「神ってる」広島のリーグ連覇は可能か 若手の台頭と補強で不安を断ち切れ
新井から4番を奪い取れ!
今季はリーグMVPに輝いた新井だが、来年1月で40歳。ベテランに代わる若き主砲は出現するか 【写真は共同】
チームの柱となる4番の打順も、今季はリーグMVPに輝いた新井貴浩が復権したが、このカープを愛するベテランも、来年1月で40歳を迎える。「カープの未来を考えると、いつまでも自分が4番を打っていてはいけない」と新井本人が言うように、若手の中から、4番の座を奪い取る選手の出現が急務だ。
その4番に緒方孝市監督が「可能性はある」と言及したのが、今季プロ4年目で大ブレークを果たした鈴木誠也だ。パ・リーグMVPに輝いた日本ハム・大谷翔平と同学年の鈴木は、チーム最多の29本塁打をマーク。打率3割3分5厘、95打点の活躍で、16個だった盗塁数を伸ばせば、トリプルスリーも視界に入る存在となった。
ただ、ここまで右肩上がりの成績を残している鈴木とはいえ、来季、今年以上の成績を求めるのはやや酷な感もある。ポストシーズンでは壁に当たった気配も見せており、ここで「4番の重圧」まで背負わせてしまうのは、成長を妨げることにもなりかねない。
そもそも「将来の4番候補」といえば、少し前までは堂林翔太に与えられた称号だった。高卒3年目でシーズンフル出場を果たし、14本塁打を記録した堂林だが、その後は守備の不安などもあり、成績は下がる一方で、今季は一軍定着もままならない状態だった。「来年ダメなら終わり」の決意でオフには新井に帯同し護摩行を行う堂林が、覚醒してサードのポジションを確保すれば、チームの未来が明るくなることは間違いない。
ブームを終わらせないために補強は必至
「神ってる」広島の象徴・鈴木。「新語・流行語大賞」の表彰式にも出席するなど、その人気は今や全国区だ 【写真は共同】
正直、ドラフトと現有戦力のレベルアップだけでは、心もとない部分は否めない。カープは12月6日現在、新外国人の獲得を行っていない。投打で1人、もしくは2人程度の獲得が検討されているようだが、黒田の抜けた先発、頭数が不安なリリーフ、レギュラー不在の三塁手と、連覇のために埋めるべき補強ポイントは、まだまだあるのだ。
昨季リーグ優勝した東京ヤクルトが1年でBクラスの5位に転落したように、近年のセ・リーグは群雄割拠の様相を見せている。「神ってる」が今年の「新語・流行語大賞」に選ばれたが、いつまでもお祭り気分で歓喜に浸っている場合ではない。大賞受賞の芸人は翌年に“消える”というあしきジンクスが存在するが、今年のカープの「神ってる」状態を一過性のブームで終わらせてはいけない。
(大久保泰伸/ベースボール・タイムズ)