2試合連続完封も不安の残るディフェンス 改善すべきリスタート対応と守備陣の固定
守備に手応えを感じていたハリルホジッチ監督
UAEとタイに無失点で連勝を飾った日本。しかし、守備の出来は不安の募るものだった 【写真:FAR EAST PRESS/アフロ】
11月15日のサウジアラビア戦は終盤のパワープレーで押し込まれ、初めて流れの中から1点を失ったが、UAE戦、タイ戦に臨むメンバー発表会見の中で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「今まで(2次予選を含めた)予選13試合で失点5。(そのうち)4つがセットプレー。そして流れの中から1失点。それ(流れからの失点)はサウジの試合の終盤だ。つまり守備は良い仕事ができている」と強調。予選全試合フル出場の吉田麻也が統率する守備陣に手応えを感じている様子だった。
その流れを持続し、後半戦の山場となる23日(現地時間)のUAE戦、28日のタイ戦で相手を完封できるか否か――。そこが6大会連続の世界切符を獲得するための必須テーマになると見られた。
2連戦の1試合目となるUAE戦の最重要ポイントはもちろん、司令塔のオマル・アブドゥルラフマン(21番)を封じることだ。それはチーム全体が強く認識しており、「相手の特徴はキーマン(オマル)からの裏へのボールだと思うので警戒しないといけない。アウェーの雰囲気に飲まれないことやジャッジも警戒してやらなければいけない。繊細な対応が求められる。それは僕もみんなも理解していると思います」と長谷部誠に代わってキャプテンマークを巻いた吉田は、決戦前夜に語気を強めていた。
オマルを徹底マーク、功を奏したUAE戦の守備
UAE戦では長友(左)らがキーマンのオマルを徹底的にマークした 【Getty Images】
「オマルの管理は相当口酸っぱく言われていたし、ミーティングもたくさんしました。技術が高いので不安でしたが、何とか守れたかなと。向こうもフリーになろうといろいろ動いてたけれど、動いたところに必ず誰かが行くから、どんどん下がっていった。(オマルへの対応は)良かったと思います」と今野は前半途中からしつこい守備を嫌がって右から左へと移動した相手エースに対して、してやったりの表情を浮かべたが、まさにそこが試合の肝だったのは確か。最前線のアリ・マブフート(7番)とイスマイル・マタル(10番)に決定的なパスが供給される回数も減り、日本としては功を奏した形になった。
とはいえ、ピンチが皆無だったわけではない。その筆頭が前半20分にマブフートが川島永嗣と1対1になった場面だ。この時はハーフウェーライン手前でボランチのアハメド・バルマン(11番)がボールを持った際、今野と香川のチェックが遅れ、右から中に入ったイスマイル・アルハンマディ(15番)への森重と山口のプレスも中途半端になった。結果的に森重がかわされたことで、ドリブルで持ち込まれ、ペナルティーエリア内でフリーになっていたマブフートにスルーパスが通ったが、その前段階から日本守備陣は後手を踏んでいたのだ。
「僕はあまり(アンカーを)やったことがないので、ちょっと戸惑いはありました。相手のポジションだったり、自分のポジションをすごく気にしてプレーしていたので、すっきりできた感じはないです」と山口が不完全燃焼を吐露した通り、ナーバスになった彼が引き過ぎて最終ライン寄りになる分、攻撃陣との間に距離ができ、スペースが空くケースが何度も見受けられた。急造布陣で完璧な連係を求めるのは難しいが、ハリルホジッチ監督は実戦の中で戦術バリエーションを広げようと考えるタイプ。であれば、選手たちは準備期間が足りなくてもやるしかないのだ。そのことは今一度、認識すべきだろう。