“飛翔天女”豊田、引退を決めた理由 豊田真奈美×東京03豊本 特別対談[前編]

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年間320試合の時も 体で良いのは“顔”だけ!?

年間320試合を戦ったときも。華麗な飛び技も「昔は怖くなかった」 【写真:SHUHEI YOKOTA】

――ではこの後の引退ロードは治療しながらになりますね。

豊田 少しでもいい状況になるように持っていきます。今まで病院が嫌いで、何があっても行かなかったのに、そんな自分が毎日行っていますからね。もう30年分の病院を今、まとめて行っている感じです。(笑)
(病院に行かなかったのは)ケガは治るものだし、骨折はケガのうちに入らないですから。だって時間が経てば治るものじゃないですか?

豊本 キャリアのある選手はみんなそう言いますね。でも本当に豊田さんが体がダメになって止めるという想像がつかなかったですよ。何なら、ずっと闘っているものだと思いましたから。

豊田 “緑の血”が流れているって噂されてましたから。(笑)

豊本 バケモンじゃないですか!(笑) でも“ゾンビ”って言われていましたからね。

豊田 何をしても壊れない。もともと、バンテージを巻くのも嫌いだし、だからパッと見で、健康体にしか見えないんです。どこも痛めてないと思われていたんでしょうね。
(体は)本当にいいところがないですよ。強いて言えば、良いのは顔ぐらい。(笑)

豊本 ごもっともです。(笑)
 それだけ体に故障箇所があっても年間200戦以上していましたよね?

豊田 一番多い時は年間320試合です。

豊本 え、それは!

豊田 おかしいですよね? だから逆に、試合を毎日するのが当たり前で、たまにお休みをいただくと、そこで体調を崩したり、風邪を引いたりしてましたね。

会場のどこから“跳ぶ”かを見回していた

――豊田選手と言えば華麗な飛び技のイメージも強いですが、飛んでケガすることの恐怖もありましたか?

豊田 昔は無かったですね。今は体重が増えてかなり考えますけど。最近は体の小さい選手も多いので控えています。それこそ若いときには、会場に入った瞬間に、「今日はどこから飛べるかなー」と。(笑)
 会場を見回して、2階のバルコニーを見つけたら、あそこから飛べるんじゃないかなとか。

豊本 いやいやいや、それは!

豊田 ずっと飛び場所を探してましたね。

豊本 そういえば場外の相手に対して、トップロープに乗ってのケプラーダもしていましたよね?

豊田 そうですね。でも今もやっている人は多いですよね。

豊本 でも、当時の全女のロープってユルユルでしたよね? 見ていてヒヤヒヤしました。

豊田 ユルユルでしたねー。地方巡業に行って、選手をロープに振ったら、鉄柱がボキって折れたこともありましたよ。かなり老朽化してましたよね。

引退後は素直にプロレスを楽しみたい

――現状、引退された後については何か考えていらっしゃいますか?

豊田 プロレスとは関わらないと思いますよ。
 でも、普通にプロレスを見に行って楽しみたいですね。前は自分でチケットを購入して行くこともなかったんですけど。私、プロレス好きじゃないし……。

豊本 こらこら!

豊田 プロレスは好きじゃないけど、プロレスをするのは好きなので。ですから、ほかの人のプロレスを見に行ったら、どうしても真似したくなっちゃうじゃないですか? それが嫌だったんですよね。
 ただ最近、みまたん(下田美馬)とチケットを買って、ある団体を見に行ったんですよ。後楽園ホールで、2人でお酒を飲みながら、素直に「楽しいねー」と話しながら、知り合いの選手を応援してました。なので、引退後は素直にプロレスをファンの立場で楽しみたいなーと。

 後は今、痛い部分を早く治したい。そして遅すぎる青春を取り戻したい。今までできなかったことをいろいろやってみたいですね。

豊本 それこそ団体をプロデュースして欲しいとか、試合解説をすることは?

豊田 いやー、やだやだやだ。

豊本 一切、お断りですか? 徹底してますね。

豊田 自分でやるのも感性でやっているので、教えることもできないし。教えるのが最も苦手。

豊本 さすが、天才肌ですね。

豊田 できない選手を見ると「何でできないの?」って。(笑)

豊本 出た出た、天才だ!

※引退ロードについて語ってくれた後編は明日掲載予定
■豊田真奈美30周年記念興行「〜飛翔天女〜豊田真奈美引退」
11月3日(金祝)横浜・大さん橋ホール 開場14:00 開始15:00

【画像提供:OZアカデミー】

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