「くまモン」の横断幕に思いを託し―― 江里口ら熊本選手団が全国の支援に感謝
国体に参加した陸上の熊本県選手団が全国の支援への感謝の気持ちを伝えた 【高野 祐太】
「最後まで力を尽くして競技しよう」に呼応
選手自身も避難所でのボランティアに打ち込んだ。日本陸上競技連盟(日本陸連)のアスリート委員会でも、熊本県出身で2012年ロンドン五輪代表の江里口匡史(大阪ガス)らが募金活動を行い、たくさんの義援金が集まったことによって大会会場移転などのために役立ったという。
そうした努力の積み重ねにより、米田光宏陸上競技統括責任者が言う「全国に感謝を表現するメンバー」が結成されるに至る。米田統括責任者が「思いを表すため、最後のゼロコンマ1秒、最後の1センチまで力を尽くして競技をしよう」と呼びかけ、選手たちが応えた。
齊藤勇真(九州学院高)は少年男子A100メートルで準優勝を果たした。大会を終えて表情は充実。「他県からの支援があって、自分たち熊本は岩手の地に立てていられると思います。そういう意味で岩手国体には特別な思いがありますし、誇りを持ってチーム熊本が一丸となり、自分もしっかり感謝の気持ちを持って走れたと思います」と、力強く語った。
「恩返しは成績を出すこと」と江里口は復活を誓う
江里口はロンドン五輪の後、代表を外れる低迷が続いている。14年には9月に髄膜炎で入院、11月に肺炎を発症する不運に見舞われたが、そこから技術面や練習内容を見直すうちにメキメキと調子を上げ、骨折をする直前の15年2月には世界選手権代表もうかがえるほどにスピードを取り戻していた。
そんな矢先の試練だった。そこから、ここまで状態を戻し、今は気持ちが前を向いている。
「ここでは終わらないと思っていますし、体もまだやれると思っています。また世界と戦うための準備がやっとできてきたと思ったので、ここからが勝負です」
地元の大きな痛手に寄せる思いもひと際強くなっており、「恩返しや、一緒に頑張る姿勢を表現する一番いい方法は成績を出すことだと思います」と、復活を誓った。
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