎないのか。水谷との試合を見せられては、後者であることを期待せずにはいられない。

(文:浅野敬純/卓球王国)

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