WBC初優勝の勢いはシーズンでも!? アメリカ代表選手の今をリポート
リリーフ陣は概ねポジティブに作用か
ヤンキース開幕ダッシュの立役者のひとり・クリッパードをはじめ、リリーフ陣は軒並み好成績を残している 【Getty Images】
開幕直後の2試合で計1イニング8失点と打ち込まれ、早々とクローザーから降格したサム・ダイソン(レンジャーズ)の低調ぶりが目立つ。5月2日までの9登板中5戦で失点を許すなど、不振を継続。WBCでは5試合で無失点だったのとは対照的だ。
もっとも、このダイソンを除けば、あとは好投している投手ばかりではある。防御率が6.75と悪いルーク・グレガーソン(アストロズ)にしても、4月8日のロイヤルズ戦で自責点6と痛打されたことが数字に響いただけで、4月の12登板で失点を許したのはこの1戦のみだった。他のリリーバーたちはすべて優れた成績だ。
「どのくらいのイニング、球数を投げるかによるし、個人差もあるけれど、早い時期の調整は(先発よりも)リリーフ投手の方が少し容易かもしれない。3月半ばに5、6イニングを投げる身体を作るのは簡単ではない。僕としてはWBCへの準備、その後のシーズンへの調整は特に問題なかった。個人としては、(悪影響どころか)助けになったと感じるくらいだ」
ヤンキースの開幕ダッシュに貢献しているタイラー・クリッパードに聞くと、そんな答えだった。WBCで代表に選ばれるくらいだから、もともと力のあるスペシャリストたちばかり。その投手たちが例年より少し早い時期に身体をつくったことが、シーズンにもポジティブに働く可能性は先発投手たちより高いのかもしれない。
アメリカリリーフ陣のシーズン成績
パット・ニシェク(フィリーズ):11試合 9回2/3 防御率0.00
マイケル・ギブンス(オリオールズ):12試合 14回1/3 防御率1.26
クリッパード:13試合 11回2/3 防御率1.54
ネート・ジョーンズ(ホワイトソックス):11試合 11回2/3 防御率2.31
デービッド・ロバートソン(ホワイトソックス):9試合 9回2/3 防御率2.79
グレガーソン:13試合 10回2/3 防御率6.75
ダイソン:9試合 8回2/3 防御率14.54
※現地5月3日時点
プレー機会の少なかった野手が好発進
クロフォードに関しては、股関節を痛めて現在DL入り。また、準決勝の日本戦で貴重な安打を放ったイアン・キンズラー(タイガース)、アンドリュー・マカチェン(パイレーツ)らも低打率に落ち込んでいる。
成績が良いのは、WBC中は31打数11三振で打率2割1分2厘と極度の不振に悩んだノーラン・アレナド(ロッキーズ)、捕手は1戦おきの出場と配慮されたがため、4戦にしか出なかったバスター・ポージー(ジャイアンツ)。プレー機会が極めて少なく、調整不足が心配されたポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス/大会期間中13打数1安打)、ジョシュ・ハリソン(パイレーツ/同5打数0安打)、ダニエル・マーフィー(ナショナルズ/同6打数0安打)がそろってシーズンでは好スタートを切っているのも特徴的だ。
本来はプレシーズン戦を行っている時期に、いきなり緊張感のある舞台でプレーしたことから来る疲れの有無が関わっているのか。結論づけるのは早計に過ぎるにしても、アメリカ代表の打者たちから、今後のシーズンの中でどんな傾向が見えてくるかは実に興味深い。
アメリカ野手陣のシーズン成績
マーフィー:3割3分3厘 5本塁打 28打点
ゴールドシュミット:3割1分3厘 4本塁打 20打点
ハリソン:3割8厘 5本塁打 11打点
アレナド:2割9分9厘 7本塁打 19打点
アダム・ジョーンズ(オリオールズ):2割7分6厘 4本塁打 11打点
イエリチ:2割7分5厘 4本塁打 18打点
クロフォード:2割6分3厘 2本塁打 8打点
アレックス・ブレグマン(アストロズ):2割6分3厘 0本塁打 7打点
ホスマー:2割4分2厘 2本塁打 9打点
ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ):2割5分 7本塁打 19打点
マカチェン:2割3分5厘 5本塁打 15打点
ジョナサン・ルクロイ(レンジャーズ):2割2分2厘 2本塁打 6打点
キンズラー:2割6厘 3本塁打 8打点
※現地5月3日時点