ドローに終わった“低地国ダービー” 攻めるベルギー、耐えるオランダが鮮明に

中田徹

両国にとって呪われたダービーに

ルクセンブルク戦ではアリエン・ロッベンが1年ぶりに代表復帰する予定だ 【Getty Images】

 それでもオランダにとって本番は、4日後のW杯予選、敵地での対ルクセンブルク戦だ。普通に考えれば、オランダが勝ってしかるべき試合だが、08年ユーロ予選では、2試合戦って共に1−0とスコアだけでなく内容面でもオランダの辛勝だった。ルクセンブルクは油断できない相手だ。

 オランダはけが人に泣かされている。2年半ぶりに代表復帰を果たしたベテランMFスタイン・スハールスはふくらはぎを痛めて15分にヨルディ・クラーシと代わった。スハールスは10日の検査でルクセンブルク戦の出場可否を決める。

 アタッカーの2人、ビンセント・ヤンセンとレンスは離脱が決定した。ヤンセンはGKシモン・ミニョレと激突した際に脳振とうを起こし、27分にバス・ドストと代わった。フェネルバフチェで好調だったレンスは、ベルギー戦でも時折好プレーを見せていたが、左サイドをドリブルで突破しようとした際、ハムストリングを痛めて後半22分にメンフィス・デパイと代わった。

 層の薄くなっているオランダ代表だが、クラブで出場機会に恵まれない選手、けがに悩まされている選手も多い。今回の招集メンバーからすでにDFリック・カルスドルプ、テレンス・コンゴロ、MFダビー・プロパー、FWクインシー・プロメスが負傷で代表を辞退していた。

 ルクセンブルク戦ではアリエン・ロッベンが1年ぶりに代表復帰する予定だが、そのバックアップはメンフィス、スティーブン・ベルフハウスと所属チームでレギュラーを獲り切れていない選手たち。試合前の記者会見ではダニー・ブリント監督がブランドレイ・クワス(ヘラクレス)というウインガーをオランダ代表にリストアップしていることが明らかになり、ファンを驚かせた。そのクワスは低地国ダービーが行われた夜、ロッテルダムでキュラソー代表としてエクセルシオールとの練習試合に出場している。

 今のオランダにとってベルギーとの1−1は満足すべき結果だ。それ以上に、負傷者がまた増えてしまったことのほうが恨めしい。ベルギーも、コンディションが戻っていたと思われていたバンサン・コンパニーが、ウォーミングアップで出場を取りやめる緊急事態があった。そういう意味では、両国にとって呪われたダービーになってしまった。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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