バスケ県・秋田におけるJとの関係性は? 競技をまたいだ連携策を両社長が語る

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Jクラブ社長にとってのBリーグ開幕

岩瀬社長はハピネッツが初年度からB1に所属したことを「素直にうれしい」とコメント 【宇都宮徹壱】

――岩瀬社長、Bリーグが華々しく開幕を迎えましたが、県内の反応などを見ていてどのように感じられているでしょうか。

岩瀬 まず川淵(三郎)さんが2リーグの統合に着手しましたが、なんとなく(川淵さんが統合に関わるという)予想はしていました。もしかしたら川淵さんにしかできないことなのかな、なんて思っていた矢先に川淵さんが着手し、Bリーグができあがり、本当に素晴らしいことだなと思っていました。Jリーグが開幕した時のオリジナル10のクラブがあるように、その中の1つとして、秋田のチームが入れたということはすごいことだと思いますし率直にすごくうれしいです。

 秋田のバスケ文化の歴史などを考えたら決しておかしくはないことだと思っていますし、実現に向けてゼロから1にされた水野社長は本当にすごいなと思って見ています。

――今後も協力や切磋琢磨(せっさたくま)されていくのだと思いますが、お2人の中で秋田県で共存していく上でのビジョンやイメージなどはお持ちでしょうか?

水野 そうですね、今のところはJリーグとBリーグでシーズンがあまりかぶっていないので、そこはぜひ続けてほしいと個人的には思っています。そういった中で、お互いにシーズンオフが違うので、選手同士の交流などがどのようにできるかな、というのは考えていきたいと思っています。

 あと、うちのトレーナーはブラウブリッツさんのトレーナーさんと交流して、情報交換や知識の共有をしたりしているようです。そういったプロスポーツとしての共通した部分は情報交換ができれば自チームに生かされたりすることもあるかもしれません。特に指導者は、他分野だったとしても参考になる部分が多い職種だと思いますので。

 あとは試合がかぶっていない時にまた違う形で企画などが実施できれば非常に盛り上がっていいのではないかなと思っています。両者がファンを奪い合うということではないと思います。秋田は人口が限られていますし、特にこれからはさらに人口が減っていくことが予想されています。その中で協力し合ってやっていくことで、秋田のスポーツが盛り上がっていくのだと思います。もともと秋田はスポーツを見る土壌がある土地ですし、秋田はスポーツ好きが多いエリアだと思います。

 秋田県はうちとブラウブリッツさんができるまではプロスポーツがなかった県なので、プロスポーツとしては後発の県になります。その中でチケットを買って応援してもらう人をどうやって増やしていくかというのはお互いに考え、市場パイを増やしていけたらいいなと思います。

岩瀬 以前、試合日がかぶっていて、開始時間が少しだけずれていた日があったのですが、うちの出店エリアにハピネッツさんのファンの方々がかなり来られていました。試合日に実施するコラボレーションなども、アイデア次第ではいくらでも可能なのかなというのは感じています。今後もいろいろと話し合いをしていきたいですね。

 そういう意味では、Jリーグから大河(正明)さんが(Bリーグに)行ったということもあり、多くのことがやりやすい環境ができたんじゃないのかなというふうに感じています。

両社長の秋田への思いとクラブの方向性

「理念はブラウブリッツさんと全然変わらない」と水野社長 【宇都宮徹壱】

――大河チェアマンのお話がありましたが、競技は違えどクラブ理念などは共通している部分も多いかと思います。

岩瀬 Jリーグの百年構想というものに、「スポーツでもっと幸せな国へ」という言葉がありますが、本当にそれを秋田に落とし込んで、「スポーツの力で秋田を元気に」という思いで、県内幅広くいろいろな活動をさせてもらっています。ハピネッツさんはホーム開幕戦で4500人近く入られたということで、うちはそれには及ばず3000人前後ですが、いわば7000人、8000人以上のスポーツ観戦者が今、このエリアにはいるということです。今年の秋田はプロスポーツを観戦する選択肢が2つあり、県民の方々が余暇を過ごす選択肢が広がっていると感じています。秋田県の歴史上で考えてもすごいことだと思います。

水野 やっぱり理念というのはブラウブリッツさんと全然変わらないと思っています。僕らもやっぱり「バスケットボールで秋田を元気に」というところがベースにあるので。あとは、まだまだ見に来たことがない人がたくさんいるので、会場に足を運んでもらえるよう、とにかく地道にやっていくしかないかなとは思っています。やはりスポーツは生で見るのが一番楽しいですので。

――試合前に秋田県民歌を歌うという部分も共通していますよね。

水野 僕らはbjリーグの1年目からやっていますね。

岩瀬 秋田県民歌は、カラオケにも入っているぐらい有名です(笑)。僕も秋田に引っ越してきて10年経ちますけれど、びっくりするくらい秋田県歌を知っている人が多いですし、歌えます。自分は茨城県出身ですけれど、茨城県民歌があるのかないのかも知りません(笑)。そういった意味でも、秋田県の方は郷土に誇りを感じられる何かを求めていたり、大事にしてらっしゃるんだなというのはすごく感じます。
 
水野 歌詞がいいんですよ。秋田の魅力が詰まっていて。歌詞も4番までありますし。そういうのって、秋田を感じられるじゃないですか。秋田の人たちはきっと、Jリーグができた時はニュースで見てうらやましかったと思うんです。今までは地元のチームの応援なんてできなかったんですよ。それがこうやってうちやブラブリッツさんを応援できるというのは楽しいだろうなと思います。

岩瀬 間違いなく誇りだったり、郷土愛っていった部分に直結する部分だと思いますね。そういう文化が、今プロスポーツを通してできつつあるところだと思います。

(取材・文:澤田和輝/スポーツナビ)

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