- 室井昌也
- 2017年2月19日(日) 20:30
代表経験豊富な実力者揃い

これまでのワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で第1回大会ベスト4、第2回準優勝の好成績を残した韓国。しかし2013年の前回大会では1次ラウンドで敗退という結果に終わった。その雪辱を期す第4回大会に向け、韓国代表は今月13日から沖縄うるま市の具志川でキャンプを行っている。19日には初の実戦となる巨人との練習試合を行い、韓国は0対4で敗れた。
11月のメンバー発表の際にはメジャーリーグでプレーする野手3人を含むなど、韓国では今大会に向けた期待が膨らんだ。しかしその後、不参加表明が相次ぎ、一部現地メディアでは代表チームに対して、「史上最弱」との文字が躍るほど心配の声が広がっていった。しかしキャンプに集まった最終メンバーを見る限り代表経験豊富な実力者が揃い、整った戦力を形成している。
首脳陣の期待に応えた先発左腕
巨人との練習試合では先発候補の中でソン・ドンヨル投手コーチが「今、状態が一番良い」と話す、チャン・ウォンジュン(トゥサン)が先発した。チャン・ウォンジュンは韓国リーグで7シーズン連続2ケタ勝利中(軍入隊の2年間を除く)の左腕。直球の球速は130キロ台後半が中心だが、球の出所が見にくいフォームは「球速以上に速く感じる」と国内では評価されている。
この日のチャン・ウォンジュンは当初、2イニングで降板の予定だったが、2回を終わって球数が22球と少なかったことから3回も続投。チャン・ウォンジュンは持ち前の低めへの制球力を見せ、打者9人から内野ゴロ4つと三振3つを奪うなど1人の走者も出さず首脳陣の期待に応えた。
WBC公式球には違和感ない投手陣

韓国の投手陣はこのチャン・ウォンジュンと同じく左腕で、次の練習試合での登板が予定されているヤン・ヒョンジョン(KIA)が先発の2枚看板。球数制限のあるWBCではこの2人の後のいわゆる「第2先発」が重要となる。
この日の試合では、シーズン中に先発とロングリリーフの経験がある第2先発候補のチャン・シファン(kt)とチャ・ウチャン(LG)が2、3番手で登板したが、それぞれ失点するなど本調子ではなかった。キム・インシク監督はチャ・ウチャンについて「球が全体的に高かった。まだ100%の状態ではない」と振り返った。しかし各投手とも「WBC公式球に違和感はない」と話していることから、自らのコンディション管理が今後の課題となる。
ほぼベストの打撃陣は無得点

一方、打撃陣はキャンプ途中合流のイ・デホ(ロッテ)を除き、ベストメンバーが先発オーダーに名を連ねた。しかし、韓国打線は巨人の先発マイコラスら6投手に対し、4安打無得点。キム・インシク監督は「打者は直球、変化球いずれにも対応出来ていなかった」と話し、打者全体に実戦感覚不足が感じられた。
今回の韓国打線は日本でのプレー経験があるイ・デホ、キム・テギュン(ハンファ)に加え、韓国リーグ昨季の打率、打点の2冠王で、3年続けて3割30本100打点を記録しているチェ・ヒョンウ(KIA)が中軸を担う。彼らの前を打つ1番打者には代表チーム常連のイ・ヨンギュが座り、2番にはつなぎの役割を担えるミン・ビョンホン(トゥサン)やソ・ゴンチャン(ネクセン)らの候補が複数いる。また中軸以降には所属チームでクリーンアップを任されているパク・ソクミン(NC)とヤン・ウィジ(トゥサン)が6、7番に控えるなど、野手陣の役者は揃っているが、この日は振るわなかった。
ベンチでナインを鼓舞したイ・デホ

最初の実戦を終えたキム・インシク監督は試合後、「最初の試合としてはよくやったと思っている。それは試合内容ではなく、実戦の感覚をつかむことができたから」と話した。試合中、ベンチではイ・デホが最も大きな声を出しナインを鼓舞。しかしその他の選手はおとなしく、エンジンがかかるのはこれからといった様子だった。
韓国代表は22日に横浜DeNAと練習試合を行い、23日に帰国。1次ラウンドの開催地である、韓国・高尺スカイドームでキューバ、オーストラリアなどと強化試合を行い、3月6日の大会開幕まで調整を続ける予定だ。