注目は日立OG、3人の女性監督 16−17V・プレミアリーグ女子が開幕

中西美雁

監督初挑戦の多治見監督

左から大林素子さん、吉原監督、多治見監督。3人とも日立OGだ 【坂本清】

 3人目はトヨタ車体クインシーズの多治見麻子監督だ。91年から廃部となった01年まで日立に在籍しており、五輪にも3回出場している。引退後は東京三鷹市の嘱託職員として国体の運営に携わった後、早稲田大学大学院でコーチングを学びながらGSS東京サンビームス(Vチャレンジリーグ2部)のアシスタントコーチを務めた。

 今季からトヨタ車体の監督に就任し、「21年間の現役生活でさまざまなことを経験してきましたが、監督は未知の世界です。昨季はポリーナ(・ラヒモワ)頼みのバレーでしたが、やるからには日本一を目指したい」と語った。指導者の道を進むに当たっては「やはり久美さん、トモさん(吉原監督)の影響はありました。2人が活躍されているのを見て、心強く思いました。でも、もちろん勝負の場面では負けるわけにはいきません」と先輩たちへの思いを口にした。

 昨季のトヨタ車体は多治見監督の言うように、とにかく助っ人のラヒモワに打数を集め、力でねじ伏せる戦い方だった。今季からは新戦力として北京、ロンドン、リオと3度の五輪に出場したベテランミドルブロッカーの荒木絵里香が加わった。多治見監督にとってはパイオニア時代のコーチであり、昨季は男子の堺ブレイザーズで監督を務めた理論派の印東玄弥をコーチに迎え入れ、新しいトヨタ車体をどう作っていくのか期待したい。

3人がそろうのは今季限り

昨シーズンは久光の優勝で幕を閉じた。今季はどんな戦いが待っているのか 【坂本清】

 中田監督はシーズン終了後に全日本女子監督に就任することが決まったため、3人がそろうのは今季限りとなる。中田監督は「私が現役の頃、リーグの監督たちは常に世界と戦うことを意識していた。今はそうではない。そんな中、同じ意識で戦ってきてチームメートだった吉原、多治見が後に続いてきて、これほど心強いことはない」と語った。

 全日本女子はリオ五輪では準々決勝で敗退し、期待された成績を残すことができなかった。リーグでそのリベンジを果たそうと燃えている選手も、五輪メンバーに選ばれなかった悔しさをぶつけようと意気込む選手もいる。そんな選手たちを率いる日立OGの女性監督たちの熱い戦いにも、注目してほしい。

2/2ページ

著者プロフィール

名古屋大学大学院法学研究科修了後、フリーの編集ライターに。1997年よりバレーボールの取材活動を開始し、専門誌やスポーツ誌に寄稿。『バレーボールスピリット』(そしえて)、『バレーボールダイジェスト』(日本スポーツ企画出版)、『球萌え。』(マガジンハウス)『全日本女子バレーコンプリートガイド』(JTBパブリッシング)などを企画編集。現在はwebスポルティーバ、バレーボールマガジンなどで執筆活動を行っている。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント