【ノア】GHC王座V2の中嶋に杉浦が挑戦表明 ジュニア2冠王の小峠、拳王がヘビー転向へ

高木裕美

中嶋(右)がパートナーのマサ北宮の挑戦を退けGHC王座V2達成 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 プロレスリング・ノア年内最終戦となる24日の「Winter Navig. 2016・最終戦」東京・後楽園ホール大会では、GHC2大タイトルマッチなどが行われた。

 メインイベントのGHCヘビー級選手権試合では、王者・中嶋勝彦がタッグパートナーのマサ北宮を退け2度目の防衛に成功。次期挑戦者には鈴木軍を離脱した杉浦貴が名乗りを上げ、新春の後楽園大会でのタイトルマッチが決定的となった。

マサが執拗な足攻めも耐えてV2成功

試合後は杉浦が次期挑戦者に名乗りを挙げた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 中嶋は10.23横浜文化体育館大会で杉浦を倒しGHC王座を初戴冠すると、12.2後楽園では鈴木みのるを破り、鈴木軍をノアから追放。その活躍が認められ、今年のプロレス大賞では敢闘賞を受賞した。

 対する北宮は4月に本名からマサ北宮に改名後、大ブレーク。11月の「グローバル・リーグ戦」では元GHC王者たちから次々と勝ち星を奪った末に準優勝。トップ戦線に食い込むと、12.3ディファ有明大会で中嶋に挑戦を直訴した。

 健介オフィス時代からの兄弟子である中嶋に対し、北宮は徹底した足攻めを敢行。前哨戦から狙い続けた左足に狙いを定め、ニークラッシャー、ストンピング、エルボーなどを打ち込んでいく。中嶋は痛みをこらえ、ドラゴンスクリュー、串刺しハイキック、ミサイルキックなどを繰り出すと、15分過ぎにはローリングソバット、トラースキック3連発からバーティカルスパイクを決めるも、カウントは2。追い込まれた北宮は20分過ぎ、ドラゴンスクリューから師匠・マサ斉藤さん直伝の監獄固めで捕獲。だが、サイトースープレックスは逃げられ、決定打には至らず。中嶋は狙いすましたハイキックをクリーンヒットさせると、バーティカルスパイクでトドメをさした。

 試合後、一匹狼となった杉浦が「来年の後楽園、オレに挑戦させろ。時代をまたオレに戻してやるよ。分かったな」と呼びかけると、中嶋も「何を考えてるのかさっぱり分からないけど、やってやるよ。ただ、時代は渡さない」と挑戦を受諾。「アイツに時代もベルトも渡さない。なぜなら、オレは止まらねぇ!」と絶叫し、来年も自分がエースとしてノアを引っ張っていくと宣言した。

一匹狼となった杉浦は丸藤を撃破

一匹狼となった杉浦は、まずは丸藤を撃破した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、丸藤正道vs.杉浦貴による注目のスペシャルシングルマッチが実現した。

 杉浦は12.2後楽園で、鈴木軍のボス・鈴木みのるを襲撃。翌12.3ディファ有明でのケジメマッチも制し、鈴木軍と決別した。試合後、丸藤からの「オレたちでノアの戦いを取り戻そう」という共闘の握手を拒否した杉浦は、「ノアの連中、全員まとめて相手してやるよ」と一匹狼で活動していくことを表明していた。

 開始早々、杉浦が場外マット上へ中年ズリフトで投げ、痛めた腰へ集中攻撃。しかし、丸藤もスワンダイブ式の三角飛び式ムーンサルトアタック、トップロープを飛び越えてのローリングクラッチ式パワーボム、フロムコーナートゥコーナー、不知火など、軽快な動きを見せる。杉浦はオリンピック予選スラムを放つと、腕をつかんだままエルボーを連打。丸藤はそれでも「来い」とあえて挑発してみせ、虎王を打ち込むが、杉浦は2発目の虎王をヒザでブロックしてみせると、オリンピック予選スラムでフィニッシュ。全試合終了後、中嶋にGHC王座挑戦を表明した。

桃の青春が邪道外道からベルト奪回

GHCジュニアタッグを奪回した小峠は、ヘビー級転向を表明した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ジュニア2冠王となった小峠篤司、みちのくプロレスからの移籍後、ノアジュニアを牽引してきた拳王がいずれもヘビー級転向を表明。来年からのノア勢力図が大きく塗り替えられることになりそうだ。

 小峠は原田大輔との桃の青春タッグで、新日本プロレスの邪道&外道組に奪われたGHCジュニアタッグ王座に挑戦。10.8後楽園では圧倒的な「レヴェルの違い」を見せ付けて王座を奪っていったレジェンドタッグチームは、今回も序盤で場外戦を仕掛けると、さらにレフェリーを巧みに利用したインサイドワークも駆使。外道の急所攻撃から、邪道が小峠をクロスフェースオブJADOで捕獲すると、25分過ぎには合体のスーパーパワーボムを狙うも、小峠がキックで阻止。原田もリングインし、まずは外道に合体のデスバレーボムを決めると、孤立した邪道に原田の片山ジャーマンスープレックスから小峠がキルスイッチを炸裂。30分近い激闘の末に、ついに至宝を取り戻した。

 試合後、邪道、外道の2人は、新王者の2人の勝利を握手と抱擁で祝福し、ベルトを腰に巻いて認めた。GHCの4大タイトルがすべてノアに戻ってきて、ハッピーエンドかと思われたが、シングル&タッグのジュニア2冠王となった小峠が、マイクで爆弾発言。「オレは来年から、でっけえヤツらとやりたい。ヘビー級のヤツらに挑戦していくつもりだ」とヘビー級転向を表明した。

 すでに第1試合でも、拳王がリング上から「オレはヘビー級に行く。そしてノアをさらに盛り上げる」とマイクアピール。これまでケンオーハラとしてジュニアタッグ戦線で戦ってきた大原はじめと袂を分かつと、すでに未来を見据えているのか、会場の隅からセミ、メインのヘビー級バトルに熱視線を送っていた。

 小峠は「ジュニア2冠王になれたのはうれしい。でも、ジュニアの枠にとらわれずに、大きさに関係なくやっていきたい。ノアを盛り上げていきたい」と、ベルト返上は考えず、まずはジュニア・ヘビーの枠組みを取り払った戦いをしていきたいとアピール。とはいえ、試合後、先に退場したパートナーの原田との温度差は決定的で、タッグを解消したケンオーハラも含め、ジュニア、ヘビーの新たな戦い、新たなユニットなどが生まれていきそうだ。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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