若き侍ジャパンが見せた収穫と課題 U−23W杯初代王者の栄冠勝ち取る
7度宙に舞った斎藤監督
U−23W杯の初代王者に輝き、喜ぶ日本の選手 【Getty Images】
「しっかり守って少ないチャンスをものにする日本の野球ができた」と斎藤雅樹監督。硬さのあった初戦のニカラグア戦を6対1で勝利すると、第2戦からは4試合連続2ケタ得点と打線が爆発し、オープニングラウンドを5試合58得点8失点と圧倒して首位通過。一転、スーパーラウンドでは接戦が続き、韓国をタイブレークの末にサヨナラで下した後、パナマには2対3の逆転負けを喫したが、地元・メキシコを3対2で再びサヨナラ勝ち。
決勝では、斎藤監督が「(先発の)笠原(大芽=福岡ソフトバンク)が先に点を取られるとは想像していなかった」と4回表までに3点のリードを許す思わぬ展開となったが、そこから10得点を奪って逆転勝利。大会前、「メキシコなんて行ったことがない。不安でしょうがないよ」と苦笑いを浮かべながらも、選手たちに「若さを出して“元気ハツラツ”で行こう!」と発破をかけていた指揮官が計7度、宙に舞った。
守備力の差が勝敗を分ける
韓国戦では1対1のまま無死一、二塁から始まる延長タイブレークに突入。その10回、日本は相手の送りバントを捕手・柿沼友哉(千葉ロッテ)が素早い動きから三塁へ好送球でアウト。対して、その裏の韓国は植田海(阪神)の転がした打球を強引に三塁へ投じてフィルダースチョイス。この時点で勝敗が決まった。
続くパナマ戦では日本の守備が乱れた。2対2の同点で迎えた8回、1死二塁から1番・オロスコのファーストゴロを廣岡大志(東京ヤクルト)がファンブル。さらに1死一、三塁からの2番・コルドバのセカンドゴロを三好匠(東北楽天)が本塁へ送球してセーフ。これが決勝点となった。
そしてメキシコ戦では、日本が奪った3得点すべてが相手のタイムリーエラー。しかも複数のミスが重なっての得点だった。さらに決勝のオーストラリア戦でも、3点ビハインドの4回に、セカンドゴロエラー、ワイルドピッチ、ファーストゴロエラーと相手の守備が乱れる間に労せずに2点を奪い、一気に試合の流れが変わった。
優勝決定直後、「守備が大事だなということをすごく感じた」と振り返った主将・三好の言葉は、単純ながらも実に的を射たもの。日本、韓国のミスは仕方のない面もあるが、メキシコ、オーストラリアの守備はハッキリ言って“お粗末なもの”であり、改めて日本のストロングポイントを認識した大会でもあった。