「神ってる」広島のリーグ連覇は可能か 若手の台頭と補強で不安を断ち切れ

ベースボール・タイムズ

優勝チームしかできないペナント一周。来季も真っ赤に染まるファンの前で披露したい 【写真は共同】

 2016年、圧倒的な強さでセ・リーグを制した広島カープ。初優勝の1975年以来、41年ぶりに行われた優勝パレードには沿道に30万人を超えるファンが集まり、参加選手全員が初体験となるハワイへの優勝旅行など、特別なオフを過ごしている。

 来季は33年ぶりの日本一を目指すことになるカープだが、その前にクリアすべき79年、80年以来となるリーグ連覇は、果たして可能なのだろうか。

頂上決戦で見えたリリーフへの不安

 今季は交流戦終盤からの11連勝で首位に立って以降、ほぼ順風満帆と言える展開でリーグ制覇までたどり着いたカープだが、パ・リーグを制した北海道日本ハムとの日本シリーズでその勢いは止まり、不安材料も露呈した。

 その一つが、リリーフ陣の崩壊だ。今季はセットアッパーのジャクソンとストッパーの中崎翔太が安定した投球を見せ、さらには7回を任されたヘーゲンズの登場で、勝利の方程式が確立。しかし、シーズン終盤にジャクソンと中崎が故障や疲労で二軍落ちを経験するなど、不安を残した状態でポストシーズンを迎えた。

 日本シリーズでは最初の2試合こそ互いに無失点リリーフを見せるも、第3戦でジャクソンが追いつかれ延長戦となり、サヨナラ負け。その後の3試合はいずれもこの2人が敗戦投手となり、4連敗でシリーズ敗退が決定。不安は的中した。

 過去にも、シーズンでフル回転しチームを優勝に導いたリリーフ投手が、ポストシーズンで結果を残せず、翌年まで影響した例は数多く見られた。ともにシーズンで60試合以上に登板し、シリーズでも連投した2人の蓄積疲労は、来季への不安材料といえる。

黒田の穴はかつての新人王が埋める!?

黒田の穴を埋める筆頭候補・大瀬良。新人王に選ばれた14年の輝きを取り戻したい 【写真は共同】

 投手陣では、黒田博樹の引退という大きな変化もある。今季も10勝を挙げた黒田だが、このレジェンドの不在は、数字以上の大きな損失となりそうだ。16勝をマークし、前田健太(ドジャース)の抜けた先発陣の救世主的な活躍を見せた野村祐輔を筆頭に、黒田のアドバイスで飛躍のきっかけをつかんだ投手は少なくない。投手陣の精神的支柱でもあったベテランの引退は、チームに大きな影響を及ぼしそうだ。

 その黒田の抜けた先発の穴を埋める筆頭候補として期待されるのが、14年新人王の大瀬良大地だ。2年目のシーズン途中でリリーフに配置転換となった大瀬良は、今季は先発再転向に失敗。再びリリーフで故障からの復活を果たした。三たび先発に挑む来季は、エースの座を目指す。

 さらに今年のドラフト1位で、慶応大から入団した加藤拓也は、苑田聡彦スカウト統括部長が「打者に向かっていく姿勢は、黒田を彷彿(ほうふつ)とさせるものがある」と期待する本格派右腕だ。先発かリリーフか、起用法はまだ定まっていないが、大瀬良が抜けたリリーフ陣の一角に加藤が収まる、というのが理想的な形だろう。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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