注目は日立OG、3人の女性監督 16−17V・プレミアリーグ女子が開幕
2016−17シーズンのV・プレミアリーグ女子が29日に開幕する 【坂本清】
次期全日本監督に内定した中田久美
次期代表監督に内定した中田監督。久光でリーグ優勝3度の実績を残している 【写真:伊藤真吾/アフロ】
スポーツキャスター時代の熱のこもった解説ぶりなどから「鬼軍曹」というイメージが強いが、選手たちからは「監督」ではなく、「久美さん」と慕われている。17日に行われた開幕記者会見は世界クラブ選手権に参加中だったため、ビデオメッセージで今季の意気込みを語った。
「それぞれの選手が持つ個性をチームで発揮し、最高の輝きをつかみ取りたい。昨シーズンは苦しい状況から一丸となって優勝することができました。たくさんの試合経験を積んで、新たな進化を遂げた久光製薬スプリングスにご期待いただきたいです」
チーム作りの特徴は、各選手がそれぞれで動くのではなく、ボールが「ワンフレームに収まるバレー」をテーマに掲げていること。トスの速さとコンパクトなバレーにこだわりを見せる。自分のプレーだけでなく、その後のプレーにつながる精度を追求した。
久光には共にリオデジャネイロ五輪に出場した全日本のオポジット・長岡望悠とサイドアタッカーの石井優希が在籍する。その他にもロンドン五輪銅メダリストで、“レシーブの名手”の新鍋理沙や、ブロックが持ち味のミドルブロッカー岩坂名奈ら有力選手がそろっている。
1年でプレミアに昇格を決めたJTの吉原監督
主力選手には、16年度の全日本合宿に招集されたセッターの田中美咲とパスヒッターの田中瑞稀がいる。田中瑞稀は高校時代に九州文化学園高で活躍。14年の春高バレー決勝では、強豪・東九州龍谷をフルセットで破り、田中瑞稀自身は115打数をたたき出した。田中美咲は、トススピードと、レセプション(サーブレシーブ)が乱れた際にも二段にこだわらず、いろいろなところにトスを上げていくプレーを持ち味にしている。2人とも、「全日本での経験を生かしてリーグにつなげたい」と意欲的だ。田中瑞稀とタイ代表のオヌマー・シッティラックの2枚エースでチームをけん引する。
中田監督との対決について、吉原監督は「よく聞かれるんですけれど、そんなに意識したことはないんです。選手として共に戦った方々と、今度は立場が変わって監督として戦うことになります。『この1戦に勝ちたい』という思いで戦うと思います」と語った。しかし、選手たちは「練習の厳しさでは久光さんには負けません!」とライバル意識をちらりとのぞかせた。そのことを吉原監督に告げると、「そんなことを言ってました?(笑)」と苦笑しながらもどこか満足そうだった。
JTと久光はすでに5月の黒鷲旗で対戦済み。このときは全日本合宿で主力が不在だった久光がフルセットの末敗れている。今季のリーグ戦では、どんな戦いを見せてくれるのだろうか。