五輪金メダリストに刺激を受けて成長 やり投・池川博史のドイツ・フィンランド武者修行

構成:スポーツナビ

やりが真っ直ぐ点のように見えるようになった

 フィンランドでは、クオルタネオリンピックセンターで北京五輪5位のティーム・ウィルッカラさんにコーチしてもらったのですが、基本的にはドイツでトーマス選手のコーチに教わったことを伝えて、その動作を補強するようなメニューを行いました。また今回は槍を持っていったので、いかに力をうまく伝えるかというのを教えてもらいました。

フィンランドで一緒に練習をしたメンバーと 【写真提供:池川博史】

(力を伝える技術については)「ブロック」という、足をクロスして投げる時に、左足でスピードを止めて投げる動作があるのですが、そこで僕はどうしても左ひざが曲がってしまっていました。助走のスピードに負けてひざがつぶれていたのですが、本当はしっかり伸ばした方が力が加わるので、もう少し上体がつぶれないようにしようと言われました。あとはしっかり槍を握ってということも言われ、そのことで、理想のフォームに近づいてきた部分もあります。
(この課題は)昨年から自分自身の課題だと分かっていて、それを修正するためにドイツに行ったところもあるので、あらかじめ問題点が分かった上で自分で質問してみたので、(課題を)発見したというよりは、修正方法を教えてもらった感じです。

(実際に槍を投げてみて)室内トレーニングで壁に向かって投げていたので距離自体は分からないのですが、感触的にはしっかり槍が真っ直ぐ飛んでいるように見えていました。右に切れたり、左に切れたりせず、真っ直ぐ点のように見えていたので、感触的にはキレイに飛んでいると思います。記録的には、昨年70メートルちょっとで終わってしまったのですが、今年は春先からいけそうな自信が付いています。

(ウェイトトレーニングについては)本当に180度考え方が変わりました。海外では、いかに速く上げて、やり投の動きに繋げられるかを練習していて、バーベルを担いだランジ歩行でも、ただ単にランジするだけじゃなく、ある程度の重さで地面に叩きつけるような、左足でスピードを止める動きを意識して行うなど、1つ1つの動きがやり投に繋がっていました。また10キロのバーベルを持って、やり投のフォームをしたりとか、基本、すべてがどこかやり投のフォームに繋がっていました。まだ試合に出ていないのでウェイトトレーニングの効果は見えていないですが、継続していけば必ず結果に繋がると思っています。

初戦から自己ベストを狙っていきたい

フィンランドでは日本にはない風景にも触れ、だんだん海外生活に慣れ楽しい経験になった 【写真提供:池川博史】

(2カ国合わせて2カ月近い時間を海外で過ごしたが)1人で何も知らないところに来て、すべてが違うので最初は寂しい気持ちもありました。ですが、だんだん生活に慣れてきて、今では本当に楽しい経験だったと思っています。
 日本とは違う新しいことができるということもすごく良かったですし、向こうで行った倒立歩行の練習も、最初はできなかったけど、それができるようになってうれしかったこともありました。その様子を親に動画を撮って送ったりしました。また海外に行く際、自分で目標も立てていたので、それが達成できたのもよかったです。

(新シーズンに向けて)今シーズンから大学生となり新しい環境になりますが、しっかり高校期に練習してきて、体力も付きましたし、レベルアップしていると思います。まずは関東インカレや日本選手権といった大会で結果を残したいと思っています。また、今年の目標をユニバーシアードに置いているので、本番で力が出せるように頑張りたいです。まずは記録会や選考会に参加することになると思いますが、初戦から自己ベスト(70メートル03)を狙っていき、必ず超えていきたいです。

 昨年の世界ジュニアでは思ったような成績が出せず、それが自分にとっては大きな財産にもなっているので、そのリベンジを必ずしたいです。ユニバーシアードでは出場するだけで終わるのではなく、しっかり結果を残したいと思います。
(2020年東京五輪については)残り3年となるので、まずは1年1年、自分のやるべき課題をしっかり持って、目標を達成していきたいです。そして最終的な目標が達成できるように頑張りたいと思います。

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