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“世界”を経験し「考え方が変わった」
東海大・關颯人&阪口竜平の米国武者修行
米国で約2カ月間、トレーニングを積んだ關颯人(左)と阪口竜平
米国で約2カ月間、トレーニングを積んだ關颯人(左)と阪口竜平【写真提供:關颯人】

 若手アスリートの海外挑戦を支援する安藤スポーツ・食文化振興財団と日本陸上競技連盟が実施する「安藤財団グローバルチャレンジプロジェクト(グロチャレ)」。将来、国際大会でのメダル獲得を志す陸上競技の若手アスリートを支援するため、2015年より始まったこのプロジェクトも2シーズン目となった。


 16年冬、17年春には、短期支援選手として8人が各国に渡航。スポーツナビでは、海外での武者修行を終えた選手たちの声を紹介する。今回は、年末年始の大学駅伝シーズンに注目された“東海大1年生”(現2年生)メンバーの關颯人&阪口竜平の2人に、米国での活動について話を聞いた。

初の海外レースで感じたスピードの違い

昨年出場した世界ジュニアでアフリカ勢との力の差を感じたという關
昨年出場した世界ジュニアでアフリカ勢との力の差を感じたという關【スポーツナビ】

■關颯人、阪口竜平(東海大)

・派遣先:米国(オレゴン州ユージーン)

・期間:2月7日〜4月1日


――今回、米国でのトレーニング合宿を決めた理由は?


 昨年7月の世界ジュニア(U20世界選手権/ポーランド・ビドゴシチ)の1万mに参加した時、アフリカ勢との力の差を感じました。アフリカ以外だと米国もトラックで活躍している選手が多く、現地で練習してみたいという気持ちもあり、今回のプロジェクトに参加できる機会があったので決めました。


阪口 僕も昨年の世界ジュニアで1500mに出場しましたが、特にスピードの違いをすごく感じました。それで米国には例えばマシュー・セントロウィッツ選手(リオデジャネイロ五輪1500m金メダリスト)のような選手もいますし、海外での練習を体験してみたいなと思いました。


 スピードの違いという点だと、日本と米国での練習を比べると、米国の方がスピード練習が圧倒的に多かったです。日本だと(目標とする大会は)駅伝がメーンになってくるので、それに合わせた練習メニューが組まれるのですが、米国はトラックレースが主流で、その分スピード練習がたくさんあったのだと思います。

日本のレースとの違いは「ペースのアップダウン」と話す阪口
日本のレースとの違いは「ペースのアップダウン」と話す阪口【スポーツナビ】

――初めての海外レースは、日本と比べてどこが大きく違った?


阪口 關が出ていたレースを応援していて思ったのは、ペースのアップダウンがレース中にかなりあって、揺さぶりをかけて振り落とす展開が日本と違いました。關はアフリカ勢についていきましたが、それ以外のアジア系の選手はすぐに離されてしまい、そこにレベルの差がありましたね。


 日本のレースだと、そこまで極端な上げ下げは多くないのですが、五輪を見ていても400m(のラップタイムで)10秒以上ペースが上がったり、実際に僕が出たレースも、(ラップタイムが)72秒から62秒ぐらいまで上がった周もあって。それには反応できたのですが、慣れていなかった分、そこで力を使ってしまいました。結局、後半に脚が動かないという状況になり、そういった部分で、アフリカ勢とは身体能力の差がすごくあるなと思いました。そういうレースのための瞬発力やスピードの変化に対応できる練習が、今は必要なのではと思っています。

 日本の場合、駆け引きがあるレースといっても、序盤はスローに入って、最後に上がるというもの。海外の場合は、いきなり上がって、いきなり落ちて。言い方を悪く言えば『レースが下手』というか……。上手いレースではないですけど、その中で振り落として勝つ、彼ら独特の展開を持っていて、そこに日本人は対応できていないと思います。

ウェートトレーニングの効果で変化も実感

オレゴン大学の近くにある「Pre's Trail」がメーンのトレーニング場所で、ポイント練習では「ヘイワード・フィールド」も利用した
オレゴン大学の近くにある「Pre's Trail」がメーンのトレーニング場所で、ポイント練習では「ヘイワード・フィールド」も利用した【写真提供:關颯人】

――米国での練習環境は?


阪口 オレゴン大学の近くにある「Pre's Trail」がメーンのトレーニング場所で、ポイント練習は、大学のトラックである「ヘイワード・フィールド」に行っていました。


 米国では3月下旬からトラックシーズンに入るので、すでにスピード練習が主になっていました。日本に比べてインターバル(速いペースで短い距離を数本繰り返す練習)系のメニューが多く、距離走は全体のうちでも2回ぐらいしかやっていません。ペース走をやらない分、1000mを10本とか、インターバル系の練習でも、それほど速くないペースで距離を踏む練習もあり、いろいろな種類を取り入れていました。


阪口 あとは自分たちが米国に行く目的の1つとして、ウェートトレーニングを本場の米国でしっかり学んでくるということもありました。実際に米国でトレーニングをして、帰国前にスタンフォードでの大会に参加したのですが、その直前の練習で200mを走ったときに、自分が思っているよりもスピードが出ていました。予定より3秒ぐらい速く走れていて、普段はそういうことがなかったのですが、ウェートでしっかり鍛えたことで、スピードが出しやすくなっていると実感しました。

ウェートトレーニングは日本よりも種類が多く、パワーを付けるものが多かった
ウェートトレーニングは日本よりも種類が多く、パワーを付けるものが多かった【写真提供:關颯人】

――どんなウェートトレーニングが中心だった?


 結局、長距離選手のウェートというのは、上半身の筋肉を付けるというよりも、コア(体幹)であったり、背中だったりします。その部分を付けることでパワーというか、出力が変わったと思います。東海大でもウェートは導入していますが、自分たちよりもかなり多かったし、かなり重いものを持ったり、日本ではやっていないようなこともやりました。まだまだ形になっていない部分もありましたが、かなり体には変化が出てきたと思います。


阪口 実際に日本と米国でやっているウェートは全然違いました。米国ではどんどん重いシャフトを持って、シャフトを持ってのスクワットをしたり、東海大でのメニューとは別でした。現地に帯同してくれた林隆道コーチ(東海大陸上部・中長距離ブロックのストレングス&コンディショニング・アドバイザー)とも話したのですが、ウェートをやる時の姿勢は、僕らから見てもあまり形が良くなかったのですが、それでも重いものを持てているし、見た目的にも体つきがいいので、米国の考えはやっぱりパワーが重要なのかなと思います。

コミュニケーションは“ノリ”で乗り切る

海外生活の中では苦労する経験もあったが、慣れてくると楽しかった
海外生活の中では苦労する経験もあったが、慣れてくると楽しかった【スポーツナビ】

――今回は2カ月近く米国に滞在したが、生活はどうだった?


 米国人選手の家を借りて生活していましたが、食事は自炊が多かったです。日本では寮生活なので食事を作る機会はほとんどないのですが、朝夕は自分たちで作らなきゃいけなくて、練習で疲れていてもやっていたので、そういう部分では、普段の寮生活は恵まれているなと思いました。

米国では自炊にも挑戦。こういう時に寮生活の有難みも感じた
米国では自炊にも挑戦。こういう時に寮生活の有難みも感じた【写真提供:關颯人】
バランスよい食事を考えることもできた
バランスよい食事を考えることもできた【写真提供:關颯人】

――オフの日は?


阪口 体をリフレッシュさせる時間に当てていました。温泉が車で1時間ぐらいのところにあったので、そこに連れて行ってもらったり。


 その温泉というのが山の中で、川をせき止めて作られていて、本当に自然な温泉でした。


――現地の選手やコーチと、英語でのコミュニケーションはどうだった?


阪口 自分は英語がかなり苦手で……。行く前と行った後では多少、本当に少しだけ、片言で返事をしたり、若干聞き取れたり、ですね。


 阪口の英語は本当にひどかった!(笑)


阪口 レストランに行って、店員さんと話している時、それを聞いていたルームメートの選手に爆笑されたり……。


 それでも、最低限の単語さえ分かれば生活はできるんですけど。なかなかひどかったです。


阪口 でも米国では、“ノリ”で乗り越えられるというか。例えば、向こうではハイタッチして喜んだりするのですが、そこでうまく“ノリ”でいければ、コミュニケーションを取れて仲良くなれましたし。単純なことをしっかりしておけば、見放されたりしないですね。


 僕も英語はもともと得意ではないのですが、日本人は文法にこだわりすぎなのかなと。米国では実際、文法とかそんなに厳密でなくても、単語の組み合わせで何とか通じる感じでした。日常伝わらないことがあったときに、伝えようとする中で、「あ、こういう言い回しをすればいいのか」とか、「こういう表現の仕方もあるのか」と、分からないなりに生活の中で学ぶこともあったし、英語が通じなくて打ちのめされたということはないです。それほど話せるようになったわけではないのですが、一緒の家に住んでいたルームメートには、「英語は良くなっているよ」と言ってもらえました。

 ただ、もっと英語を話せたらもっと仲良くなれるし、楽しく生活できるんだろうなと思います。

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