国内GIと海外馬券、共存の課題 大阪杯GI昇格による“いたしかゆし”
大阪杯GI昇格に伴う遠征馬事情
昨年の年度代表馬キタサンブラックが2017年始動戦として大阪杯に登場 【写真:中原義史】
近年、東の中山記念と共に“スーパーGII”的性格が益々強まっていた大阪杯ですが、海外遠征馬の動向と無関係ではありませんでした。中山記念が上記ドバイを控えた馬達、大阪杯は4月末に香港で行われるクイーンエリザベスII世Cを睨んだ馬達が出走するケースが増え、ともに海外遠征前のステップレースとして機能していたところがありました。そのあたりはコアなファンにとって魅力的な要素ではあったのですが、ともかく、GI昇格に求められる条件のひとつ=過去の出走馬のレベル、を海外遠征馬達が底上げしてきた側面は否定できないのです。
ダービー馬マカヒキも参戦、大阪杯は豪華な顔ぶれとなった 【写真:中原義史】
しかし一方で、そのこと自体が今回のドバイ遠征組の動向に影響した可能性がないか、という懸念です。
国内のGIを充実させたい、ところがそれによって遠征馬の目玉が減ることで、海外競馬の馬券の売上が伸び悩むとしたら、まさに“いたしかゆし”ではあるのですが……。
今後の課題として
ヴィブロスが制したターフが約5億7千万円。サウンズオブアース(6着)が挑戦したシーマクラシックが約6億3千万円。これに対してアウォーディー他4頭が出走したワールドカップが約13億7千万円。総売上の半分以上を占めます。
これは単純に日本馬の出走頭数の差、と捉えることもできますが、アメリカのアロゲート(単勝120円)というスーパーホースの存在も大きかったのではないでしょうか。
本命馬不在で波乱含みのレースと、堅い軸馬がいるレースとの“買いやすさ買いにくさ”論争は、国内のレースでも意見が分かれます。が、圧倒的に情報量が少ない海外競馬においては、後者の方が“買いやすい”という仮説が成立しそうです。
つまりは売上に貢献するために、私ども新聞各社にも、まだまだできることがある、ということかと。
無論、日本馬の出走頭数差についても厳然たる事実として捉え、“国内G気僚室臓匹箸離丱薀鵐垢鬚いに取っていくのか。この考察は続けていかなくてはなりません。
「海外馬券の売上が思ったほど伸びなくても、それほど経費がかからないのなら問題ないのではないか」
という意見もあるようです。
でも、せっかくの海外競馬。多くの人が馬券を買って参加し、より楽しめる方がよろしくないでしょうか。
まだまだ試行錯誤しながらでも、検討すべき材料として、引き続き考えていくべき案件ではないでしょうか。