春の盾は2強決着か、それとも波乱か? 過去10年1番人気は壊滅…激走穴馬はコレ

JRA-VANデータラボ

前走レース別成績

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 今年の出走予定馬の前走は、ダイヤモンドS、阪神大賞典、日経賞、そして大阪杯の4レースのみ。その4レースの中のうちG2の3レースは各3勝、3着以内馬数も差は少ないが、好走確率では大阪杯組が複勝率44.4%、そのうち2〜3番人気に推された馬(4番人気は不在)は複勝率100%を記録するなど、他を大きく引き離している。また、表1本文で記したように、1番人気で唯一馬券に絡んだ08年3着のアサクサキングスも、この大阪杯組だった。少し違う見方をすると、大阪杯組で3番人気以内に推された馬から、キズナ(14年4着、15年7着)を除くと【2.3.1.0】となる。

前走レース・着順別成績

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 上記4レースでの着順別成績を調べると、3000m級の阪神大賞典、ダイヤモンドS組は、馬券に絡んだ馬なら1着を取っていることが連対条件。2500mの日経賞なら2着馬にもチャンスがあり、2000mの大阪杯は3着からも連対馬が出ている。今年は日経賞2着馬や大阪杯2〜3着馬が不在のため、連対候補は前走優勝馬か5着以下敗退馬になる。なお、表には複勝率を記したが、各レース1着馬の連対率は、日経賞が1勝ながらも2着3回で50.0%ともっとも高く、次いで大阪杯40.0%、阪神大賞典とダイヤモンドSが20.0%である。

前走4着以下からの好走馬

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は、前走4着以下から馬券圏内に巻き返した7頭である(前記4レース以外も含む)。このうち、上位人気に推された2頭は前年の天皇賞(春)を制した馬だった。残る5頭は2桁人気。うち3頭はG1で3着以内の実績馬、2頭は年内に3000m級のレースで馬券圏内があった。G1好走実績がなく、年明けの3000m級でも好走していないような馬では、4着以下からは巻き返せない。

5番人気以下の好走馬(表6以外)

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に、5番人気以下の好走馬(表6の前走4着以下を除く)を見ておこう。前走3着からの好走はなく、今年の出走予定馬の前走なら1着馬のみとなっている。表6も併せれば、今年の5番人気以下の穴馬なら、前走1着か、前走馬券圏外かつ今回2桁人気馬が狙いだ。

結論

 1番人気が過去10年連対なしに終わっている天皇賞(春)。年齢別では6歳がやや優勢で、人気馬なら4歳よりも5〜6歳。前走はまず1着馬が狙いだが、馬券圏外に敗退した今回2桁人気馬にも要注意。レースで別では大阪杯組が安定している。また、内枠優勢の傾向が出ており、特に1枠が好成績だ。

 表1で記したように、過去10年の1番人気馬は連対なしに終わっているため、今年はまずサトノダイヤモンドとキタサンブラックのどちらが1番人気に推されるかが焦点になる。また、表3にあるように枠順も重要なファクターだ。

 枠順確定前の本稿執筆時点では、まず表5から前走1着馬。キタサンブラック(大阪杯)、サトノダイヤモンド(阪神大賞典)、シャケトラ(日経賞)、そしてアルバート(ダイヤモンドS)だ。中では、昨年の優勝馬・キタサンブラックが有力だ。上位人気に推された5歳馬や大阪杯組は安定しており、既に昨年同じステップで優勝していることも後押しとなる。枠や人気など未確定な部分もクリアできれば、連覇の可能性は高まりそうだ。

 サトノダイヤモンドシャケトラは、人気馬の前走別や年齢別でキタサンブラックには譲るものの、大きな割引材料まではなく、特に連対候補という意味では日経賞1着(表5本文)のシャケトラには注目できる。ただ、08年以外は6番人気以下から毎年1〜2頭が馬券に絡んでいるため(表1本文)、上記3頭のいずれを軸に据えるにしても、人気馬ばかりの組み立ては避けたい。そういった面も含めると、前走1着馬の中ではもっとも人気薄になりそうなアルバート。ダイヤモンドS1着で「5番人気以下」の好走条件はクリアし(表7)、この4頭の中では唯一の6歳馬(表2)でもある。中位人気の中で唯一連対のある7番人気に推されるようなら、より楽しみが広がってくる。

 前走1着馬以外では、前走馬券圏外かつ2桁人気くらいの人気薄が予想される馬(表6〜表7)。表6からG1実績や年内の3000m級の実績に注目すると、前々走で3000mの万葉Sを制してきたタマモベストプレイ、そしてダービー馬・ワンアンドオンリー。もう1頭、人気面はクリアできないだろうが、フェノーメノが巻き返した例のある日経賞5着・ゴールドアクターも挙げておきたい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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