メッシとネイマール、異なる代表での姿 アルゼンチンはW杯出場を逃す可能性も
守備的な戦い方に固執するアルゼンチン
スター選手が中盤から前線に並んでいるにもかかわらず、多くの歴代監督が守備的な戦い方に固執している 【写真:ロイター/アフロ】
23日のチリ戦では低調なパフォーマンスに終始しながら、メッシが決めたPK(それもファウルではないプレーで得たものだった)による1ゴールを守りきることに成功した。この時点でアルゼンチンは本大会の出場権を得られる4位以内に入っていたものの、メッシを欠いた28日のボリビア戦では良いところなく0−2で敗れ、5位に順位を落としている。
不思議なのはメッシに加えてセルヒオ・アグエロやゴンサロ・イグアイン、アンヘル・ディ・マリア、ルーカス・ビリア、ハビエル・マスチェラーノらスター選手が中盤から前線に並んでいるにもかかわらず、ファンを熱狂させるようなプレーを見せられていないことだ。恐らくそれはヘラルド・マルティーノの時代を除き、現在のエドガルド・バウサを含めた歴代の監督たちが、あまりにも守備的な戦い方に固執してきたからだと考えられる。
アルゼンチンにとっては予選の方が難しい?
クラブでは共に魅力的な攻撃を構築しているメッシとネイマールだが、代表での姿は対照的だ 【Getty Images】
さらにバウサは標高3650メートルの高地ラパスが会場であることを理由に、すでに予選敗退がほぼ決まっているボリビアとのアウェー戦に、「超守備的」なメンバー構成で挑んだ。その結果、それまでホームでもパラグアイ、ベネズエラといった下位チームにしか勝てていなかったボリビアに2−0で完敗を喫した。
アルゼンチンにとっては、本大会より予選の方が難しい――とは、よく耳にする意見だ。常に失敗が許されない立場にあるプレッシャーが大きいことは確かである。だが、ここまでアルゼンチンが守備的に戦い、そのためにメッシがボール奪取に奔走(ほんそう)し、レフェリーと口論を繰り返し、ゲームを構築することすらままならない姿を見るのもめずらしいことだ。
バルセロナでは共にプレーを楽しみ、魅力的な攻撃を構築しているメッシとネイマールだが、このようにそれぞれの代表チームでは対照的な状況に置かれているのである。
(翻訳:工藤拓)