【KNOCK OUT】成長が止まらない“神童”那須川天心 17年初陣は井岡破った元王者と激突へ

長谷川亮

MMAの経験で考える範囲が広くなった

「KNOCK OUT」初戦では衝撃的なKO劇を演じた天心。第2戦は!? 【写真:中原義史】

――毎年“去年の自分を超す”のが目標とのことですが、では2016年当初、1年前の自分と現在のご自身とを比べるといかがでしょう?

 フィジカルトレーニングをしっかりやっているので、去年の初めの頃やデビューしたての頃の映像と比べると全然スピードも体の厚みも違いますし、プロとしての心構え、気持ちの面も上がっていると思います。
 フィジカルのトレーナーにも「全然まだまだ」と言われていますし、今はずっとパワーをつけつつ、スピードを落とさないトレーニングをやっています。練習していてもその成果で、以前できなかった動きができるようになったりして、これをずっと継続して蓄積していけば、自分でも先が楽しみです。

――今もどんどん強くなっている実感があると。

 あります。あと、『KNOCK OUT』ではムエタイの人たちが注目してくれて、『RIZIN』ではMMAの人たち、今回はボクシング関係の方がすごく注目してくれて、格闘技界全体が注目してくれる存在になってきたというのがあるので、それがすごくうれしいです。

――いずれヒジありルールにも挑戦したいと話していましたが、そこからすぐに立ち技ルールを飛び越えてのMMA挑戦には驚かされました。

 怖いなとは思ったんですけど、本当に稀でないことだし、それよりも僕はチャンスだと思って。実際にこないだの試合が終わって練習をしてみると、MMAはタックルだったり考えること、考える範囲が広いので、キックの間合いでいつもよりラクに戦える感じがします。MMAで集中していた分、キックになった時に今まで考えられなかったことが考えられるというか。そういう風にいい経験になりましたし、やってよかったと思います。

――では、MMAを経験したことで以前より余裕を持って戦うことができる?

 そうですね、だからと言って余裕ぶってやるっていうのはないですけど、もっといろいろ考えられるようになりました。今までは出入りが多かったんですけど、“中に入っていろいろやってみよう”とか、他のことも考えられるようになりました。

ボクシング元世界王者相手に「パンチで倒す」

元ボクシング世界王者を相手に「パンチで倒す」と豪語する天心。有言実行となるか? 【写真:中原義史】

――そんな中で今回はムエタイ王者を経てボクシングで世界王者となり、井岡一翔選手を破ったことでも知られるアムナット・ルエンロン選手との対戦となりました。アムナット選手は保持したIBF世界フライ級王座を5度防衛した後、リオ五輪にも出場。昨年末ムエタイに復帰しています。

 テレビで見ていた選手ですし、最初決まった時はシビれました。最近のムエタイをやっている映像も見ましたけど、攻撃をもらわず自分のポイントを取っていくっていう感じで、やっぱりすごく目がいいですね。“倒す”っていうより上手く上手く戦って、相手を嫌がらせてっていう感じだなと思いました。

――元ボクシング世界王者の肩書きがある選手ですが、そこをあえてパンチで倒すというコメントもありました。

 そうですね、パンチで倒す方がみなさん喜んでくれると思うので。僕もどこまで通用するかっていう好奇心があるっていうか、そこでしっかりチャレンジしたいです。もちろんパンチだけやるっていう訳ではなく、蹴りも出していきますけど、最終的にはパンチで倒すっていうのを自分の中で決めているので。ノックアウトを期待してもらいたいです。

年末の戦いは“一石五鳥”だった

年末のRIZINでは2戦2勝。4月に横浜アリーナ大会も予定されているが、MMA再出撃となるか 【スポーツナビ】

――気の早い話ですが、2月の後は4月に開催の発表されている『RIZIN』(4月16日、神奈川・横浜アリーナ)でMMA再出撃にも期待が高まります。

 今年は本当に忙しくなりそうだなって思います。でも、それはうれしいことなので、オファーがあればいろいろな大会に出て行きたいです。

――去年のMMA挑戦のように、今年も何か驚かせてくれることがあるのでしょうか。

 MMAはそこまで興味がある訳ではなかったので、やるとは思っていませんでした。それが『KNOCK OUT』の前にオファーを頂いてああなったので、また急に何か決まるかもしれないです。

――では、オファーの内容と魅力次第?

 そうですね、“やってみよう”と思えば全然やります。MMA挑戦は面白そうというのもありましたし、大舞台で格闘技といえば大晦日だと思っていたので。でも29日って言われて、“マジか、大晦日出たかったな”って思ったんですけど、じゃあ言ってみればいいんじゃないかなと思って(笑)。

――それがこれまでにない離れ業で、結果的に大きくアピールする形となりました。今年も12月29、31日の開催であれば、最初から2日間の出場をアピールしては?

 いやぁ、それはキツいです(苦笑)。試合は2日間でしたけど、計量を入れると28日から1月1日の会見までがほんとアッという間で、終わっての解放感がハンパなかったです。この5日間で1日ぐらいの感じがありました。でも、そこでまた成長できたと思います。

――乗り越えられたことで得るものも大きかったと。

 29日を終えて、30日に“明日試合だ”ってスイッチを切り替えるのが難しかったです。試合が終わると一気にテンションも下がるというかすごく疲れが出て、風邪を引きそうになってヤバかったです。

――では年末の大きな経験を経て、さらに成長できたようですね。

 またレベルアップしてるし、違うと思います。年末は多くの人に知ってもらえたし、自分も成長できて、ほんと“一石五鳥”ぐらいの感じでした(笑)。

――では、そこから17年の第1戦となる、『KNOCK OUT』でのアムナット戦へ向け意気込みをお願いします。

 RIZINで僕のことを知ってもらえた方がいると思うんですけど、僕が一番輝ける、活躍できるのはやっぱりキックルールだと思うので、そこでどんな試合をするのか、みなさんにワクワクしながら見てもらいたいと思います。自分が思っているよりみなさん期待してくれていると思うので、本当にその期待に応える、期待以上のことをしていかないといけないですし、年末以上に活躍をして、“来てよかった”“見てすごく元気になった”“勇気をもらえた”とか思ってもらえたらうれしいです。
■『KNOCK OUT vol.1』
2月12日(日)東京・大田区総合体育館 開場16:00 開始17:00


<第7試合 "KING"vs"アバンサール" 61.5kg契約 3分5R>
梅野源治(ラジャダムナンスタジアム認定ライト級チャンピオン)
ワンマリオ・ゲーオサムリット(元WPMF世界ライト級王者)

<第6試合 "神童"vs"第19代IBF世界フライ級王者 3分5R>
那須川天心(RISEバンタム級王者)
アムナット・ルエンロン(ボクシング 元IBF世界フライ級王者)

<第5試合 "居合いパンチャー"vs"マッドピエロ" 3分5R>
町田光(WPMF世界スーパーフェザー級王者)
山口侑馬(Innovationライト級王者)

<第4試合 ”野良犬2世”vs"逆境スピリット” 59.5kg契約 3分5R>
森井洋介(第3代全日本スーパーフェザー級王者)
村田裕俊(NKBフェザー級王者)

<第3試合 "褐色のナルシスト”vs”RISING BOM” 67.0kg契約 3分5R>
引藤伸哉(WPMF日本スーパーフェザー級王者)
健太(第4代WPMF日本ウェルター級王者)

<第2試合 ”SPEED ACTOR"vs"ニューウェーブサウスポー” 55.5kg契約 3分×5R>
小笠原瑛作(初代REBELS52.5垉蕾者)
波賀宙也(WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者)

<第1試合 WONDER BIRD VS クレイジーピエロ 64.0kg契約 3分5R>
不可思(RISEバンタム級チャンピオン)
山口裕人(WBCムエタイ日本スーパーライト級王者)

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◆KNOCK OUT vol.1 第1試合〜第7試合まで完全ライブ配信◆
 2月12日 16時30分〜

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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