アウクスブルクで鍵を握る宇佐美の存在 新監督の下、攻撃サッカーへ舵を切る
残留争いで生き残ると期待できる理由
「オフェンスが力を取り戻したなら、残留に向けての心配事は見当たらない。ラウール・ボバディージャは、もう先発組に戻っている。だが、また鍵となる選手が3人もケガをしたならば、アウクスブルクにとっては問題となるだろう」
スポーツディレクターのシュテファン・ロイターは、「リアクションを示すだけの金が、われわれにはある」と話す。だが、クラブが攻撃陣の新戦力に資金を投じるのは、その他のすべてが100%の状態になり、最後の1ピースを探す場合だけだという。バウムは新顔を追ってはいない。負傷からの復帰による、なじみの顔に再会することに焦点を当てている。「選手の顔ぶれに、私は満足している。ここからベストの力を絞り出したいし、われわれなら成功すると、楽観視しているよ」。37歳の指揮官は、そう語るのだ。
オランダ人DFのパウル・フェルハーフはチームにとって非常に大事な主柱だ。ダニエル・バイアーは、中盤に安定感をもたらす。GKのマルビン・ヒッツは頼りになるし、FWのアルフレッド・フィンボガソンもクラブには過ぎるほどの戦力だ。フィンボガソンが負傷前のレベルに戻ったならば、またすぐに他クラブが興味を示すことは確実だ。指揮官が信頼するだけの人材は、そろっているのだ。
宇佐美がついにドイツ語でインタビューに答える
「僕はまだ19歳で、僕にとっては困難でした」と、宇佐美はバイエルン・ミュンヘンでスタートさせた、初めてのドイツでの生活を思い出す。昨年6月に始まった2度目のドイツでの挑戦も、まだ輝きを放つには至っていない。だが、宇佐美がシュスター前監督を非難することはなかった。
「監督ではなく、僕の問題です。日本のサッカーの方がゆっくりしていて、ドイツでは全てがずっと速いテンポの中で起こります。でも、僕はドイツが好きだし、ドイツのサッカーが好きです。もう一度、全力で挑戦したかったんです」
再びドイツに渡る前、宇佐美には休みがなかった。「日本でシーズンに区切りがついた後、1週間後に僕はアウクスブルクでスタートを切りました。体力的にとても良い状態ではありませんでした」。だが、そのコンディションも以前よりずっとレベルが上がっている。クリスマス休暇の間も日本で体を動かし、スペインでの合宿でも好感触を得ているようだ。
それこそがシーズン後半戦でのパフォーマンス向上の鍵であると、地元記者たちも考えている。また、それがアウクスブルクにとっても鍵となる。チームはより攻撃的なプレーを目指すことになるからだ。スピードあるウインガーが起用されるということは、宇佐美にとっても恩恵となる。1月7日に行われたAZアルクマールとの練習試合でもゴールを奪い、宇佐美は自身が相手にとって危険な存在になり得るということを示した。
バウムがチームを引き継いだことによって、宇佐美はメンバー内での序列を上げることになるだろう。クラブを担当する記者はそろって、宇佐美は今後、さらに大きな役割と責任を与えられることになると記す。
ブンデスリーガが、いよいよ再開する。バウムとホッフェンハイム、どちらかに“初黒星”がつくことになるのだろうか。宇佐美は2012−13シーズンに所属した古巣へのきつい恩返しで、復活ののろしを上げるのか。
楽しみな週末が、また始まる。