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「くまモン」の横断幕に思いを託し――
江里口ら熊本選手団が全国の支援に感謝
国体に参加した陸上の熊本県選手団が全国の支援への感謝の気持ちを伝えた
国体に参加した陸上の熊本県選手団が全国の支援への感謝の気持ちを伝えた【高野 祐太】

 岩手県で行われていた国民体育大会の最終日となる11日、4月14日に起こった熊本地震の復興に対して全国から多くの支援をしてもらったことに感謝し、陸上競技の熊本県選手団が「元気と勇気をありがとう。がんばるモン!」とのメッセージを北上市の北上総合運動公園陸上競技場から発信した。

「最後まで力を尽くして競技しよう」に呼応

 ご当地キャラ「くまモン」の描かれた横断幕に思いを託したのは、選手とコーチ陣の総勢45人だ。地震が発生したのは、国体県予選のわずか2日前。大会会場はまったく使用できる状態ではなくなってしまった。練習はおろか、テントや自家用車内での寝泊りなど、生活の立て直しから始めなければならない状況で、一時は国体選手団を結成すること自体が危ぶまれた。だが、地震の発生直後から全国で支援の輪が広がり、道路網などのインフラも整備されるにつれ、7月になってやっと代表選考会を開催できる見通しが立つ。


 選手自身も避難所でのボランティアに打ち込んだ。日本陸上競技連盟(日本陸連)のアスリート委員会でも、熊本県出身で2012年ロンドン五輪代表の江里口匡史(大阪ガス)らが募金活動を行い、たくさんの義援金が集まったことによって大会会場移転などのために役立ったという。


 そうした努力の積み重ねにより、米田光宏陸上競技統括責任者が言う「全国に感謝を表現するメンバー」が結成されるに至る。米田統括責任者が「思いを表すため、最後のゼロコンマ1秒、最後の1センチまで力を尽くして競技をしよう」と呼びかけ、選手たちが応えた。


 齊藤勇真(九州学院高)は少年男子A100メートルで準優勝を果たした。大会を終えて表情は充実。「他県からの支援があって、自分たち熊本は岩手の地に立てていられると思います。そういう意味で岩手国体には特別な思いがありますし、誇りを持ってチーム熊本が一丸となり、自分もしっかり感謝の気持ちを持って走れたと思います」と、力強く語った。

「恩返しは成績を出すこと」と江里口は復活を誓う

 そして、地震に負けなかった熊本県代表と呼応するように、江里口が復活への足掛かりをつかんだ。昨年2月に日本陸連の合宿で左足の甲を骨折。7月に手術をして、満足に練習ができない日々が続いたが、今年9月下旬の大会に続き、国体の成年男子100メートルと男子4×100メートルリレーでアンカーとしてスパイクを履いてのレースを走ることができた。結果は予選落ちだったが、来季の日本代表復帰へ向けて意欲が高まっている。


 江里口はロンドン五輪の後、代表を外れる低迷が続いている。14年には9月に髄膜炎で入院、11月に肺炎を発症する不運に見舞われたが、そこから技術面や練習内容を見直すうちにメキメキと調子を上げ、骨折をする直前の15年2月には世界選手権代表もうかがえるほどにスピードを取り戻していた。


 そんな矢先の試練だった。そこから、ここまで状態を戻し、今は気持ちが前を向いている。

「ここでは終わらないと思っていますし、体もまだやれると思っています。また世界と戦うための準備がやっとできてきたと思ったので、ここからが勝負です」


 地元の大きな痛手に寄せる思いもひと際強くなっており、「恩返しや、一緒に頑張る姿勢を表現する一番いい方法は成績を出すことだと思います」と、復活を誓った。

高野祐太

1969年北海道生まれ。業界紙記者などを経てフリーライター。ノンジャンルのテーマに当たっている。スポーツでは陸上競技やテニスなど一般スポーツを中心に取材し、五輪は北京大会から。著書に、『カーリングガールズ―2010年バンクーバーへ、新生チーム青森の第一歩―』(エムジーコーポレーション)、『〈10秒00の壁〉を破れ!陸上男子100m 若きアスリートたちの挑戦(世の中への扉)』(講談社)。

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